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異世界”半”転移譚  作者: 武ノ宮夏之介
第九章「瞬介の文化祭」
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プロローグ「現実と異世界のはざまで」

『――と、いうことです』


「あなたがわざわざ私を招く意味がわかりました」


『ごめんなさい。ただ、知っておいてほしいと思いまして』


「……いえ、我らは調停者。精霊女王がいない今ではありますが、我々でこの度の帝国の行いに警戒を持って当たらねばなりません」


『……』


竜女王の言葉に、妖精女王は手を顎に当てて考える。そして――


『……帝国の現在の状態、それはご存知ですか?』


「ええ。……正直に申し上げれば人の種族に詳しくはありませんが……何が起こっているかくらいは」


『私にも理解不能です。……ですが、何か懸念を感じるのですよ』


「あなたがそうおっしゃるというのであれば、私のほうでも気に留めておきましょう。それで――」


『シュンスケのことですね』


「ええ。最初の結界樹に取り込まれ、土壌ができ……そしてあの最後の精霊力の吸収……あの者は確実に我らに近づいてはいませんか?」


『わが姉が切っ掛けとは言え、1人の人間にあそこまでの力が集まりなおかつ"進化"するとは思いませんでした……』


「大丈夫なのですか? ……人間には過ぎたる力かと思いますが」


『フィーナを通して彼を見ているので、大丈夫ですよ……まぁ、今回はそのフィーナもシュンスケに力を吸い取られてしまったということですが』


「さすがにあのやんちゃなフィーナさんでも、精霊力を吸い取られたら……

ですか?」


『竜種の方と違い、我らの力そのもの。あのエルフの隊長とやらが放った楔もそれに由来するものを何者かがエルフを唆し、使ったということは判明しております。もっとも……もうすでにその技術そのものは、廃れているようですが』


「……それは」


『おそらくは、ですが』


そうして2人はフィーナの珠を通して映像を見守る。

そこには、新たな力を扱いきれてない瞬介の映像がコミカルに描かれている。


「さすがは精霊女王の力が増したことで、均衡が崩れているようですね」


『しかし、彼は不思議とそれを扱いきれてしまうのですよね……』


妖精女王はため息を吐くと、映像をしばし見て竜女王に話しかけた。


『彼らに動きはしばらくないでしょう。わが姉の力を使いこなす時間が必要なはずです。なので――』


「我々で今回の黒幕たる帝国の情報を……ですか?」


『ええ』


妖精女王と竜女王はこうして各自、今回の件で情報を探るために動き出した。







現実世界、異世界とアベコベとなる意識に翻弄されている俺。

そこへ現実世界側のほうに新たな登場人物が現れた。

まぁ、両親なんだが……。


「瞬介!」


と、抱きしめるのは母さんだった。

心配かけちまったし、母さんのやりたいようにやられる。

背中を叩いていると、親父も声をかけてきた。


「もういいのか? その、あっちの影響かずいぶんと薄い感じがするが……」


「いや、まぁさすがにこんな状態じゃ外に出られないから……力が安定するまではこのままここに入院になりそうだ」


「そうか。まぁ、しばらくはこっちでゆっくりとすればいい」


「ああ、ありがと」


「なんじゃ? 婿殿の父君に母君か? は、話したいのじゃ!」


「いや、それはだめだ」


なんか、両親が身を乗り出して賛成してきそうな気がする。


「ふふ。ところで、シュンスケ様にエルフ族の長ならびにミーティア様が面会したいとのことですわ。どうなさいます?」


「え、こんな状態で大丈夫なのか?」


「どうしたんだい?瞬介くん」


「いや、なんかこっちのエルフ族の長の人が面会したいって」


「あ、あれか? やっぱりエルフ族って美男美女だらけか?」


何やら興味深々という感じの誠太が身を乗り出して聞いてきた。


「……ま、まぁ……。白エルフ族の人も黒エルフ族の人もそれぞれ個性的な感じだな」


「そうなのか、瞬介」


「ちょっとあなた」


ここで親父の出現に、母さんが窘めた。


「どうしましたの? 容姿がどうのと……」


と、俺のほうを見るラビィ。

そして何やら期待している様子のメジェネアを見る。


……ぶっちゃけ、エルフよりこっちのが容姿としてはずば抜け過ぎてるからな。


「いや、なんでも。こんな感じでもいいなら面談くらい出向きますよって」


「なら、伝えてきますわね」


「ああ、ありがとう」


なんていうか、現実世界と異世界とでごっちゃになってるから話しにくいったらない。


「とりあえず、あっち側で話があるからちょっとこっちの俺ぼーっとなるかもだけど待っててくれ」


「分かった、じゃあ邪魔しちゃ悪いから」


ということで、こちらの人たちには出て行ってもらい、俺は異世界側へと集中することにした。ただその集中もあんまり続かないというか……やっぱり力が増してる影響なのかやっぱりあちら側に集中しようとしても、集中しきれなかった。


「メジェネア、とりあえずこっち側は部屋からでていってもらったから」


「父君や母君へのわらわの紹介は?」


「する必要なし!」


「いけずじゃのう」


ということで、歩く音がしてきたので俺はエルフ族の長とミーティアさんを迎えるため待つことにした。




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