4話「あれからの瞬介①」
まさか、校舎から飛び降りるとは思わなかったな。
……俺は今、犯人のリーダーによって校舎の屋上からダイブを要求されていた。
「さてと、うまくいけば怪我しないと思うんだけど……」
と、呟き俺はあることを叫んで飛び降りた。
校門とか色んなところから悲鳴やら何やらが聞こえたが、気にせずに俺は仰向けになり悠人に後を託す。
予想外だったのはここで軽い突風が襲ったことだった。
何とか踏ん張りをきかせ、うつ伏せ側になり地面に落ちる直前、校舎を軽く蹴って衝撃を和らげた。
思いっきり鼻から擦れて痛かったが、まぁ仕方ない。
そこへ警官たちがブルーシートを持って走ってきたのが見えた。
警官たちの先頭を走っているのは誠太の母親だった。
「瞬介くん! 大丈夫!?」
そうしてブルーシートに囲まれた中で、俺は誠太の母親――恵子さんに声を掛けられる。
「あ、はい。校舎をちょっと蹴って衝撃逃したので」
ほんのちょっとじゃないと、今の俺じゃコンクリが割れるし。
「……はぁ~、あなたは無茶をしすぎよ!」
と、怒られた。
「……それで? このままあなたは死んだことになったと思うわ。本当にいいの?」
「両親には事前にここから連絡はしてますので、ご安心を」
「……ため息しかでないわ」
と言われた。
まぁ、あっちではこんな屋上から飛び降りるどころか、それ以上のことを経験してるからとは言えないし。
「とにかく、救急車お願いします」
「ええ、分かってるわ」
そして、俺のために呼んだ救急車に乗せられそのまま学校を後にした。
それから病院で死体安置所に連れていかれた後、そこで入れ替わり髪を染めてそのまま恵子さんと一緒に犯人たちを監視していたところへと戻った。
まだ気配は残っているので、俺はその通りに進んでもらって今度は巻かれることはなく奴らの拠点を見つけるのだった。
そのまま別の刑事さんにその場を引き継いでもらって、俺は本当の奴らの居場所を探るべく恵子さんと一緒に行動していた。
「瞬介くん、犯人はあれだけではないというけど……」
「誠太も知ってることですが、実は俺――」
そしてこの場で恵子さんにも、俺の正体というか力を明かした。
現在は代償で全力モードのため証明はできないが、それはこれから向かうだろう奴らの出入り口で証明ができるのだ。
「……とても荒唐無稽な話ね。子供が考えつく話としかおもえないわ」
「俺も最初は疑ってたくらいですからね。……誠太の奴はあっさり信じましたけど」
「あの子がね……」
そう言うと愛する息子を思い出したのかクスっと笑って、真面目な顔をして車の運転に集中した。
そのまま、車種を変え、色を変えなどして追跡していくととあるところを目指しているのが分かった。それは――
「……ここ、樹海?」
一部じゃかなり有名な名所。
富士の樹海だった。
それからも追いかけると、奴らは周囲を探り誰もいないことを確認してそのまま樹海へと徒歩で向かっていった。
恵子さんとともに、十分距離を取った上で追跡をする。
そして――30分ほど歩いたある木に手を置いた奴らはそれに吸い込まれるようにして目の前から消えた。
「ちょ……」
「あそこか。異世界側への出入口は……」
驚愕する恵子さんに、アタリを見つけた俺とで反応は変わっていた。
そんな俺の反応に知っていたのとでもいうように視線を向ける。
「異世界側を認知してるって言ったでしょ。ただ、あいつらがどこからこっちとあっちの行きと帰りを使ってるのかはわからなかったんですよ」
「そういうこと……」
俺の説明に納得したのか、行きましょうと声をかけ俺も頷いて一緒に奴らが消えた木のところまで向かった。
念のために俺が先行する。
あちらとこちらでは時間の流れが違うみたいだし、何より――
「今の俺のほうが強いので」
と言って先行して入っていった。
そこは、どこかの森に建てられた小屋のようなものだった。
……ん、気配がある。
気配を消してそっと近寄り小窓から外を見ると、何やら奴らがやり取りしているのが見えた。そしてそこから駆け足でどこかへと向かっていった。
もう気配はない。なので――
「恵子さん、いいですよ」
「え、ええ」
近くで俺が消えたことで真実だと分かったのか、その後すぐにため息をついて俺の下まで近寄ってきた。
「それで、ここはどこなの?」
「……場所までは俺も」
「そう」
それから外に出て、周囲にいる日本にはいない生命――主に野性の鳥とかを見て、ここが異世界だと確信したらしい恵子さんはただ空笑いをするのみだった。
場所は分かったし、と俺と恵子さんはその場を離れそして現実世界に戻った。
「……とりあえずここのことは今のところは内緒で。私としてもこれはもう管轄を離れすぎているし……」
「……でしょうね」
そして、悠人たちに連絡を取ると一度実家に帰るのだった。
なぜあそこに異世界側と通じる木があるのか。
それを聞かなければいけない相手がいる。
それは――
「ただいまーってね――」
「! 瞬介!」
家ではない。
悠人の親が経営する病院内での再会だ。
母さんに抱きしめられて迎えられた俺は、母さんを撫で親父は帰ってると聞くと帰っていると返答があった。
「……ただいま、心配かけた」
「ああ、無事で良かったよ」
「でさ、聞きたいことがあるんだ」
それは――
俺が持ち出したのは、戸籍抄本。
「俺が2人の本当の子供じゃないこと。……どこで俺を拾ったのか? だ」




