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異世界”半”転移譚  作者: 武ノ宮夏之介
第六章「瞬介の体育祭」
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エピローグ「瞬介のいない世界」

瞬介が身を投げ出し、警察によってその場で死亡が確認されたと報道された

数日後のこと――


彼の葬儀がひっそりと営まれた。

各報道陣はこぞって、全校生徒を庇い自ら命を投げ出した半田 瞬介という人物に関わる人へと取材を行った。


特にひどかったのは家族への取材だった。

あまりのひどさに、悠人の家へと一時退避するほどだった。


そして別高校に通っていたはずの悠人がなぜか、瞬介の高校にいた理由が謎だったのだが生徒会長ということで誰よりも早く職員室にいてそのまま隠れやり過ごし犯人を取り押さえて事件解決に一役買った英雄とも言える悠人だったが、家の力によって報道の手から逃れていた。


唯一、葬儀の場でインタビューができると当て込んでいたのだが、それは鉄壁の防御が敷かれてどの報道局も彼に接触することはできなかった。


半田 瞬介という高校生の死は、全国のみならず全世界へと波及していく。







一方、異世界側では――


「どういうことよ!」


フィーナの叫びが馬車の中に響く。

ラビィたちも驚愕していた。

それは、フィーナが取り出した珠から映し出された妖精女王の言葉にだ。


『シュンスケの護衛を解く、そう言ったのです……戻りなさい、フィーナ』


眠っている瞬介のほうを見て、切なそうに見える妖精女王は今度はラビィたちのほうへ視線を向ける。


『申し訳ありませんが、我らは人同士の争いに組みすることはできないのです』


「……それは一体、どういうことですの?」


「人同士の争い……妖精女王それが起こるということかの?」


『ええ、そのためだけではありませんが……起き上がることがなくなったシュンスケを護衛させる意味がなくなった……そういう意味でもあります』


その言葉にラビィのみならず、メジェネアも驚愕の表情を持って答えた。


『では、フィーナ』


「ちょっ!」


妖精女王が手をかざすと、彼女たちの前から姿を消すのだった。







その頃の異世界では、混乱に継ぐ混乱に満ち溢れていた。

それは――帝国による突然の人種族への宣戦布告である。

人同士が起こった場合、それに精霊、妖精、竜といった上位存在たちは関わりを持たないのは世界共通のルールであった。


「こういうこと……だったのか」


人族の王国・イーファス国王はあの全王会議での皇帝の言葉に思い当たった。

今後も各国協力しての統治をという言葉に最後まで同意しなかった。

いつもは、同意をするその言葉を言わなかったこと。


「あの謎の武器……」


それは瞬介との対戦で見せたドワーフたちの国王も見たことがないと呟いていたあの武器が宣戦布告の理由かとあたりをつけた。

あれほどの武器が安易に用意できるのであれば、戦力を考えれば……。


「陛下」


「……どうした」


「帝国の者たちの進軍予測がでました」


「それで?」


「聖国、それから獣国へとどうやら進軍をするそうです」


「森国を避ける理由はもちろん――」


「おそらく精霊国、妖精国を刺激しないためでありましょう。森国は、所謂かの国々の眷属国となりますので」


「帝国もバカではないということか」


それほどまでに、上位種族たち精霊、妖精、竜というのは人種族にとっては畏怖すべき存在である。


「戦力は……シュンスケらを招集することは可能か?」


「それが……未だ目覚めないとのこと。また、護衛にあたっていた妖精殿も妖精女王の要請によってシュンスケ殿の任を解かれたとか」


「なんだと」


それはある意味、最大の戦力を失くした状態に陥っているということだった。


「皇国、それから別大陸となる砂国は我が国へ支援をして下さる旨」


「……そうか」


王国にとってはそれでも帝国に勝てるのかと、自分たちの戦力や支援状況を今一度確認することにするのだった。







「……さあ、どうしましょうか。こういう場合、今までシュンスケ様が決めていただけていただけに未だ目覚めないシュンスケ様はあてにはできませんわ」


「ふむ、わらわとしては……そうじゃな、ここに残り動向を探る必要があると思っておるのじゃ」


これまで砂国の巨人を全力で倒した時の最大4か月ほどを考えれば、未だ瞬介が目覚めることはないという……いや、それよりももう目覚めることがないと断言した妖精女王の言葉も気になっていた。


そして――


「どうやら、動向を探る暇もないようじゃ」


「ええ、殺気をここまで見事に隠しているようですが、そこだけぽっかりと気配を消すのは下策ですわね」




そう言うと、突然窓から入ってきた赤い血のついた刃で襲い掛かってきた者たちを、ラビィは落ち着いて対処した。


「……舐められたものですわね」


「全くじゃ」


2人目は、メジェネアのキセルによって横殴りにされ吹っ飛んでいった。


「どうやらここも安全ではない様子。至急出発いたしますわ」


「コーディよ、今は協力すべきじゃ」


「ガルゥ」


分かっているとでもいうように唸ると、剣を咥え眠る瞬介を守る位置に立ったコーディ。


こうして瞬介のいない異世界でも状況は進むのだった。

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