ドキドキの運試し
「外れですね、残念でした!」
「ちきしょー!!」
始まった福引きは阿鼻叫喚の舞台へと変わっていた…外れに嘆いているだけだけど。
「まだ当たったヤツいないよな?」
「引く人数が多いからその分外れが増えてるんだろうな。当たりは増やせねえし」
100人近くはいて、半分の人が引いたけど特等どころか5等が当たった人もいない。
…当たりが入ってないってことはないだろうけど、ここまで当たらないっていうのも珍しい気がする。
「こんなに当たらないと疑われそうですが、当たりは入ってますからね?開催側がいうのもなんですが…誰か早く当たりが入ってることを証明してください!次は27番の人どうぞ!!」
進行役の人が切実な声で懇願する。
今回当たりが出ないってなると、次回開催するときに参加する人がいなくなっちゃうかもしれない。
周りの人も当たってほしいと思い始めてそう。
「よし俺だな、特等当ててやるぜ!!」
男性が意気揚々と福引きを引く…が。
「…外れですね」
「なぜだぁぁぁ!?」
「本当に当たり入ってんのか?」
「さすがに入ってるだろ…疑う気持ちはわかるけどよ」
「みんな運悪すぎない?」
会場の雰囲気が悪くなってきた…誰かが5等でも当てれば盛り上がると思うけど。
「次は73番の方!」
「わ、わたしですね…」
「頑張って当ててください、この後の盛り上りはタンドップさんにかかっています」
「プレッシャーをかけるのやめてください…」
タンドップさんの番がやってきた。
今この場にいる人たち全員が、何かしら当ててくれと祈ってることだろう。
こんなに悪い雰囲気で終わってほしくない…お願いしますタンドップさん。
「福引き券は何枚お持ちですか?」
「2枚…です…」
「はい、確認しました。それでは2回どうぞ!!」
「…えいっ!」
まず1回目を引いた、周りが固唾を飲み込むなか当選したのは…
「…外れです」
「あう…も、もう1回…えいっ!」」
やはり当たりは入ってないのではないか?
会場の空気が最悪になろうとした…その時。
「お、おめでとうございます!!5等です!」
「はえっ?」
「「「「よっしゃぁぁぁぁ!!」」」」
当たりを引いた人が現れたことにより、会場のボルテージが一気に高まる。
よかった…タンドップさんのおかげでまだまだ盛り上がりそうだ。
「皆さんが気になる5等の内容ですが…初めてモンスター討伐をする人におすすめの装備!!」
「「「おおっ!!」」」
「…の、割引き券です」
「「「……」」」
訪れる一瞬の静寂…そして。
「装備そのものじゃないのかよ!?」
「ケチくせぇぞ!!」
「…いやまて、何割引きだ?」
「えっと…2割引ですね」
「冒険者の方はとにかくかかる装備代、それが初心者用とは言2割もお安くなるんです!ぜひご活用ください!」
「は、はい…」
「2割引きか、ならまあ…」
「初期費用がだいぶ浮くな」
「5等だしそんなもんか」
また空気が悪くなるかと思ったけど、みんな納得したみたい。
5等が初心者用装備の割引き券、他のはなんだろう?
「とりあえず当たりました」
「おめでとうございますタンドップさん。当たりが入ってることを証明できましたね」
「もうちょっと良いのが当たれば良かったんですけど」
「次に当たりを引くのはどなたなんでしょうか!次は…」
ーーーーー
「おめでとうございます!!4等です!景品は中級ポーション3本になります」
「やったぜ!!」
「3等です!景品は…装備の素材になるモンスターのドロップセットです」
「助かるわ~」
タンドップさんが5等を当ててから次々と…は言い過ぎだけど当たりを引く人が出始めた。
3等の人が羨ましい…収集癖がある僕からしたら特等よりも嬉しいかもしれない。
特等の内容は分からないから絶対そうとは言えないけど。
「最初のはなんだったんだってくらい当たりが出てるな」
「そういう演出とかか?」
「だとしたら序盤に引いたヤツは残念だったな」
「さあさあ!まだ出ていない2等以上を当てるのは誰なのか!次は13番の方!」
「あ、僕の番だ」
「特等、期待してますね」
「あはは…頑張ります」
先程のお返しと言わんばかりにプレッシャーをかけられながら前へと進む。
5等でもいいから当てたいところだけど…僕は特別に運がいいわけじゃないから、あまり期待できなさそう。
「福引き券を確認します、何枚お持ちですか?」
「3枚です」
「…はい、確かに3枚確認しました。ではどうぞ!!」
まずは1回目幸先よくいけるか…
「えいっ」
「…おめでとうございます!!」
よかった、幸先のいいスタートを…
「特等です!!」
「……え?」
「「「「特等きたぁぁぁぁ!!」」」」
スタートを切るどころかゴールしちゃった?




