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異世界”半”転移譚  作者: 武ノ宮夏之介
第七章「帝国の躍動」
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エピローグ「瞬介のいない現実世界」

瞬介が眠ってしまった現実世界。

こちら側からいける樹海の木の下、妖精女王によってあることが行われていた。


『この者たちで全てですね』


そう呟いて見下ろした者たちそれは、この世界で生まれたわけではない存在――帝国の者たちだった。


そこには1人だけ少年がいた。


これと言って珍しくもない少年だったが、同じように妖精女王は異世界側の封印外に捨て置くことにした。少年の名はアーロンド・レニア。

彼がある真実を語る前に連れ出してしまったことを後々、妖精女王は後悔することになるのだった。


警察は、突如として消えた学校占領事件の主犯格及び、犯人たちや瞬介をつけ回る連中すらも消えてしまったことに上から下への大騒ぎとなる。

その中において異世界の事実を知ってしまっている誠太の母親・恵子は頭を抑えた。だがしかし、これもあちらの存在の仕業だろうということで、後々あちらから戻った瞬介から話を聞くことにして、仕事を続けるのだった。


異世界の話で盛り上がっていた車内では――


「……行っちまったか。本当にぼーっとしてるんだな」


「だね。今なら何しても怒られないほどに……」


「明花ちゃん、今のうちにどう? ブチューって」


「! な、何を言ってるんですか! 誠太さんは!」


やがて瞬介の住む町へと帰ってきた悠人たち一行は、病院へと向かいそして両親に抜け殻モードの瞬介を引き渡して、お芝居をお願いした後解散した。


そこから先は、マスコミを中心としたメディアも上へ下への大騒ぎとなった。


葬儀を行ってる最中のこと、父親の藩次郎が瞬介の遺体へと花を手向けようと棺桶へ入れようとしたときに、顔に赤身が差しそして起き上がったのだ。

藩次郎、判子の親族は大騒ぎして、生き返ったー!という声とともに外でその英雄を静かに見守るマスコミたちもそれらの声を聞くと、速報で飛び降りた少年が生き返ったという見出しで全国へと情報を拡散したのである。


事情を知っている人たちからすれば、一連が茶番ではあるが必要な茶番だとして、次に瞬介が帰ってきた時のことを考えると、頭が痛いと思えるものだった。


なんせ――


「ねぇねぇ、東郷君ってあの半田くんの親友なんでしょ? ……見舞いたいんだけど」


「そ、それは……」


親友と言われて悪い気はしないなと思いつつも、今回の件で特に集中砲火中だった自分にはさらに瞬介の友人という繋がりがあるためそれらを抑えるのが精一杯だった。


(全く……誠太君は、引き籠ってるし……明花のほうも大変そうだし)


テレビでは今回の事件で、すっかりヒーロー扱いとなった瞬介と自分。

瞬介は犯人の要求に答え、そして体育館に集められた全生徒を救ったヒーロー。

悠人は、体育祭のために早くにその場に来ていて、そんな犯人を取り押さえたヒーロー。


SNS上でも相当数のコメントが瞬介のことやら自分のことで賑わっていた。


「瞬介くん、願わくばしばらくこっちに戻ってこないことを祈るよ」


そう呟くと、悠人はため息を吐いた。




なお、誠太のほうは誠太のほうで家での自分の親による事情聴取がされていた。

そして犯人が突如として消えたことの真相も、だ。


「……つまりそのものすごい美人の妖精女王って方が、こちらの世界に干渉してきた帝国の人たちを回収して、あちらへと送ったと?」


「そうなんだよ、お袋。すげー美人でさ――」


「誠太」


「あ、はい」


「それで、瞬介くんは今あちら側に?」


「あの抜け殻モード、お袋も見ただろう? ってことはあっちに意識がいってるってことのようなんだ。おいらも初めてみたけどね」


「そうなのね……。はぁ~、まぁいいわ。あの子には色々助けてもらったし、それに――」


そうつぶやくと、テレビを見る。


「……可哀想ね、彼」


「ははは……」


親子で苦笑するほどの取扱い方は、もはや次元の違う扱いになっていた。




その洗礼は、瞬介の両親に波及する結果となった。


非業の英雄から、奇跡的に生を掴み取った英雄という形で。

連日家の前には記者らしき人たちが押し寄せ、インタビューをということだったのだが、近所の人たちにもインタビューをしているらしくあの子はああだったとか、あの子なら……とか特に面識のない人たちが答えてるということまであった。


「母さん、どうしよう」


「……わ、分からないわ」


そこへ一本の電話が掛かってきた。

藩次郎の父からだった。


「ああ、父さん。……うん、大丈夫……え?」


『ええから、落ち着くまでうちにこりゃええ』


「ああ、助かる。わかった」


電話を切ると、判子へと藩次郎は伝えた。


「……悠人くんの病院の近く、あそこに父さんの住んでいた家があってそこに避難すればいいって話になったよ」


「まぁ、じゃあ瞬介の様子も見に行けるわね!」


「ああ、ということで深夜に出かけようと思う」


「わかったわ」


誠太の母親・恵子のおかげで瞬介の家の周りには、警察が護衛に入っていて不審な人が入らないようになっている。一件だけだが、そういうのが現れたからだ。


しかもどこかの動画サイトの配信者も現れるで、それはもう色々と自分たちの家では迷惑をしていた。

自分の息子がやらかしたことの立派さよりも、生きていてくれたことのほうがよかったのだが……さすがにそれで近所迷惑な感じになっている今の生活環境はまずいということでの措置だった。


「瞬介……帰ってきたら覚悟しているんだぞ」


「はぁ~……瞬介抱きしめて癒されよう」


判子のほうは、もう現実逃避を始めているようだった。

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