7話「復活のHalfass(ハーファス)」
俺はそんな話をして、あの出入口であるという帝国領と聖国領と森国領の国境の空白地帯にあるという森からここまでやってきたことを伝えた。
あいつらには、悪いことをした。
ちょっとの間こっちの世界を体験させようとも思っていただけに、聖国から距離メーターで言えばだいたい30kmの平原地帯を冒険させただけだったしな。
妖精女王によって、元の木のところへ転移した後――
車ごとあちらに帰して、俺自身も帰ろうとした時妖精女王が伝えてくれた。
『この場は封印いたします。二度と、こちら側からそちらへと行くことができぬように』
「それって向こうからもですか?」
『ええ。この世界にとって、あちらの世界のことは害であると私自身が判断しました。それにあなたの住まう国――日本でしたか、そこが介入ともなれば……』
「確かに……めんどくさいことになりますね」
『安心してください。あなたを介した介入程度であれば、問題はないと思います』
つまり、俺が前にこっちに持ってきたスマホとか、ああいうのであればということかな?
「あ、そうだった。……結局、こちらとあちらが繋がった原因ってのは」
『姉の力、それをあちら側へと転生する際に備えたことによる歪みです』
と、そもそも繋がった原因を教えて妖精女王は転移で去っていった。
「……そんなことが」
「にしても、あちらの婿殿の友人……だったか? よい男たちじゃ」
「ガルゥ」
俺が語った内容は、色々と衝撃的だったようで何より精霊女王の力を備えているという俺の力には特に驚いていた。
「……それで今後はどうなさいますの? 血塗られし魔物の対処を、ですが……」
「もちろん、帝国軍をどうにかした後にルビーデーモンの発生を少しでも抑えるさ。ハーフリンカーの力を用いてでも止めて見せる」
「しかし、ハーフリンカーの力だけでは……」
「こういう時のために、フィーナがいるんじゃないか」
俺の発言に驚く一同。
フィーナは自体は話に飽きたのか、寝ている。
さっきから静かだなと思ったら……。
「フィーナ様を? もしかして、けしかけるんですの?」
「……いや、森国から帝国へ行く」
その経路に不思議な顔でラビィが聞いてきた。
「それはもしかして?」
「……帝国のことだから森国にまで喧嘩は売ってないだろ?」
「そのように聞いておりますわね」
「やっぱり……。森国を抜かしたとしても、手に入る領土は莫大。まぁ、ルビーデーモンの被害の想定くらいはしそうなもんだし」
それからラビィから聞いた話では、森国は、精霊郷、妖精郷の眷属国といっていいほどに忠誠を誓っているとのことで帝国もさすがに精霊や妖精に喧嘩を売れないということで、森国は対象に入ってないと聞いた。
「とりあえず、戦力的に今はどんな感じなんだ?」
ということで、聖国、及び獣国への進軍具合を聞いてみると――
「聖地か……、いかにもな場所だ。獣国は散発的な感じなのか?」
「そうじゃ。わらわが相当蹴散らしたというのもあるのじゃ」
「そうなのか? それはお疲れさん」
「ん~~」
何やらキスをねだってきたが、ため息を吐いて拒否をする。
「そういうのはいいから。それじゃ聖国の聖都に行くか」
とりあえず、聖国を離れることを伝えるため首都に向かうことにした。
▽
「……なに? あの小僧がだと」
「はっ……そして"あちら"への世界の小屋が壊されておりました」
「道は通じているのか?」
「それが……」
「……では彼奴の世界へはもう行くことはできぬと?」
「御意……」
「赤き呪われの魔物どもはどうだ?」
「報告の通りであれば、各地でポツポツと出現をしていると……」
「……兵を引け。直にあの小僧につく妖精にやられる……ならばその前に」
「かしこまりました」
そうして帝国の皇帝はじっと、立ち去る男の背中を見つめながら考えに耽る。
「未だ数は足らず――ならば」
▽
しばらくして、帝国軍は驚くほどあっさりと全ての国から撤退を開始した。そして一方的な停戦協定をつきつけてきたのである。
各国、これは森国も含めた人種国全てが怒気をあらわにしたのは言うまでもない。
が、帝国はそれらを跳ね除け帝国領への入国を全て禁じた上で、鎖国状態となる。
帝国へ報復をと考えていた各国の貴族や獣人のお偉方もいたが、鎖国とともに各地で現れる謎の魔物・ルビーデーモンの存在に手を焼き、そちらへの対処で苦慮していた。
そこへ聖国・聖都に現れた長らく不在にしていたHalfassのリーダーシュンスケとメンバーのメジェネアの言葉によって、ルビーデーモンの正体が知らされた。
この情報が共有されたからといって、対処方法は普通の魔物とは違い桁違いに強いということのみであまり変わらなかった。いや、兵力や戦力を余計に割くということとなったのだ。
その情報と今回、帝国軍を相手にリーダー不在ながらも協力してくれたHalfassのメンバーらには褒賞を聖王より賜った。
聖王認定の"聖騎士勲章"という聖国への自由な行き来、また聖王への自由面会権といった権限が与えられた。
「にしても、聖国の北が森国なんて都合がいい展開もあったもんだな」
「……帝国の狙いも、なんとなく分かったのじゃ」
「ええ」
こうして瞬介が復活したことでようやく人数を揃えたHalfassは森国エルヴィンへと向かうことになった。




