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異世界”半”転移譚  作者: 武ノ宮夏之介
第七章「帝国の躍動」
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5話「あれからの瞬介②」

俺は、2人の子供じゃない。

それを知ったのは俺が前世について、聞いてからずっと疑問に思っていたからだ。


そこから記憶を辿り、半減の力からの反動での知力アップで思い出したまだ若い頃の親父の顔。そして、保育園時代に出会った母さんと結婚し共に俺を育てる話をしているところを偶然聞いたこと。


そして、それに関連して今日見た樹海の木という異世界転移ポイント。


俺を拾ったらしい親父の口から聞きたかったのだ。

もし聞いたとしても、俺の……俺なりの愛情は変わらない。


だから、母さん悲しい顔をしないでほしい。


「……分かった。本当は成人してからと思っていたんだがな」


「ありがとう、それから話を聞いても……その……俺が2人の息子だってのは変わらないからさ……だ、だから」


「瞬介!」


母さん、今から真面目な話をするんだ。

だから空気を読んで。

抱きしめないで!


苦笑した親父は、咳払いをして気を取り直し語った。


「まず……そうだな。俺が瞬介を拾ったのが――」


そこからの話はこうだった。


親父は、今もそうだがNPO法人で働いている。

それは自殺防止対策相談等といった事業。友人だったある人に誘われたそうで、親父自身もその熱意におされて今も続けている仕事を行っているとのことだった。


その頃行っていたのは、樹海など有名な場所の見回りと説得という仕事だという。


俺が赤子で木の下に放置されていたのは、そんな仕事中のことだったそうだ。

親父は俺を見つけ、実の親を探したそうなのだが……見つかることはなったそうだ。


そこで、親父は自分で俺を育てることにしたという。

そこから保育園で保母をしていた母さんに出会い、そして結婚した。


中学生になった俺は一度、2年生の林間学校で何者かに狙われたことがあった。

他の生徒とはぐれた俺は、親父の親戚による養豚場で得た知識でサバイバル生活を送り、無事に保護された過去がある。


それに不審を覚えた親父は、学校を変え現在の家へと引っ越してきた。


語り終えた親父は母さんの肩に手をやり、こう締めた。


「黙っていて悪かったな。だが、お前は俺たちの息子だ。大事な、大事な息子だ」


「っ!」


やばい涙が出てきそうになった。

分かってる。

本当の親子じゃなくても、俺が親父の背中を見て育ち母さんからたっぷりの愛情をもらって育ててもらったというのは十分に分かってるから。


「……ありがとう、親父、母さん。ちょっと留守にするけど、心配しないでくれ」


「こっちのことはまかせなさい」


「……瞬介、無理だけは……いえ、死なないでね」


「もちろん、だって母さんの手料理まだまだ食べたいもん」


「ふふ、そう言うと思ってこれ……」


そうして渡してくれたのが母さんの弁当だった。

……なんかお重になってるけど。


「恵子さん、すいませんけど……両親をよろしくお願いします」


「……あなたこそ、無理しないようにね」


そして俺は悠人の車に乗り、そのままあの樹海の木を目指した。

誠太と明花を連れて。

本当は、彼らを乗せるつもりはなかったが。


「冷たいよね、うちのお袋を関わらせといて……」


「本当ですよ! 殺し合いなんて無理ですけど、戦力としてはお役に立てます!」


というわけである。


「とにかく、ここからは遊びじゃないんだ。そうだろう?瞬介くん」


「……ああ、本物の剣とか魔法とかそういうのが溢れてる世界だ」


そんな中を高校生たちで行こうとしてるのだから、あまりにおかしいと言えばおかしいだろう。だけど、今は俺の全力モードでカバーができる。

いつ切れるのかは分からないけど、それでも眠っているあっちの俺たちと合流しなければ……。


あっちの状況がまるで分からない分、それは絶対だった。

やがて樹海の木の異世界転移ポイントへと到着した。


一度、俺1人で様子を見て誰もいないことを確認すると、車で乗りつけて入っていった。


「半田様、小屋でございますが……」


「うん、なぎ倒しちゃえ」


「かしこまりました」


そうして小屋をなぎ倒して、そのまま車を走らせてもらった。

まずは場所を知らなくてはならない。

ここがどこなのかという。


「瞬介くん、一応コンパスを持ってきたんだけど……」


「まずはここがどこかを知ってからだな、そのコンパスは」


「確かにそうだな。よし、いこう!」


誠太の声によって、車を一旦走らせて森になってる部分からぬけだした。

もちろんその間も俺は気配を探るのをやめていない。

なるべく人目につかないルートで、なおかつ人がいそうなところをと走らせようとした時、脳裏に言葉がよぎる。


『シュンスケ、止まりなさい』


「え?」


俺から聞こえた声に反応したのか、悠人がどうしたんだい?と聞いてきた。


「いや、今頭に直接――」


『私ですよ、シュンスケ。妖精女王です』


「あ、竹林さん。ちょっと車止めてもらえます?」


「は、はい」


唐突に言われた竹林さんは慌てて、ブレーキを踏んだ。


「妖精女王さまからだ。それで……どうしたんですか?」


『今そちらへ向かいましょう』


すると、車の目の前にスっと姿を現してきた。

車を降りると俺は妖精女王さまに礼をすると、話を聞くことにした。


「それで、何か用があってここまで来られたんですよね?」


『はい。こちらのあなたがいる場所をお伝えしますので、どうか聞いてください』


ということで俺は妖精女王の話を聞くこととなった。



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