第二十七話水璃ちゃんの本気。
ドゴンっという激しい音が聞こえた。
私達はその音に思わず目を瞑ってしまった。
そしてゆっくりと目を開いていくと……………。
水璃ちゃんの目の前にいたのはなんと一回りも大きくなった球利ちゃんだった。
そして水で壁を作り水璃ちゃんの盾としていた球利ちゃん。
「球利!!???」
「きゅううううーーーーーーーーーーーーっ!!」
二人の戦いも今始まったようだった。
襲い来る毒露の攻撃を躱しながらも攻防を繰り返していく水璃ちゃん。
私は辛そうだった水菜様の元まで辿りついた。
すると毒露がその表情を変えていた。
「ぐふっ……………娘え……………………お前もいい女だなあ。」
「なっ………………あなた…………………妖でしょう?妖なら妖らしくしなさいっ!!」
「ぐへへ……………………美しい……………のお。」
「えっ?」
「水忍の女は美しいと聞いたものでなあ…………俺様は汚泥から生まれ落ちたもの……………やがて俺様の存在は汚いというものとしてこの世界にあったものだった………やがて長い時を経た俺様には……意思というものを実感するようになった………汚い目で見られ…人間というのもそのようなものだと誰かが言ったこと思ったことが我が魂に感じるようになった…………汚い……………近づくな……………………汚泥は綺麗に洗い流せと負の感情が俺様に感じるようになっていった…………腹の中……………………………初めはそこに小さな負の感情が入ってきて溜まっていく…………それは二つ………………三つと増えていった……………するとそこから徐々に負の感情は溜まっていった。」
私達にもわかるように言葉を続ける妖である毒露は続けた。
やがて溜まりに溜まった負の感情は俺様の力となっていった。
ある時……………そんな存在になった俺様は我が住処の近くで一人の人間を見かけるようになった。
それは人間の女だった。
美しい……………………その女はとても美しい存在だった。
俺様はその存在に何かを感じるようになった。
それはたまらないくらいの憎悪だった。
そのものが汚れたらどうなるのか。
そんな事を考えるようになった俺様。
その時。
女は絶望の目で俺を見ていた。
汚れたくない…………………………女の目がそう言っていたような気がした。
鼻をつまんで臭い…………………というまた負の感情が俺様の中にもたらされた気がした。
次の瞬間。
俺は女を飲み込んでいた。
女は俺様の中で汚れていった。
◇
◇
◇
「ぐへへ……………思い出すなあ…………それが初めてだった…………………最高にそいつは美味かった……………………………………美しい存在が俺様の中に入っていくと俺様は綺麗になっていくのを感じたのだ。」
ジリジリと動き水璃ちゃんに近づていく毒露。
ハアハアと臭い息を吐き出しながらそう語った毒露。
その時。
ダダっと駆け出し槍を頭上で回していく水璃ちゃん。
「汚れた存在なら……………………………綺麗にしてあげるわ!!!そう………………あなたの全てを洗い流すの!!!!……………………………………球利!!」
「きゅううううーーーーーーーーーーーーーっ!!!!!」
球利ちゃんは巨大化していくと地面に水が水浸しになっていることに気がついた私。
「これは……………………………水璃ちゃん!!!」
水璃ちゃんがにやっと微笑んだ気がしたの。
「水神様…………………………………………力を貸して!!!!!」
水璃ちゃんの手に握られていた槍。
その魔神具に再び吸い込まれていく球利ちゃん。
「水………………………………………音………………。」
水璃ちゃんの静かな叫びに。
ポチャンっという水音が聞こえた気がした。
次の瞬間。
毒露の脳天から一粒の水が落ちた。
「えっ!?」
「んっ!?」
「んんんっ!!!???」
毒露の声が聞こえた瞬間。
水が脳天から毒露を貫き………………………………。
「うがあああああーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!???
その声と共に…………毒露の身体を槍が貫いた瞬間だったの。
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