第十五章:最後の戦い
アレックスとルーベンは、まだあの岩のくぼみに身を潜めていた。二人は、あの甘美な歌の陶酔からゆっくりと意識を取り戻していった。気を抜くわけにはいかなかった。
「アレーーックス、ルーーーベン!」マニンが二人を見つけたのだ。
「出てこい。そこにいるのは分かっている。お前たちの思考は感じ取れるんだ!隠れても無駄だ。結末はどうせ同じだ。ルーベン、お前は死ぬ。この王国は滅びる。そしてアレックス、お前は私と共に来ることになる!これで終わりだ。諦めろ!」マニンは、自分の勝利を疑っていなかった。
「ルーベン、俺が合図したら全力で走れ!」とアレックスが言った。
「何をするつもりだ?」とルーベンは小声で尋ねた。
「俺を信じろ。合図したら走れ。止まるな、振り返るな。絶対にだ。」ルーベンはうなずいた。
アレックスはその瞬間を待っていた……あと数秒……そして。二人は隠れ場所から飛び出した。ルーベンは全力で走り去り、アレックスは永遠の者のすぐ前で立ち止まった。友を逃がすための囮になるつもりだった。
しかしルーベンはその計画に気づき、足を止めた。そんな形で友を見捨てることなどできなかった。彼は岩の陰に隠れ、静かに様子をうかがった。
「マニン、ルーベンを逃がせ。彼はこの話には関係ない。お前たちが欲しいのは俺だろう!ほら、ここにいる。俺を好きにすればいい!」アレックスは、もうすぐ目の前まで来ている永遠の者に言った。
「やっと出てきたか!またその話か、うんざりだな。最後にもう一度言ってやる。お前はどうあっても私のものになる。だから、お前が望もうが望むまいが、お前の友達は殺す。そしてお前は捕らえる!」永遠の者は笑った。
攻撃しようとしたその瞬間、ルーベンが隠れ場所から飛び出し、助けに向かおうとした。その時、激しい轟音が響き渡り、衝突寸前だった戦いは止められた。何かが起きたのだ。永遠の者が一瞬気を取られた隙に、二人の少年は浜辺へと走り出した。その音の正体を確かめるためだった。しかしアレックスには、それが何なのか分かっていた。アテリアが成功したのだ。海辺にたどり着くまでの間、二人は途中で二体の悪魔を避けながら進んだ。そして浜辺に着いた時、まるで映画のような壮大な光景を目の当たりにした。守護者が、ついに戦いに加わったのだ。太陽の光が、その青と緑の鱗に反射していた。巨大で、そして荘厳だった。天使も悪魔も、その神話の生き物には敵わなかった。硬い鱗の鎧、巨大な顎、そして恐ろしい尾。そのすべてが、彼を止められない存在にしていた。アレックスは気づいた。戦場には、もう守護者しか残っていない。軍の残りは撤退するか、戦いの中で倒れてしまっていた。ネレイデスたちは、陸にいる堕落者たちを倒すため、近くの島へと退いていた。
「す、すごい……!あれ、味方なんだよな?」ルーベンはその光景に呆然としていた。
「ああ。俺たちの味方だ。」アレックスは海の中にもう一つの影を見つけた。どこか見覚えがあったが、完全には分からない。よく見ると、それはアテリアだった。
だが、以前とは違っていた。冷酷で、殺意に満ちた姿だった。彼女は驚くほどの力と速さで敵に飛びかかっていた。なぜそんな姿に変わったのか、アレックスには分からなかった。きっと深海で何かが起きたのだろう。
ほんの短い時間で、残っていた堕落者たちはすべて倒されるか、撤退した。
だがそれは勝利とは言えなかった。両陣営とも、あまりにも多くの命を失っていた。あの戦いに真の勝者はいなかった。アテリアはまだ狂気の衝動を止められず、道にある死体を次々と貪っていた。だが突然、彼女の動きが止まり、顔は再びいつもの優しく美しいものへと戻った。彼女は疲れ果て、そして自分がしてしまったことに打ちのめされていた。アレックスは彼女を呼ぼうとした。しかし、すでにアテリアは海の中へ消えていた。完全に自分を取り戻し、あの獣のような感覚を消し去るには、時間が必要だった。海の蛇は、誇らしげに地平線を見つめていた。自分の働きで王国を救ったのだ。
だがその時、再び怒り狂ったマニンが現れた。巨大な生き物を見た瞬間、彼は一瞬体を硬直させた。もしかすると、永遠の力をもってしても海の伝説には勝てないかもしれない。しかし、それは間違いだった。
「お前か!アレックス、また私の計画を台無しにしたな!こんな巨大なミミズみたいなものまで呼び出して!」マニンは本当に激怒していた。
海蛇は彼に噛みつこうとした。だが、正体不明の力によって体が石のように固まり、動けなくなってしまった。
その光景を見て、二人の少年は衝撃のあまり言葉を失った。
「このちょっとした芸は気に入ったかな?見ての通り、私は心で動物を操るのがとても得意なんだ!動物の脳は人間よりずっと単純だからね。ただ残念なことに、今回は完全に操ることはできず、せいぜい“スタンバイ”状態にするのがやっとだった。でなければ、私の操り人形になっていただろうに。まあ、これで十分だがな!」永遠の者は邪悪に笑った。
数人の兵士と、ガラテアの姉妹の一人が二人の少年のもとへ駆け寄り、永遠の者に立ち向かおうとした。しかしマニンは手を軽く振っただけで、彼らを遠くへ吹き飛ばしてしまった。残ったのは三人だけだった。もう誰も助けに入ることはできない。これで終わりだった。
マニンは倒れていた兵士の一人の三叉槍を宙に浮かせ、それをルーベンに向かって投げつけた。少年にとっては、これで終わりのはずだった。血が砂の上に飛び散った。終わった――そう思われた。ルーベンは地面に倒れていた。マニンは自分の仕業を見下ろしたが、どこか不満そうだった。思った通りにはいかなかったのだ。ルーベンは意識を取り戻し、そして目にした。
地面に倒れていたのはアレックスだった。三叉槍が胸をまっすぐ貫いていた。彼は友を守るために身を投げ出したのだ。槍が当たる直前、ルーベンを突き飛ばして守ったのだった。ルーベンは動かない少年のもとへ駆け寄った。アレックスはかろうじて呼吸していた。口から血があふれ、言葉を発することもできなかった。
マニンは乱暴に三叉槍を少年の体から引き抜いた。傷はさらに悪化した。
ルーベンは必死に傷を押さえたが、あまりにも深すぎた。内臓はすでに致命的な損傷を受けていた。いつ息を引き取ってもおかしくない状態だった。
「おお!なんとも感動的な光景だな!吐き気がするよ!同僚たちはお前の死を気に入らないかもしれないな……事故だったと言っておこう。だが安心しろ。お前がいようがいまいが、勝利は我々のものだ!さあ、仕事を終わらせるとしよう!」マニンは再び三叉槍を構えた。
今度こそルーベンも殺すつもりだった。その時、見えない力が彼を止めた。体がまったく動かない。
アレックスだった。彼はフェニックスのように蘇っていた。その力をすべて解き放ちながら。灰の中から、彼が卒業式の前日に夢で見たあの荘厳な存在が姿を現した。光と闇――完璧に対称の姿。左半身は闇に覆われていた。揺らめく影が体を包み、漆黒の光を帯びた長い髪が生きているかのように空中で舞っていた。目は完全な黒に染まり、その視線を見つめれば最悪の悪夢の中へ引き込まれるようだった。背には巨大なコウモリの翼が闇を広げていた。右半身は光に包まれていた。純粋な輝きが体を満たし、太陽のようにまばゆく輝いていた。長い髪は白金の炎となり、目は神秘的な白い光を放っていた。背には輝く天使の翼が広がった。魂の二つの側面――悪魔と天使。
それが一つの存在の中に共存していた。今の彼を止められるものは何もなかった。ルーベンもマニンも、その神々しい光景に言葉を失っていた。
アレックスの傷はすべて癒え、その力は頂点へと達していた。
「ルーベン、離れていてくれ。そろそろここにいる“友達”に二言ほど言う時だ!」アレックスは、初めて完全に意識を保っていた。彼こそがあの存在であり、今やそれを確信していた。アレックスは翼を広げて空中へ舞い上がった。マニンは明らかに動揺していた。その力、そのエネルギーは比べるものがないほど強大だった。二人はほとんど目の前まで接近していた。アレックスは永遠の者の首をつかんだ。マニンは反撃しようとしたが、どんな攻撃もまったく通じなかった。
「いいだろう、マニン。ついにこの時が来たな。さっきお前は何と言った?結末は同じになる、私が何をしようとも変わらない、と?……今となっては、そうは思えないな。」永遠の者は逃げるために姿を霧のように消そうとしたが、不可能だった。少年の体から巨大なエネルギーがあふれ出していた。
「さようならだ、マニン!」アレックスは口を開いた。
暗黒の煙がそこから吐き出され、敵のあらゆる穴へと入り込み、内側から破壊していった。魂も肉体も消し去られていった。やがて彼の体は完全に崩れ去り、黒い蝶だけが残った。それは彼の精神――彼の力の源だった。アレックスは右目から強烈な光線を放ち、永遠の者の最後の、そしておそらく最も強力な部分をも完全に破壊した。残ったのは、ただの塵だけだった。マニンはついに死んだ。アレックスは、誰も成し遂げられなかったことをやり遂げたのだ。永遠の者は無敵ではなかった。アレックスは力を使い果たしていた。その神秘的な姿は消え、少年は意識を失って海へと落ちていった。永遠の者の影響から解放された海の蛇は、すぐに少年を助けに向かい、岸へと運んだ。ルーベンは近づいた。巨大な蛇の顔がすぐそばにあり、少し恐ろしかったが、それでも友人を助け起こし、意識を取り戻させた。今度こそ、アレックスはすべてを覚えていた。
「アレックス!」守護者が話し始めた。
「君は私たち全員を救った!自分の力だけで永遠の者を倒したのは、これまで一度もなかったことだ!」
「礼を言うのは僕のほうだ。君の助けのおかげで、多くの人や生き物が救われた。」戦いの疲れでまだ弱々しい声で、アレックスは言った。
「君こそ、私たちが待っていた者だ。」
「え?待っていたって、どういう意味だ?」アレックスは不思議そうに尋ねた。
「いいか、私たち海の怪物はこの世界でも最も古い存在の一つだ。世界とともに生まれた。何世紀もの間、古代の知識は最も深い深海に守られてきた。
私の民の間でも、そして地上でも、一つの予言が語り継がれている。破滅の予言であり、同時に救済の予言でもある。そしてその中心にいるのが君だ。
君の中には強大な何かがある。先ほど、私たちはそれを見た。予言はこう語る。『光と影が一つの存在に結ばれる。永遠の敵となるか友となるか、その存在によって決まる。存在の重みはその者の肩にのしかかり、決断はただその者自身に委ねられる。』」
「僕がその存在だって?そんなはずない。光と影だって?僕が今まで見てきたのは、自分の中の闇と邪悪さだけだ。僕のはずがない。君は間違っている。」アレックスはその話に強い不安を覚えていた。
ほんの数日前まで、彼はただの大学生だったのだ。それが今や、古代の予言に選ばれた存在だという。あまりにも重すぎた。ルーベンは何も言わず、その場に立ち尽くしていた。話を聞くほどに、ますます衝撃を受けていた。
「いずれ時間が経てば理解できるだろう。光は確かに君の中にある。もしそうでなければ、影が常に君を支配していたはずだ。覚えておきなさい。君は、目に見える以上の存在なのだ。自分の魂を受け入れなさい。内なる悪魔を抱きしめなさい。またいつか、君に会えることを願っている。」そう言い残すと、守護者はゆっくりと離れ、再び深い海の底へと帰っていった。




