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異世界”半”転移譚  作者: 武ノ宮夏之介
第七章「帝国の躍動」
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6話「あれからの瞬介③」

唐突に現れた妖精女王と話をすることになった俺は、俺のツレを紹介しようとしたのだが……。


『いえ、私にとって姉と関連のあるあなた以外の人間、興味がありません』


ということらしかった。

窓を開きこちらの様子を伺ってる悠人たちに、ちょっとそこで待っているように伝えて俺は妖精女王と話すことにした。


「そ、そっか。……それで、話というのは?……異世界――俺にとっちゃ現実世界の物を持ってきちゃまずいとかですか?」


『それもありますが……それが重要なことではありません。私が直接出向いたこと、それは姉に関連するあなただからこそです』


「お、俺に? えっと、精霊女王様でしたよね」


『ええ。今、あなたは姉の力を持った状態ではなく封印されている状態です。理由は……ご存知ですね?』


「あの闘技会の時のことですよね、あの時俺が全力を出して最後の一撃を――」


『ええ、あの一撃は間違いなく精霊女王――我が姉の力を"全て"叩きつけようとした結果のことです。それは私が防御をしたため、大事には至りませんでしが……』


「俺の力のつもりだったんですけど……あれってそうなんですね」


『そうです。そして、その力を全て使ったあなたはあちらへと帰ることを余儀なくされ、そのままあちらでの生活を送ることになったのでしょう。だからこそ、あの後どうなったのかを知るためにこちらへと来たと推察しますが――』


その後に語られたのは衝撃の事実だった。


帝国による人種国家への唐突な宣戦布告ということだった。

ここに精霊、妖精、竜といった上位種が含まれないのはつまりはそういうことだろうとのこと。


『我々は、全てこの世界の調停者にしてこの世界を守るモノ。外部の世界からの脅威を含め、我が種族に対しての敵対的行動さえ行わなければ人種族たちの争いには一切関わりを持ちません』


「……そうなんですね。でもおかしいですよ? 俺たちがいる現実世界には手を出しても問題ないみたいな……そんな風にも聞こえます。実際、俺はあっちで死んだことになってます今のところはですけど」


『他の世界については他の世界での出来事……と、言いたいところではありますが明らかに今回の件はこちらの世界からの干渉によっての出来事ですのでそこは、ある程度は見逃そうと竜女王との相談によって決しています。それに――』


そう言うと、妖精女王は憂いを帯びた顔で俺の顔を見て言い放った。


『あなたは覚えていないとは思いますが、前世で姉をあなたに助けられ、前世で死んだ後のあなたに関わった姉があなたに宿した力によって……ある事情があるのです』


「その事情とは?」


『あなたのハーフリンカーの力、それは姉が自分の力の半分を元に作り出した力なのです』


え、そうなの?という風に驚いたのは言うまでもない。

精霊女王というからには上位種族であることはもちろんのことだし、それだけの力を持っているのなら人1人へと与える力なんてほんのちょっとだと思っていた。


だが、精霊女王自体の力を半分も消費しているという。


『……正確には、半分の半分、つまりは4分の1程度の力ですね。姉自体は今、この世界からの追放処置という禁忌処分を受けておりますので……』


「つ、追放?」


『力を持つ者というのはそれほどのことなのです。例え、姉であろうが……誰であろうが……』


普通の国であれば、国外追放みたいなのが世界ベースだと世界からの追放になるのか。


『さて、ご自分のお力は分かったかと思います。私が介在しなければどうなっていたのか……ということですね』


「あ、そうか」


精霊女王の4分の1とは言えそんな力を1人の人間に全力で叩き込めば……今の知力全力状態の俺では容易に想像できてしまう。


「なんていうか、その節はどうも……すいませんでした」


『いいのです。まさかあなたがここまでご自分の力を理解しつつあるというのも、予想外でしたので……さて、伝えたいことは他にもあります』


その語りかけに俺は再度聞く姿勢を取る。


『此度のあなたの世界への関与、並びにこちらでの帝国の動きからして……今回の糸を引いている人物、帝国の皇帝が本命であるとこちらでは承知いたしております。そして……』


「そして?」


『砂国であなたも経験をされたあの血塗られし魔物ルビーデーモンと呼ぶあれらを発生させようというのが狙いのようです。2万5千年前――砂国のある場所で邪悪な魔術師が生み出したモノのそれと同様だとも分かりました』


「……」


邪悪な魔術師というのは、おそらくメジェネアに聞けばその頃のことを聞けるのだろうけど今は黙って話を聞くことにした。


『帝国の狙いは、あなたの世界の――こちら側にとっては未知の武器を用いての戦争行為。それによって、人々の怨嗟や恨みなどを媒介とした人為的なスタンピードを起こす行為と結論付けました』


「そうなんですか……」


まさか、ラノベのテンプレで悪役となる帝国がそのままテンプレ通りにとは思わなかった。


『ちなみに我らへとその情報を提示したのは、公国です』


「公国? ……って、大公を頂く国のことですよね」


『はい。公国は帝国の従属国であり、一般的に全王会議にも出られないほどに力のない国ではありますが、存在はしております』


公国か。

たしかに現実世界でも小さい国――だった印象が強い。


『かの国は、帝国から外れた帝位継承権を持った第2位が大公のその位を継いで帝国の意見のままに支配がなされているとか……我々もあまり詳しくはありませんが、……帝国はルビーデーモンを生み出し、全人種の国へとその手を広げつつあると大公自身が我らの郷までやってきて証言をしてくれました』


「そうなんですか」


公国グッジョブだな。


『帝国がなぜその方法を知ったのか、そして……なぜあちらの世界のあなたの命を狙い姉の魂を解放しようとしたのか……それは未だ分かってはおりませんが、我らは先の発言のように介在することはできませんので、シュンスケ……勝手ではありますが、あなたの力を貸してほしいのです』


まぁ、勝手ではあるな。

自分たちは調停者、だから世界の危機であれば別だが人同士の場合には介在できないから唯一どちらにも入ってない俺がと言うのは。


だが――


「わかりました。今回、妖精女王さまのおかげで俺は人殺しどころか、相当な被害を出すことなくあの護衛を倒せたのですから……その恩返しということで、引き受けます」


『ありがとうございます。では、あなたがあなたの仲間と合流次第、また再びにフィーナを派遣いたしますので、よろしくお願いしますね』


え、今フィーナってこっちの俺についてないの?

と、驚きの報告を聞いたが俺はそれも了承した上で今回の依頼を受けたのだった。


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