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異世界”半”転移譚  作者: 武ノ宮夏之介
第八章「森国エルヴィン」
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プロローグ「森国エルヴィンへ」

森国・エルヴィンへと続く道は、森に囲まれており道らしい道もないのでフィーナに掴んで飛んでもらって移動していた。

他国でこんなことやっていいのかと思うだろうが、まぁこっちには切り札的な妖精フィーナがいるし、何か言われたら言われた時に治せばいいだろう。


そんなことを考えながらも、風を感じていると何やら下から声が聞こえた。


「フィ、フィーナ様ぁぁぁ!!」


「おい、フィーナ! お前を呼んでるぞ……って、なんか聞き覚えのある声が」


俺はフィーナに高度を下げるように伝えた。

すると、ブーブー文句を言いながらも高度を下げていく。

ある程度馬車の高度が下がると、俺は飛び降りてエルフの下まで行った。


そして見覚えのある顔が見えたので挨拶をした。


「ミーティアさん!」


そう、誰であろう拠点にしている町・アランの町で宿屋を営んでいる宿主のミーティアさんだったのだ。


「どうしたんです? アランの町以外で会うなんて珍しいですよね」


「は、はい……はぁ~……。エルフ族の長たちからの指示で案内役をと」


「わざわざ、俺たちのためにですか? ありがとうございます」


そして、馬車から2人が出てくると事情を説明し、ミーティアさんにも馬車に乗ってもらうことにした。そこからは超低空を飛んでいき場所を案内してもらって森国の首都たる森都へと辿り着いた。


馬車を下りて周囲を見ると、これまた美男美女という感じのエルフ族――しかも褐色のエルフもいたり耳が短いエルフなど色々な種族のエルフたちが生活を営んでいた。大きな木を切り抜いてそこを家にしていたり、木の上に木造の家が建っていたり、様々な種類の家があった。


その中でも立派な巨大な樹の切り株の上に作られたらしき屋敷っぽいところへと

案内された俺たちの中でも注目を集めたのはやはりフィーナだった。

ひそひそと聞こえるのは、妖精の方だとか私、妖精の方を見るのは初めてよとか

そういう囁き声だった。


屋敷の前に立つ弓矢を持つエルフたちにミーティアさんが話しかけると、俺たちはミーティアさんを連れて奥へと通された。

奥の部屋は広く作られており、そこに3人の長っぽい人たちが座っていた。

その中央にいるのは先日の全王会議で、王の護衛の時に見かけた美男のエルフさんだった。


「やあ、先日の護衛の人族の……よくいらしてくれた。さ、そこへお座り」


そう言って中央のエルフの王? っぽい人に声をかけられて、俺たちは車座に座った。


「……それで早速なんですが」


俺は分かりやすくこの森国に来た経緯を説明した。

だが、その説明途中に――


「長老、申し上げます。西の帝国領より……血のように赤い魔物が」


やられた。

俺はそんな風に思った。

血のように赤い魔物など、砂国で見たアレしかいない。


ルビーデーモン――。


「俺たちも協力します! ……いいよな、みんな」


「ふん! なんであたしが――」


「あ、すまん。訂正。フィーナ以外、お前は強制参加だ!」


「ふふふ。ええ、もちろんですわ」


「婿殿の頼みじゃ!」


「ガルゥ!」


「なんであたしは強制参加なのよ!」


「俺の護衛だろ?」


「くっ!」


というわけで俺たちはその場所へと向かうことにした。

だが――


「シュンスケ殿、そういう名前だったはず。……妖精様に大して少し不敬すぎやしませんかな?」


と、右側にいた長老の人に突っ込まれた。


「え? ……いや、いつもこんな感じで」


「それはそれは……、だが我らにとって、精霊様、妖精様というのは上位の存在ですので。決してあなたの道具だと勘違いはなさいませんことを」


そう言って左に座る長老さんにも言われてしまった。

道具扱いだろうか。

まぁ、今はそれどころじゃない。

というわけで俺は、みんなを連れて外に出る。







「あの人間……我らに害が及ぶならば――」


「待て。それ以上は妖精女王陛下に関わる言霊となる……辞めよ」


「しかしだな」


「あのフィーナ様の様子をご覧にはならなんだか? 何やら嫌がっていた言葉とは違い……いや、多くは語るまい」


「そういうものか」


瞬介たちの出ていった方を見ながらもため息をつき、そして傍仕えを呼ぶと対処をまかせるための指示を頼んだ。


さっきの言葉を聞く限り、ここでフィーナに馬車を持たせるとまた何やら言われそうだったので素直に馬を借りることにした。

西側へと向かう途中、同乗したミーティアさんが問いかけてきた。


「砂国の依頼でしたっけ、そこで同じようなことが?」


「はい。メジェネアはそれで自らを贄に封印をするほどの脅威です。……はっきり言って普通の魔物とは比べ物にならないほど強いです」


「そうですか……」


「ご安心を。我らには経験がありますもの」


「そうじゃな。わらわもおるのじゃ」


コーディは俺の手に頭を押し付けて、忘れるなという感じだったので撫でてもちろんお前も頼りにしていると撫でてあげた。


「フィーナも頼むぞ」


「分かってるわ! ふふん、あたしにまかせれば……ふふふ」


何やらさっきのことでなのか、機嫌がいいらしい。

確かに一面だけ見れば馬車を持たせたり、戦力として扱ったりと道具扱いをしていると見えてしまうのは否めない。


だが、こいつだって俺の仲間だ。

そんなことを考えながらも俺たちは現場へと駆けつけるのだった。



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