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第四話 最善の世界 -Only_Sensitive_Existence- ⑤

 カナタは人工単子データを基底状態に移行させると、トーテムへの憑依を完全に遮断した。外装が色を落とし、躯体は自動制御によるただのロボットと化した。それを見届けたソラも、自らの霊学迷彩の装備を再確認する。

 それから意を決したように、ソラはフェノメノンたちの踊り狂う廃墟都市へと足を踏み入れていった。インプットされた地図データに基づいて自動歩行を続けるトーテムの後ろを追いながら、ゆっくりと、息を潜めて、フェノメノンたちの間をかいくぐっていく。

 フェノメノンたちは踊り続けながらも、目だけはソラたちのことをずっと凝視していた。二人の存在には完全に気づいているのだ。けれど機械的に歩き続ける二人は身体から発せられるマインドの波長の気配を完全に断っていたので、フェノメノンたちも何もしようとはしなかった。今のカナタやソラは、フェノメノンからはただの物体にしか見えていないのだ。

 神経を擦り減らすような時間が、永遠とも思えるほどに続いた。

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