6話「全王会議⑥」
王が出発する日、俺たちは先行して3日はかかる王国の西にあるという大きな都市へとやってきていた。もちろん半分の時間――いや、1日できてしまっていた。
最近のフィーナは森よりもやたらと町の中にいたがる感じがする。
なんでだろう、あの処刑以来そんな動向が多くなっているような。
まぁそんなことはいい。
とりあえず、協会へ顔を出して周囲の魔物を排除したり、盗賊討伐などをしなきゃいけないということで俺たち冒険者パーティは大変だった。
そりゃ全世界から王が集まるのだ。
まぁ、妖精女王とか竜女王がいる時点でってやつだがそれでも体裁は取りたいとのことで護衛の役に付くまでの間、冒険者として先に現地に赴き討伐依頼を中心にこなしてほしいということだった。
「半減!」
……俺はなぜかあえて自分に半減の力で負荷を与えて戦っていた。
なんかそうしたほうがいいらしいというラビィのアドバイスだ。
ラビィ達はといえば――
「――待蝉地脚!」
「――ショーラ・ラアナ(呪いの炎)!」
「ガルゥー!」
と言った感じで余裕そうに技を繰り出しまくって魔物たちを討伐していた。
今現在俺の周囲は力を制御し、自分のみを対象に半減して力を発動してるので、
敵だけ強く、俺だけ手加減してる状態だ。
「し、しかも……はぁ……はぁ……体力も半分だからもう疲れが……」
自分に掛けた力はネガティブイメージに全振りだ。
そうしてしばしの後――
「はぁ!はぁ!はぁ!……もう無理!」
何十匹かの魔物を討伐後、さすがに疲れたのでぶっ倒れた。
「婿殿が、お疲れのようじゃ」
「ですわね。では――」
そうして残りの魔物をメジェネア、ラビィとリンスのみで全て倒した。
どうやら俺は修行のための討伐らしい。
なんか魔法を習おうという流れから、ここまでラビィ提案の流れが不自然な気がする。
何かに備えるかのようなそんな感じがするのだ。
俺は魔法さえ扱えればと思っていたのだが……。
全王会議ってそこまでシビアになるのかと思う。
「ふふふ……それは楽しみにしておくといいですの」
謎の微笑みで、誤魔化された。
そんな訳で討伐の依頼をこなしていると、宿に役人がやってきた。
どうやら王が到着したらしい。
ということは、これから俺らが護衛任務に就くということか。
護衛の引継ぎとかは特になく、身辺警護ということで王の周辺を守ることになるらしい。だが――
「ほう、そうなのですな」
「ああ、我が領地ではな……まぁ甘味ゆえ楽しみにするとよいのじゃ」
「……これは交易をして間違いなかったということですな、はっはっは」
なんで、うちの冒険者メンバーと一国の王とが対等に座り、歓談してるんだろう。
もちろん俺も座らされている。
メジェネアがリーダーだけ立たせることはまかりならぬという言葉で、だ。
ちなみに今は、砂国の名物であるデザートの話をしている。
……俺も食べたが確かにあのサボテンはうまかった。
いや、そうじゃなくて。
「あの……」
「ん? どうしたのじゃ、婿殿」
「いや、おま――あんたに話しかけたわけじゃなくて……」
「ほう? では余か? どうしたのだ、そんなに緊張する必要はないぞ」
無理に決まってるだろーと叫びたいがもちろん叫ばない。
この王国の王はプライベートでは本当に気さくな方だった。
今や貴族はここにおらんという理由だけで、この場を俺とメジェネアでの護衛に残しラビィたちには先に休んでもらって護衛の交代要員という感じになる。
「……さすがにこの状況は慣れないというか」
「本当に謙虚な少年なのだな。まぁ、公ではそういう態度でよいが今は無礼講というやつだ」
「そ、そうですけど……」
「婿殿、王がこう言っている時はほんに無礼講でよいのじゃよ。ふぅ~……」
王を前に、お前はキセル吹かせるな!と言いたいが言えない。
なんていうかもう色々疲れさせられた。
ため息を漏らすと、王が快活に笑う。
「はっはっは、ため息が出るほどに息を抜くのがちょうどよい」
「もう色々諦めました……」
ということで、俺は王とメジェネアの歓談に参加した。
主にあの巨人と戦った時のことなど、だ。
ちなみにフィーナは俺に割り当てられた部屋で寝ている。
まぁ、あいつに義務――いやあいつ、あの少女の件で冒険者登録してる!
だがしかし、あのフィーナは俺を護衛するだけにいるからな。
そして翌日――
上等な服に着替えさせられ、王の傍で護衛をしながら順々に訪れる王、女王を俺は黙ってみていた。
14か国分となると、出迎える王としても辛いのか俺経由で飲み物や拭きものを渡す。
――ヒュッ!
そんな音がしたかと思った時、その場には妖精女王が現れた。
「お出迎えお疲れ様でございます、人王よ」
「妖精女王、先の件では大変お世話に……ちら」
って、俺の方を見た。
妖精女王も俺のほうを見ると、クスっと笑う。
「シュンスケ、こうして直接会うのは初めてですね。前世では姉がお世話に」
「いえいえ、こちらこそ」
日本人的な愛想返しで妖精女王と……いや、護衛と話してていいのかな?
というところでまたシュッ!っという音とともに誰かがやってきた。
「あら、竜女王」
「まぁ、妖精女王。それに、人王。お出迎えですか?……まぁ」
と、新たな人が転移してきた。人?いや、竜女王って言ってたし……。
そうしてると妖精女王がこちらを向き、そして竜女王に紹介してくれた。
「こちらシュンスケ。うちのフィーナがお世話になっている人間です」
「……はじめまして。迷宮都市ではご迷惑をおかけしたようで」
「え? えっと……」
「はっはっは、竜女王よ。本人はあなたが来たことなど知らんよ」
え、迷宮都市に来たの?
なんかそう言えば、フィーナに聞いた気がする。
「ここでお話も何ですし、また後で……」
そうして2人の女王が、会議が行われる建物へと話しながら入っていった。
仲いいんだな。
「……この度の出迎え、終わらせたならば自由を許すゆえ語ってまいれ」
「あ、はい」
ということで、俺は改めて続々とやってくる王族たちを出迎えるのだった。
……護衛として。




