第十五章:白鳥の歌
アテリアは、活力を失った海の水の中を素早く泳いでいた。彼女の姉妹や兄弟たちの死体が周囲に浮かんでいたが、彼女はそれを見ないようにした。重要な使命があったのだ。気を散らしている余裕はなかった。この戦いの運命は彼女の手に委ねられていた。失敗するわけにはいかなかった。
どうやって彼を目覚めさせればいいのだろう?彼は何年もの間、休眠状態にあった。まだ生きているのかどうかさえ分からなかった。
彼女は急いで、まだ戦争の混乱と苦痛が届いていない深い海域へとたどり着いた。守護者のもとへ近づく。彼の顔を探して、その周りを泳ぎ回った。巨大なとぐろとわずかな光のせいで、それは困難だった。
やがて彼女は、中央で守られている目標を見つけた。セイレーンの体は、その生き物の口と同じほどの大きさだった。これほど近づくと、さすがに少し不安を覚えた。
「偉大なる守護者よ、どうか私たちを助けてください。私たちの民が死んでいます。エターナルたちがここまで来てしまったのです!」
アテリアは、聞こえることを願ってその生き物に語りかけた。
「目を覚ましてください、お願いです!私たちはもうどうしていいか分からないのです!何人ものネレイデスが死に、多くの兵士が死に、そして私の姉妹や兄弟もたくさん命を落としました。あなたが助けてくれなければ、私たちは終わりです!」
アテリアは声を大きくし、蛇の鼻先を撫でた。しかし無駄だった。
確実に彼を目覚めさせる方法が一つあった。だが、それはあまりにも危険だった。――歌うこと。
ネレイデスとは違い、セイレーンは歌うことで自分のアイデンティティ、人間性を失ってしまう。伝説に語られる怪物へと変わってしまうのだ。太古の昔から、セイレーンの歌は死の象徴だった。特に船乗りたちにとっては。人を取り憑かせ、引き寄せ、そして殺す。
アテリアは何年も歌っていなかった。もし歌えば、彼女はすべての美しさを失い、殺戮者へと変わってしまうだろう。
彼女はもう一度蛇に話しかけてみた。そこまでしなくて済むことを願って。しかし、他に方法はなかった。
深く息を吸った。とても緊張していた。
数秒間じっと動かずにいると、やがて歌い始めた。
甘く美しい旋律が、海全体へ、そしてその外へと広がっていった。戦場にまで、その天上のような声は届いた。人々は皆、催眠にかかったように聞き入り、戦いは一瞬のあいだ止まった。
アレックスとルーベンもそれを聞き、魅了された。マニンでさえ耳を傾けた。
そのとき突然、セイレーンの前で二つの巨大な黄色い目が開いた。守護者が目を覚ましたのだ。
数秒間じっとしていたが、やがて体を伸ばし始めた。全身を現し、その壮麗な姿を見せた。輝く鱗を持つ巨大な生き物。恐ろしくもあり、同時に美しくもあった。アテリアは、目の前の光景に本当に圧倒されていた。
やがて彼女は、自分の体に変化が起こっているのを感じた。先ほどの歌の副作用が現れ始めていたのだ。
皮膚は鱗に覆われ始め、優しかった顔は獣のように変わっていった。口の中には長く鋭い牙が生え、髪は海藻へと変わる。輝いていた尾は暗く鈍い色になった。手の指からは鋭い爪が伸びた。
彼女はもはや魅惑的なセイレーンではなかった。伝説に語られる怪物になっていた。
守護者は彼女をじっと見つめ、蛇のようにシューッと息を吐きながら言った。
「親愛なるアテリアよ、私を深い眠りから目覚めさせてくれてありがとう。さあ、私はお前たちを助けよう。誰にも私の民を傷つけさせはしない。もう二度とだ!ついて来い、戦いの時だ!」
アテリアは何も言わなかった。怒りと飢えに飲み込まれていたのだ。もはや彼女を止められるものは何もなかった。
蛇とセイレーンは、戦いが激しく続く海面へ向かって泳いでいった。




