第33話「どうしても南へ行きたいんだ…㉛『誕生!! 青白く輝く光の玉! 伸田の危機に結集する四人の魂!』」
吹雪の中を『ウインドライダーシステム』の飛行ユニットで上昇していた伸田が、『黒鉄の翼』が静止飛行して待機する高度まで達した時だった。
無人の操縦席を覆っていた、特殊強化ファイバーグラス製の透明なキャノピーが、内側から自動的に開いた。
『さあ、早く乗りなさい』
ウインドライダーシステムのヘルメットに内蔵された通信デバイスを通じて、新宿カブキ町の『千寿探偵事務所』にいる風祭聖子の声が、伸田の耳に届いた。
荒れ狂う上空の吹雪は、地上とは比較にならないほど凄まじかった。
伸田は、ブルブルガタガタと凍え切った身体を激しく震わせながら、背負っていた飛行ユニットを折りたたむ。そして、急いで『黒鉄の翼』の操縦席へと乗り込んだ。
キャノピーが閉じられると同時に、機内の暖房システムがフル稼働を開始する。
外気温はマイナス10℃にも達していた。
吹雪によって冷え切った操縦席内と伸田の身体が、急速に温められていく。
『”スペードエース”が自動操縦でヒッチハイカーのもとへ向かっている間に、あなたは急いで飛行ユニットのバッテリーパックを交換しなさい』
ここで少し説明しておこう。
『スペードエース』とは、『黒鉄の翼』の航行から戦闘に至るまで、あらゆる管制システムを制御する『完全自立思考型人工知能システム』の通称である。
人間の介入を必要とせず、独自の判断で機体を自在に操ることさえ可能な、まさに『黒鉄の翼』の頭脳とも言うべき存在だ。
名付け親は、『黒鉄の翼』の生みの親でもある科学者、風祭聖子博士。
その名前の由来は、『黒鉄の翼』が双翼を担う左右一対のティルトローターを折りたたんで格納した時の機体形状にある。
その形状を上から見下ろすと、トランプのスペード――『♠』のマークにそっくりなのだ。
そこで、機体制御コンピューターに『スペードエース』という名が与えられたのである。
身体が温まり、ようやく人心地ついた伸田は、聖子に指示された場所からバッテリーパックを取り出した。
そして、背中から下ろした飛行ユニットの使用済みバッテリーを、新しいものと交換する。
その間も、『スペードエース』による自動操縦で『黒鉄の翼』は、安田巡査の乗る油圧ショベルとヒッチハイカーが戦っているはずの地点へ向かっていた。
やがて――。
吹き荒れる吹雪をものともせず飛行してきた『黒鉄の翼』が、目的地へ到着する。
だが、そこにあったのは……。
予想もしなかった、巨大なオブジェのような物体が一つ、雪原の中に佇んでいるだけだった。
それは、あまりにも奇妙な物体だった。
まるで、黄色く塗装された機械と、黒い剛毛に覆われた生物らしき有機体が融合してしまったかのような……。
「何だ……あれは?」
伸田はそう呟きながら、操縦席の液晶モニターに映し出された拡大映像を見つめた。
彼の身体が、次第にワナワナと震え始める。
「あ、あれ……」
震える指先が、眼下に佇む奇妙なオブジェを指差した。
「あれは……安田さんの乗っていた油圧ショベル……なのか?」
声が掠れる。
「ヒッチハイカーに……潰されて……」
その声は、まるで喉の奥から無理やり絞り出したかのように、異様な響きを帯びていた。
「う、うわああああーっ!」
伸田は両手で自分の頬を押さえ、狂ったように叫んだ。
『落ち着きなさい、伸田君!』
聖子の鋭い声が飛ぶ。
『スペードエース! 急いで、あの怪物を変形した油圧ショベルから引きはがしなさい! 破壊力を調整して、超電磁加速砲でヤツの脚だけを狙うのよ!』
眼下の光景に完全なパニック状態に陥った伸田とは対照的に、聖子は冷静に状況を把握していた。
そして、『黒鉄の翼』の人工知能――『スペードエース』に命じる。
『了解! 目標ロックオン! レールガン発射!』
次の瞬間――。
キュイィィーン! ドンッ!
『スペードエース』は、強力な超電磁加速砲の威力を正確に調整。
油圧ショベルに絡みついている怪物の脚、その一本の関節部へと照準を合わせた。
そして――。
発射。
狙い過たず命中した砲撃は、怪物の脚を胴体に近い関節部分から先、見事に吹き飛ばした。
それまで八本の脚で油圧ショベルを包み込むように覆い、その動きを止めていた蜘蛛型の怪物が、突然、脚の一本を失った。
グジュルルルル……!
切断面から緑色の体液をまき散らしながら、怪物は慌てたようにガサガサと動き始めた。
これで、脚は残り七本。
――いや、待て。
伸田も聖子も知る由もなかった。
安田巡査の乗った油圧ショベルによる攻撃で、ヒッチハイカーはすでに前脚の一本を半分以上失っていたはずなのだ。
安田が怪物の脚を切断してから、『黒鉄の翼』が到着するまで。
経過した時間は、ほんの数分に過ぎない。
それなのに――。
失われたはずのヒッチハイカーの脚は、すでに元通りの八本に再生していた。
しかも、脚だけではない。
胴体にも、油圧ショベルの掘削用バケットによって大きな穴が開けられ、そこから緑色の体液を大量に噴き出していたはずだった。
その傷さえも、すでに塞がっている。
事故に遭った運搬用トラックの荷台から、偶然手に入れた薬剤を飲むまでは、普通の人間だったヒッチハイカー。
それが、わずか一晩の間に――。
いったい、どれほど恐ろしい魔界生物へと変わり果ててしまったというのか?
凄まじいまでの再生能力。
姿形こそ違う。
だが、今のヒッチハイカーはすでに、ミノタウロスのバリーと同等の存在にまで変化しているのかもしれなかった。
グジュグジュルルル~ッ!
――その時だった。
見よ!
たった今、レールガンによって吹き飛ばされたばかりの脚。
その胴体に近い側の切断面から、緑色の体液とともに、何かがウネウネと伸び出してきたではないか!
どす黒いピンク色をした、数十万匹ものミミズをより合わせたような、気味の悪い筋肉状の軟部組織の束が――。
まるで生き物のように蠢きながら、切断された脚の先へ向かって伸びていく!
安田の乗る油圧ショベルをペシャンコに潰され、怒り狂っていた伸田でさえ――。
液晶モニターに映し出された光景のあまりのおぞましさに、頭に上っていた血が一気に冷めていくのを感じた。
しかも、その映像は『黒鉄の翼』からはるか遠く離れた、新宿カブキ町の『千寿探偵事務所』にもリアルタイムで転送されていた。
「うげえっ! 何これ! 気持ち悪いっ!」
事務所のモニター画面に映し出された、怪物の欠損した脚が再生していく様子を見て、医学博士の資格まで持つ聖子でさえ胸が悪くなった。
「スペードエースのバカっ! こんな映像を拡大して映すんじゃないわよ!」
今にも吐きそうなほどの、あまりにもグロテスクな光景だった。
そんな怪物から少し離れた場所に、元は油圧ショベルだった重機の成れの果てとも言うべき、奇妙な黄色いオブジェが立っていた。
その下部から、赤黒い液体が流れ出している。
それに気づいた伸田の顔から、さらに血の気が引いた。
「あ、あの隙間から流れ出ているのは……」
震える声で、伸田が呟く。
「や、安田さんの……血……?」
次の瞬間――。
「う、うわああああーっ!」
伸田は再び恐慌に陥った。
「安田さん! 安田さんっ!」
『落ち着きなさい、伸田君!』
聖子が鋭く叱咤する。
『スペードエース! 急いで、あのオブジェ内部の生体反応を調べなさい!』
伸田を落ち着かせる間もなく、聖子は『スペードエース』へ命じた。
「……」
わずかな沈黙。
『微弱ながら、生体反応を感知』
『黒鉄の翼』の人工知能、『スペードエース』が冷静な声で報告した。
『オブジェ内部に閉じ込められている人物は、安田巡査である可能性が高い。
――かろうじて、生存しています』
「!」
その言葉に、伸田の表情が変わった。
先ほどまでパニックに陥り、嗚咽を漏らしながら悲しみに歪んでいた顔に――。
わずかながら、希望の光が灯った。
「ほ、本当か……? スペードエース!」
伸田は液晶モニターに食い入るように叫んだ。
「あの状態で……安田さんが生きているのか?」
『肯定します、ミスター伸田』
だが、スペードエースの次の言葉は、希望に水を差すものだった。
『ただし、生体信号は……非常に微弱です。直ちに救命措置を取らなければ、危険な状態です』
「……!」
生きている。
だが、その命の灯は、今にも消えかけている。
そう理解した瞬間、伸田は行動に移った。
交換したばかりの『ウインドライダーシステム』の飛行ユニットを、急いで背中に装着する。
「聖子さん! 聞いてください!」
伸田は叫んだ。
「僕がヒッチハイカーをおびき寄せて、油圧ショベルから引き離します! その間に『黒鉄の翼』で、安田さんを救急病院へ運んでください!」
伸田は操縦席のキャノピーへと向き直った。
「この機体なら可能なはずです! 救急隊を待っている暇なんてありません!」
そして――。
「スペードエース! キャノピーを開けろ!」
聖子の返事を待つことさえしなかった。
伸田の命令を受け、『スペードエース』が操縦席のキャノピーを開く。
次の瞬間――。
上空に吹き荒れていた猛吹雪が、快適に温められていた操縦席内へ一気になだれ込んできた。
伸田が立ち上がる。
風速20メートルを超える吹雪が、容赦なく彼の身体に叩きつけてくる。
地上から100メートルを超える高度。
気温はマイナス十数℃。
防寒用に身につけていた衣服など、ほとんど役に立たないと言ってよかった。
凍えた身体が、ブルブルと激しく震える。
歯の根が合わないほど、ガチガチと音を立てた。
それでも――。
キャノピーを開け放った操縦席に立つ伸田の決意は、いささかも揺らがなかった。
「『ウインドライダーシステム』起動! 飛行ユニット展開!」
ヘルメットに内蔵された脳波誘導システムが、伸田の脳波による命令を受信する。
次の瞬間――。
背中に装着された飛行ユニットの六基のローターと、二枚の補助翼が一斉に展開した。
「伸田、出ます!」
すでに操縦席から身を乗り出していた伸田が、大きく叫ぶ。
「『ウインドライダー』・プロトタイプ初号機――テイクオフ!」
そして――。
伸田の身体が、吹雪の吹き荒れる空中へと飛び出した。
六基のローターが一斉にフル稼働する。
ヴイィィーンッ!
吹雪を切り裂きながら、伸田はヒッチハイカーの待つ地上へ向けて、垂直に降下していった。
「あの子……ホントに行っちゃった……」
自分に指示を仰ぐこともなく、己の判断だけで飛び出していった伸田を、聖子はポカンとした表情で見送っていた。
「後先考えずにムチャクチャするわね、あの子……。まるで、うちの千寿所長みたい……」
苦笑した聖子だったが、すぐに表情を引き締める。
「でも……こうなったら、あの子の言う通り、私もグズグズしていられないわね」
聖子はすぐさま指示を飛ばした。
「スペードエース! 左右『黒鉄の爪』展開!」
『了解!』
「今から安田巡査を、へしゃげた油圧ショベルの運転席ごと掴んで緊急空中搬送するわ! 大至急よっ!」
ウイイィーン! ガシャン! ガシャンッ!
ホバリング中の『黒鉄の翼』。
その機体下部から、折りたたまれていた左右二本の特殊チタニウム合金製の脚が、低いモーター音を響かせながら展開していく。
これらは降着装置を兼ねた、巨大な特殊アームだった。
その先端は、物体を掴めるよう3つに分かれた、巨大な鳥の鉤爪のような形状をしている。
『黒鉄の爪』。
その名の通り、鋼鉄のように頑丈なこの爪は、三トン近くある万能装甲戦闘車両『ロシナンテ』を軽々と掴み上げ、そのまま飛行できるほどの強度を誇っていた。
ちなみに――。
この『黒鉄の翼』と『ロシナンテ』が合体した状態は、『黒鉄の天馬』と呼ばれている。
両者の攻撃力を兼ね備えた、まさに最強の機体となるのだ。
『黒鉄の翼』は、これまで維持していた空中停止状態を解除した。
左右に展開した『黒鉄の爪』を大きく広げる。
そして――。
オブジェと化した油圧ショベルを掴み上げるため、地上へ向けて垂直に降下を開始した。
********
「どんな武器を持ってるのかは知らないけどさ……」
ライラは、白虎の右前脚に押さえつけられたバリーを見下ろしながら言った。
「アタシの見立てじゃ、今のヒッチハイカーは、あんな小僧の一人じゃどうやったって倒せっこないよ」
そして、白虎へ視線を向ける。
「アンタが行ってやらなくていいのかい?」
ライラは、白虎を嘲笑うような声音で続けた。
「まあ……小僧が死んでもいいってんなら、話は別だけどさ」
互いに睨み合ったまま、身動きの取れない状態。
そんな中で、先に口を開いたのはライラだった。
「なあに、あいつなら大丈夫だ」
白虎は、バリーの背中を押さえつけている右前脚の力をいささかも緩めず、冷たい声で言い返した。
「ヤツは、見かけによらずガッツがある」
そして、牙を覗かせる。
「それに俺は、約束は絶対に守る主義なんでね。ヤツとの約束で、ここにいる連中をお前ら『殺戮兄妹』から護らなきゃならないんだ」
「チッ……!」
ライラは舌打ちした。
「仕方ないね。こんなところでグズグズしてるのは性に合わない。アタシは行くよ」
そして、肩をすくめる。
「こんなケチのついちまった作戦なんて、やめたやめた! バカらしくて、やってらんないよ!」
ライラは白虎から視線を外した。
「アタシは、もっと面白い仕事でも探すとするかね」
そして、最後にバリーへ視線を向ける。
「そうそう。そんな馬鹿アニキ、煮るなり焼くなりアンタの好きにするがいいさ」
ライラは背を向けた。
「じゃあね、バリー!」
そう言い捨てると、ライラは自分の相棒である双子の兄と、宿敵である白虎を二度と振り返ることなく歩き出した。
その歩みは、まるで闊歩するように颯爽としていた。
吹雪の中を遠ざかっていく彼女の姿は、スーパーモデルさえ凌ぐ美しさと、妖艶な魅力に満ちている。
「はん……」
白虎は、そんなライラの後ろ姿を見送りながら呟いた。
「惚れちまいそうなほどのベッピンなのは、大いに認めるがな」
そして、バリーへ視線を落とす。
「氷より冷てえ妹を持ったアニキのお前には、同情するぜ」
「ブモオォ……」
バリーが弱々しく鳴いた。
白虎の言葉が、まるで自分の胸の内を言い当てていたからだろうか。
不死身の魔人バリーにとっても、妹のライラは頭痛の種だったのである。
「はあぁ……もういい」
白虎は、ようやくバリーの背中から右前脚をどけた。
「お前も行きな、バリー」
そして、低い声で言い放つ。
「今日のところは見逃してやる。だが、次に俺の周りでワルさしやがったら……その時は覚悟しとけ」
白虎の瞳に、鋭い光が宿った。
「この俺が、不死身のお前を地上から文字通り消してやる」
そして、顎をしゃくる。
「さあ、ライラのところへ行け!」
たった一本の白虎の前脚によって、地面に縫い留められたように動けなかったバリーが、ようやくヨロヨロと立ち上がった。
二本の脚でしっかりと大地を踏みしめる。
そして、白虎から十数メートル離れたところまで歩いたところで――。
バリーは振り返った。
次の瞬間。
「ブッモオオオオーッ!」
天に向かって、巨大な雄叫びを上げた。
それは、白虎への復讐を誓う叫びだったのだろうか?
大地を揺るがすほどの雄叫びを上げたバリーは、猛然と走り出した。
そして、すでに姿の見えなくなったライラの後を追っていく。
吹き荒れる吹雪の中、四本の脚でしっかりと大地に立った白虎は、しばらくの間、二人の殺し屋――『殺戮のライラ&バリー』が消えていった方向を見つめていた。
やがて、白虎は身体の向きを変える。
少し離れた場所に停車している、自身の愛車『ロシナンテ』へ向かって歩き始めた。
白虎は『ロシナンテ』の運転席側へ歩いていくと、その横で立ち止まった。
そして、威嚇するかのように唇をめくり上げる。
窓ガラス越しに、運転席にいる鳳 成治へ向かって、巨大で鋭い牙を覗かせながら唸り声を上げた。
「ガルルルル……」
獣人化した白虎――いや、新宿カブキ町の『風俗探偵』、千寿 理は、愛車『ロシナンテ』を愛してやまない男である。
「よお、鳳」
千寿は、愛車の無残な姿を眺めながら唸った。
「俺の愛車を、こんなにボロボロにしやがって……。修理代の請求書は、お前んとこに回すからな。全額一括で払ってもらうぜ」
そして、牙を剥く。
「俺はビタ一文出さねえからな」
「分かった分かった……。そういじめるなよ、千寿」
鳳は苦笑した。
「お前にその姿で睨まれると、ライラやバリーよりよっぽど恐ろしいじゃないか……」
そして、破損した車体を見回す。
「だが、この『ロシナンテ』のおかげで我々が助かったのも事実だ。本当に感謝している。修理費用については、政府の『機密費』で何とかしよう」
「バカ野郎!」
千寿が即座に噛みついた。
「お前ら役人や政治家は、何かっていうとすぐ『機密費で――』とか抜かしやがるがな。それだって、俺たち国民の血税じゃねえか!」
「ほお……」
鳳が、わざとらしく感心したような声を上げた。
「常日頃から違法なことを山ほどやっているお前の口から、そんなご立派なセリフが聞けるとは思わなかったな」
「……」
「カブキ町の清廉潔白な『風俗探偵』殿が、政治家センセイたち御用達の『機密費』に反感を持っているというなら――」
鳳はニヤリと笑った。
「『ロシナンテ』の修理は、あきらめるか?」
「それとこれとは話が別だ!」
千寿は即答した。
「とにかく、お前の責任で俺の愛車を元通りに直せ!」
「それよりも、千寿」
鳳が表情を改めた。
「ライラとバリーの方は、本当にいいのか? 今のお前なら、あのままバリーにとどめを刺せただろうに……」
「いいんだよ。今日のところは、あれくらいでな」
千寿は鼻を鳴らした。
「どうせ、あの双子の兄妹には、嫌でもまた近いうちに会うことになるさ。きっとな」
その瞳に、鋭い光が宿る。
「その時は容赦しねえ。今日の荷電粒子砲の借りを、たっぷり返してやるさ」
「お前、なんだかんだ言って、ライラのことが好きなんじゃないのか?」
鳳がニヤニヤと笑いながら言った。
「はっ! バカ言ってんじゃねえ!」
千寿は即座に否定した。
「まあ……ライラがイイ女なのは認めるがな」
だが、すぐに話題を変える。
「そんなことより、伸田の小僧……上手くSITの巡査を救出できたのかな?」
照れを隠すかのように顔を背け、白虎が低く呟いた。
「心配なら、行ってやれよ」
鳳は言った。
「ライラの気性を考えれば、お前に宣言した手前、再びこの『ロシナンテ』を襲うことはあるまい」
そして、真剣な表情になる。
「私も伸田君のことは心配だ。もちろん、皆元さんのためにも、彼には生きていてもらわなければ困る」
鳳は、伸田の姿を思い浮かべるように続けた。
「だが、実を言うと……私は彼個人にも興味がある」
その声には、強い関心が滲んでいた。
「あの天才的な射撃センス。そして、初めて装着したウインドライダーシステムを、あそこまで自在に操る天賦の才能……」
鳳は、静かに笑った。
「どうしても、彼には生き延びてもらいたい。そして、私の構想するチームに加わってもらいたいんだ」
「へっ……また、お得意のロクでもねえ悪だくみかよ」
千寿は呆れたように言った。
「変なことに、ヤツを巻き込むんじゃねえぞ」
そして、後部座席へちらりと視線を向ける。
「まあ、お前のためじゃねえ」
そこには、目を閉じ、両手を組み合わせていた皆元 静香の姿があった。
大切な恋人の無事を、必死に祈っている。
「後ろの座席で、健気に恋人の無事を祈っているお嬢さんのために――」
千寿は、ニヤリと笑った。
「伸田の様子を見に行ってくるか」
そう鳳に言った、次の瞬間だった。
白虎の姿が――。
忽然と消えた。
「消えた……」
それまで『ロシナンテ』の後部座席で黙って成り行きを見守っていた長谷川警部と島警部補が、同時に呟いた。
「ふっ……」
鳳は、驚く様子もない。
口元に笑みを浮かべながら、静かに呟いた。
「頼んだぞ……千寿」
********
「やっぱり、このままじゃ無理だわ!」
『黒鉄の翼』でも、ヒッチハイカーに破壊された油圧ショベル全体を運ぶのは難しい。
「スペードエース! 高出力レーザー溶接機を用意して!」
聖子は、すぐさま指示を飛ばした。
「安田巡査が閉じ込められている運転席部分を切り離すわ。急いで!」
『了解!』
『黒鉄の翼』の人工知能、『スペードエース』が応答する。
『レフト・アイアンクロー、高出力レーザー溶接機を展開。切り離し作業を開始します』
パワーショベルを運搬するために展開されていた、特殊チタニウム合金製の巨大な『黒鉄の爪』。
その左側のアーム内部から、折りたたまれて収納されていた機械の腕が展開した。
その先端には、高出力レーザー溶接機が取り付けられている。
『黒鉄の翼』は、パワーショベルのすぐ上で静止飛行を続けていた。
そして右側の『黒鉄の爪』で、安田巡査の閉じ込められている運転席部分をガッシリと掴み、しっかりと固定する。
切断するべき箇所へ向けて、溶接機の先端が伸びた。
その開口部から――。
真っ赤な高出力レーザー光線が放射される。
夜明け前の真っ暗な山中。
『黒鉄の翼』の強力なサーチライトに照らし出されたパワーショベルの鋼鉄製の車体を、赤いレーザービームがまるで紙でも切るかのように焼き切っていく。
「安田巡査の身体を傷つけないよう、慎重にやるのよ!」
東京・新宿カブキ町。
『千寿探偵事務所』の所長室で、聖子はモニターを見つめながら叫んでいた。
「でも、急ぎなさい! 彼の生体反応がかなり弱まっている……!」
医学博士でもある聖子の声に、焦りが滲む。
「こんなところで、怪物と戦った勇者である彼を、絶対に死なせるわけにはいかない!」
巨大な怪物の脚を受け止めたほど頑丈だった油圧ショベルの車体も、高出力レーザービームの前では次々と切断されていった。
しかし――。
安田の命を救うためには、一刻の猶予もない。
『運転席切り離し作業完了!』
『スペードエース』が報告する。
『両アイアンクローで、要救助者ごと目標を確保しました!』
だが、続く報告は緊迫したものだった。
『要救助者の生体反応、さらに低下! 危険レベルです!』
女性の声を模したAI『スペードエース』の合成音が、悲鳴のように警告を発した。
「残ったヒッチハイカーのことは、伸田君と千寿所長に任せるわ!」
聖子は即座に決断した。
「そのまま安田巡査を緊急搬送しなさい! ツインローターの回転を全開にして、最高速度で飛ぶのよ!」
『しかし、創造主聖子!』
スペードエースが反論する。
『それでは、安田巡査の身体が凍りつきます!』
「それが狙いよ!」
聖子は叫んだ。
「安田巡査の脳が死なないよう、身体を凍結させるの!」
そして――。
「彼には人工冬眠してもらうわ!」
『了解ッ!』
聖子の考えを理解したスペードエースが即座に応答する。
『当空域を最大速度で離脱します!』
ギュルルルルーッ! グオオオオーッ!
二基のローターが猛烈な回転を始める。
こうして『黒鉄の翼』は――。
ヒッチハイカーと伸田をその場に残し、安田を乗せて飛び去っていった。
********
ドドドドドドドドドッ!
バキバキバキバキッ!
完全に再生した八本の脚を滑らかに動かしながら、蜘蛛型怪物と化したヒッチハイカーが疾走していた。
その巨体からは想像もつかないほどの高速。
時速50キロを、優に超えているだろう。
しかも――。
蜘蛛に似た胴体の上方前部。
かつてヒッチハイカーだった人間の上半身が存在する、その両脇から、いつの間にか新たな二本の脚が生えていた。
この2本の脚は、移動に使われている8本の脚とは明らかに異なっている。
先端部は、まるでカマキリの鎌のような形状へと変化していた。
そして、ヒッチハイカーがそれを振り回すたびに――。
進行方向を遮る岩も、樹木も、何もかもが容赦なく切り払われていく。
「待てぇっ! 貴様、よくも安田さんを!」
その後方。
交換したばかりのバッテリーパックをフル活用し、吹き荒れる吹雪の中を飛行する者がいた。
『風に乗る者』――伸田である。
「てめえなんかに捕まってたまるかあっ!」
ヒッチハイカーは、八本脚を猛烈な勢いで動かしながら叫んだ。
「このオレを止められるモノなんか、何もねえ!」
そして、さらに叫ぶ。
「今日のところは、シズちゃんはあきらめてやる!」
その声には、狂気じみた執着が滲んでいた。
「だが、あの女はオレのもんだ! 必ずもらいに行くからなあああーっ!」
その瞬間だった。
ヒッチハイカーが切断した木の幹が、凄まじい勢いで後方へ飛んできた。
「うわっ!」
伸田は、とっさに機体を躱す。
「くそっ! 負けるもんか! 絶対に、コイツだけは許さないっ!」
伸田は、天性の飛行センスを駆使して飛来する木の幹や枝、岩の破片を次々と回避していった。
しかし――。
電柱ほどの太さを持つ枯れ木が、猛烈な勢いで飛んできた。
「うわっ!」
間一髪、直撃は避けた。
だが――。
張り出していた枝の一部が、ウインドライダーシステムの右側の補助翼に引っ掛かった。
「うわあああーっ!」
飛行において、バランスは命だ。
どれほど天才的な飛行センスを持っていようとも、左右に張り出した機体の一部を高速飛行中に引っ掛けられれば、体勢を崩す。
伸田の身体が大きく傾いた。
「くそっ! ダメだ! コントロールできない!」
機体が回転を始める。
「バランスを戻せないっ!」
伸田の身体は、減速することなく林の中へと突っ込んでいった。
このまま木の幹に激突すれば――。
あるいは、硬く凍てついた地面に叩きつけられれば――。
時速百キロを超えて飛行する伸田の身体は、ひとたまりもない。
全身の骨が砕け、内臓が破裂する。
死は、目前だった。
「うわああああーっ!」
避けようのない死を意識した瞬間――。
伸田の脳裏を、さまざまな人々の顔が駆け抜けていった。
「みんな……」
安田巡査。
長谷川警部。
島警部補。
ジャイアンツに、スネオ。
エリとミチル。
聖子。
鳳 成治。
白虎。
「それに……それに……」
そして――。
「僕のシズちゃん!」
愛しい静香の姿が脳裏に浮かんだ。
その瞬間だった。
死を覚悟していた伸田が、閉じていた目を開いた。
視界に飛び込んできたのは――。
左手に握りしめた、銀色の剣。
鳳 成治から託された『ヒヒイロカネの剣』だった。
「くっそおおおーっ!」
伸田は叫んだ。
「こんなところで死んでたまるかあああーっ!」
右手に握っていたSITの制式セカンダリーウェポン――『ベレッタ90-Two』を太腿のホルスターへ収める。
そして、『ヒヒイロカネの剣』を両手で握りしめた。
「『ヒヒイロカネの剣』よ!」
迫り来る死の恐怖を振り払うように、伸田は叫ぶ。
「どうか、僕に力を貸してくれえええーっ!」
次の瞬間――。
異変が起きた。
「……え?」
伸田の両手に握られた銀色の剣が、突然、眩しい白銀の輝きを放ち始めたのだ。
白銀の光は、瞬く間に広がっていく。
そして――。
ウインドライダーシステムごと、伸田の身体を包み込んだ。
「うおおおおーっ!」
伸田は驚愕した。
「光が……光があああっ!」
だが、どれほど驚いても、彼は剣から手を離さなかった。
その光は、目を射るような痛みを伴うものではなかった。
むしろ――。
優しく、温かい。
まるで、全身を包み込むような光だった。
不思議なことに、その光に包まれていることは決して不快ではなかった。
それどころか――。
心地よい。
伸田は、本能的に感じていた。
自分は、この光に身を任せてもいい。
これは、天国から迎えに来た使者なのだ。
ヒッチハイカーとの戦いに敗れた自分を、天へと導くために現れた光なのだ。
そう考えると、不思議なことに悔しさはなかった。
むしろ、肩の力が抜けていく。
このまま光に包まれたまま、天へ昇っていくのも悪くない。
そんなことさえ思った。
その時だった。
遠くから、自分を呼ぶ声が聞こえてきた気がした。
「……?」
伸田は思った。
これは……天の使いが、自分を誘う声なのだろうか。
「……!」
だが――。
それにしては、おかしい。
聞こえてくる声は……。
自分を天国へ導く優しい声ではない。
まるで――。
自分に向かって怒鳴りつけているように、伸田には聞こえるのだ。
********
『バッカ野郎、ノビタ!』
突然、怒鳴り声が響き渡った。
『てめえ、何やってやがる! こんなところで死ぬなんて、俺達が絶対に許さねえぞ!』
僕のことを罵る、この懐かしいドラ声は――。
「ジャイアンツ……?」
『そうだよ、ノビタ!』
今度は、先ほどのドラ声に乗っかるように、甲高い声が響いた。
『お前、僕達が泣く泣くあきらめて、お前に譲ったシズちゃんを残して、自分だけ死ぬ気か!』
間違いない。
この声は――。
「スネオ……?」
『そんなの100年早いってんだよ、ノビタのくせに!』
スネオは、さらにまくし立てた。
『お前がそんなに弱虫なら、僕達のマドンナのシズちゃんを任せてなんかおけないよ! 彼女を返せよ、この馬鹿ノビタ!』
『そうだ! 俺達のマドンナのシズちゃんを泣かしやがったら、この幸田剛士様がただじゃおかねえぞ!』
『そうだ、そうだ! ジャイアンツの言う通りだ! ノビタのくせに!』
間違いない。
忘れようにも、忘れられるはずがない。
腹が立つのに――。
懐かしい。
この声は、間違いなくジャイアンツとスネオだ。
でも……。
あいつらは、ヒッチハイカーに殺されて死んだはずなのに。
そうか。
僕は死んだんだ。
そして、あいつらと同じ天国に来たんだな。
『バッキャローッ!』
剛士――ジャイアンツの怒鳴り声が、僕の考えを吹き飛ばした。
『お前は、まだ死んでねえ! ここは天国なんかじゃねえ!』
「え……?」
『ノビタ! お前は、俺達犠牲になった者達の恨みを晴らすんじゃなかったのか!』
怒鳴り声が、僕の耳に突き刺さる。
『シズちゃんを守るんじゃなかったのかよっ!』
「……」
『それを、こんなところで死んでどうすんだ!』
そして――。
『シズちゃんと、彼女のお腹の中にいる子供には、お前が必要なんじゃねえか!』
「……!」
僕の胸に、その言葉が痛いほど突き刺さった。
「だって……」
僕は、幼馴染の二人に向かって、まるで子供の頃に戻ったかのように泣き言を言った。
「アイツ、とんでもなく強いんだよ……。僕だって一生懸命戦ったんだ……」
もう、疲れた。
「疲れたんだよ……」
僕は、光の向こうにいる二人へ手を伸ばした。
「そっちへ行きたいよ……」
『へん!』
スネオが鼻で笑った。
『グズでのろまのノビタなんか、こっちに来るのは100年早いよ! 甘えんじゃないよ!』
だが、その声は次第に震え始めていた。
『僕やジャイアンツだって……恋人のミチルやエリちゃんと、もっと……もっと生きてたかったんだ!』
声が、怒りから嗚咽へと変わっていく。
『それを……あのバケモノが……』
「スネオ……」
伸田の目の前で、スネオこと須根尾 骨延が、その場にペタンと座り込んだ。
そして、泣き崩れた。
ジャイアンツがその隣にしゃがみ込み、泣きじゃくるスネオの背中を優しくさする。
耳元で何かを囁き、彼を励ましているようだった。
やがて二人は顔を見合わせる。
そして、静かに頷いた。
二人が立ち上がり、僕の方を見た。
『ノビタ……』
ジャイアンツが、ゆっくりと口を開いた。
『俺達二人は、お前のことを小っちゃいガキの頃から、よくイジメたよな』
僕は黙って聞いていた。
『でもな……俺達三人は、いつだって親友だった。俺は、本当にそう思ってる』
剛士は、まっすぐ僕を見つめた。
『嘘じゃねえ。俺はお前を、ずっと”心の友”だと思ってきたんだぜ』
「ジャイアンツ……」
『三人でシズちゃんの彼氏の座をめぐって争ったけどよ……結局、最後に彼女の心を射止めたのは、お前だった』
剛士は苦笑した。
『俺もスネオも、そりゃ悔しかったさ』
だが、すぐに優しい笑顔を浮かべる。
『でも今じゃ、心からお前達二人を祝福してる』
そして、声を低くした。
『もしお前が、俺達のマドンナのシズちゃんを幸せにしなかったら……』
ジャイアンツが僕に向けて拳を握った。
『俺は、絶対にお前を許さねえぞ!』
「……!」
『だからな、ノビタ』
その声は、今までに聞いたことがないほど優しかった。
『お前は、まだまだ、こっちへ来るんじゃねえ』
ジャイアンツが笑った。
『もっともっと、そっちの世界でシズちゃんと幸せに生きろ』
『俺達のことは心配しなくていい』
スネオが続けた。
『僕もジャイアンツも、あの世で彼女と一緒に楽しくやってるんだ』
『そうだぜ』
ジャイアンツも頷く。
『こっちじゃ、エリもミチルも一緒だからな』
その直後だった。
ジャイアンツの横に――。
恋人のエリちゃんが現れた。
そして、スネオの傍らには、ミチルちゃんが現れる。
四人は、僕の方を見て笑いかけていた。
もう、スネオも泣いていなかった。
『な?』
ジャイアンツが笑った。
『この通りさ。俺達はこっちで寂しくなんてねえんだ』
そして、僕を指差す。
『ノビタ。お前は、あのバケモンを倒して、早くシズちゃんのところへ帰れ!』
「……!」
『そのために、俺達四人も力を貸してやる!』
ジャイアンツが後ろを振り返った。
『なあ、みんな!』
『うん!』
三人が、力強く答えた。
ジャイアンツ。
スネオ。
エリちゃん。
ミチルちゃん。
四人が揃って、僕の方へ歩いてくる。
『今から俺達四人も、お前と一緒に行くぜ!』
ジャイアンツが叫んだ。
『ノビタ!』
四人が、僕の『ヒヒイロカネの剣』を握る腕に手を添えた。
その瞬間――。
重ねられた手から、暖かく、心地よい何かが僕の身体へ流れ込んできた。
「……!」
『ヒヒイロカネの剣』が、さらに強い光を放ち始める。
白銀の輝きが、次第に増していく。
そして――。
僕の身体を包み込んでいた光の色が、白から徐々に変化していった。
白銀から――。
青白い光へ。
その輝きは、まるで魂そのものが燃え上がっているかのようだった。
「ありがとう……みんな……」
僕は、四人の顔を見つめた。
「ああ……」
全身に力が満ちていく。
「みんなの力を感じるよ!」
そして、僕は光り輝く『ヒヒイロカネの剣』を握りしめた。
「それに……」
その青白い光を見つめる。
「この光の色……」
僕は思い出していた。
「白虎さんの牙や爪が発していた光と同じ輝きだ!」
青白い光が、さらに強く輝いた。
「行くぞ、ヒッチハイカー!」
僕は叫んだ。
「もう、お前の好きにはさせない!」
『ヒヒイロカネの剣』を握る手に、さらに力を込める。
「今から――」
僕は、まっすぐ前を見据えた。
「僕が五人の力で、お前を倒す!」
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伸田の意識が現実世界へと引き戻された。
彼が死んでいった仲間達と邂逅していた時間は、現実世界ではほんの一瞬に過ぎなかった。
その一瞬の間に――。
『ウインドライダーシステム』の飛行バランスを失い、回転しながら巨木の幹へ激突する寸前だった伸田の身体が、突然、爆発するような青白い光に包まれた。
次の瞬間。
伸田の姿は――。
青白く輝く、ひとつの光の玉へと変わっていた。
そして、その光の玉は――。
巨木の幹の表面から、わずか数ミリ手前でピタリと停止した。
まるで時間そのものが止まったかのように。
しかし、それは現実だった――。
光の玉が激突をギリギリで回避した証拠に、巨木の幹には傷ひとつ付いていない。
物理的に巻き起こった風圧で木に降り積もっていた雪を吹き飛ばしただけだった。
やがて、空中で静止していた青白い光の玉が、ゆっくりと動き始めた。
フワリと方向を変える。
そして――。
逃走するヒッチハイカーを目指し、恐ろしい速度で猛追撃を再開した!
青白く輝く光の玉となった伸田は、吹雪の荒れ狂う山中を疾走するヒッチハイカーを、再び追い始めたのだ。




