59 戦場をかける
戦場に残る戦艦、支援艦、空母それぞれが、西側の戦闘機からの攻撃により
対処を求められていた。
敵味方入り乱れた戦場で
ノムイッカ・ラシタは改めて思う。
『あのバカは何やってんだ』と。
彼の機体ワクムスピ:ノムイッカ・ラシタ専用小型機動戦闘機は、
戦艦級のシールドを撃ち抜けるだけの兵器が無い。
正確には、ある。
一度だけ使える兵器はある。
ワクムスピのエンジンは、
アメノミカゲ:ノブテル・ミズマ専用人型機と同型だ。
そのエンジンの余剰エネルギーを圧縮したカートリッジに保管している。
それを重粒子砲で撃ち出すことだ。
ただ、その場合シリンダが一回分しか持たない。
重粒子砲でもシールドは撃ち抜ける。
二、三発ぶち込む必要がある。
重粒子砲も連続で撃てる代物でもないので考え物なのだ。
長く使いたければこのまま、
一撃必中で済ませたいなら
余剰エネルギーを圧縮したカートリッジを使用するとなる。
選択することになる訳である。
彼からすれば相方が、熱血格闘漫画ごっこをしていなければ、
こんなに迷うことも無かったのだろう。
あの異常な兵器アメノミカゲがあるからどうとでもなると思えるのだが、
現在その頼みの綱は、左腕をへし折られ、さらには交戦中なのだ。
ノムイッカ・ラシタはだんだんとバカらしくなってきた。
勝手に暴れている相棒を何でここまでフォローしないといけないのか、と。
そして、訳の分からない言い分で戦争を起こし、巻き込んでくる連中に
矛先が向いた。
『こいつらが変なこと言い始めて余計なことしなければ
こんな面倒事に巻き込まれずに済んだんだよな。
なんか腹立ってきた』
ノムイッカ・ラシタは、だんだんと湧き上がる怒りに対して
正直に行動を起こすようになる。
既にAIにはm.a.u.s Systemを使わせていない。
ならばと思い
「【ZAI】余剰エネルギーを圧縮したカートリッジを準備」
と、言うと
「okサー。ですが、そちらを使うと重粒子砲が使えなくなりますが」
「構わん。それから戦艦と支援艦を同時に狙える位置を教えろ」
AIの指摘など気にせず、更に指示を出す。
「okサー。圧縮したカートリッジの準備完了、指定ポイントを表示します」
と、回答が来る。
「おし」
と返事をして、機体を指定ポイントに移動させる。
移動途中には何度か敵との戦闘をこなした。
そして、狙いを定め、
「面倒はあの世でやりやがれ!!」
と言って引き金を引く。
ワクムスピから撃ち出されたビームはシールドごと戦艦と支援艦を撃ちぬ抜く。
二隻は、火花と小さな爆発を繰り返し、爆発四散した。
それを確認したノムイッカ・ラシタは
「後は知らん」とつぶやき
満足げにワクムスピを帰還させる。




