7話「全王会議⑦」
出迎えを終えると、いよいよ会議となるようだ。
護衛はその間、護衛待機室という場所にて待機するという。
俺たちもそこへと案内され、そしてそれぞれの場所で待機している人たちを見渡してみた。
そこには色々な種族がいた。
小さいのも、大きいのも、妖精っぽいのも……。
「なぁ、フィーナ。同族がいるんだ。挨拶したらどうだ?」
「ナーリアとセグじゃない!」
「フィ、フィーナ様……」
どうやら顔見知りらしい。
向こうは顔見知りたくない感じだったが。
フィーナを任せるとして、俺は俺で他の種族を見ていた。
そこへ、声をかけてきた何やら燃える化身のようなものがこっちに来た。
「……お前か、陛下を助けてくれたというモノは」
「あ、えっと……前世のことらしいですけど」
「だが、代わりに陛下は……いや、詮無きことだ、忘れろ」
そうして燃える化身は、向こうのほうへと行き腕を組んでいた。
なんだろう?精霊族の人か?
その後も、砂国の人にも声をかけられた。
出迎えの時も気安い感じでアト様に声かけられたし、この中ではひたすら友好的な存在である。ちなみに俺よりももっと好意的なのはもちろんメジェネアに対してだが。
なので、砂国の護衛さんの対応はメジェネアに任せることにした。
あとは――小さいが大きいドワーフ、長い耳が特徴的なエルフ族などか。
それぞれ相性が悪いかとテンプレ的なことがあるのかと思ったらそうでもないようだ。さっきから親しげに話しかけてるからだ。そこにまた俺へと歩み寄ってくる――兎の人が現れた。
「失礼する。貴殿が、こたびの王国の護衛殿だろうか?」
「え、あ、はい。俺だけじゃないですけど……」
「そうであろうか。我はラビット族護衛・ラピスと申すだろう」
なんだろうこの兎さん、特徴的な話し方の人だ。
「よ、よろしくお願いします」
「うむうむ、よしなによしなにだろう」
だろうが語尾なのだろうか?
「……ほう? ラピス殿に目をかけてもらうとは、王国のモノとしては珍しいでござるな」
またまた声が掛かった。
そこにはTHE 和という感じの侍だった。
乱暴に後ろ髪を縛っているが、目は海の様に澄み綺麗な着流しという感じの着物を来ていた。
「あ、どうも……あなたは?」
「拙者、ヨークシャテリヌ=サナダという。よろしく頼むでござる」
ヨ、ヨークシャテリ……一字間違ったら完全に犬種かよと思ったが突っ込まないぞ。
この人は特徴的だったのは覚えてる。
何しろ、ミカドという存在が顔を隠してこの人が護衛として連れてたからな。
それに……やっぱりこういうテンプレっていうのがあったのかとなんか安心した。
名前が意外すぎたが。
「はは! ……負け犬どもが、何をそんなに群れている」
「ん?」
なんかやってきた。
呼んでもないのに、だ。
嫌な感じがするので無視しよう。
「ヨークシャテリヌさんとお呼びしたほうがいいでしょうか? それとも――」
「貴様、この俺を無視するとはいい度胸だな!」
……。
「サナダさんでいいですか?」
「あ、ああ。それでよいでござる……よろしいのか?」
「ええ。失礼な態度には失礼で対応しますので」
「貴様……」
「名前も名乗らず、貴様扱い。そんな失礼な護衛に興味はないですすいませんどうもありがとうーございましたー」
という感じで軽くあしらった。
「……ふふふ」
「ははは」
何やら笑いが起きている。
「どうもどうも、ところで! ラピスさん撫でさせてもらってもいいでしょうか?」
「ん?うん…よいだろう」
というわけで撫でさせてもらおうと手を伸ばそうとした瞬間、金属の擦れる音がした。と同時に――
「……なんだ貴様らは」
「わたくしたち護衛というのは、なんですの?」
「何~!?」
「主君である対象からその身を守るのが護衛……あなたのお国柄というのは他国へ喧嘩を売るという文化がある護衛なのでしょうかとお聞きしておりますの」
「くっ!」
「……帝国という国は、今も昔も変わらぬのですわね」
そう言うと、剣を抜こうとしていた柄の部分を足で抑えていたものを引っ込めてラビィはため息を吐き言い放った。
「……情けないですわ」
そしてラビィはあとはおまかせしますわと言って俺に振ってきた。
いやいや……。
「ふん、貴様ら……絶対後悔させてやるからな」
と言って別室へと向かい、そのまま戻ることはなかった。
なるほど、あれが帝国の護衛か。
帝国って言ったら皇帝だろ?……なんか確かに見下してた感じがしたな。
出迎えの時。
にしても、絶対後悔させてやるってどういうことだろう?
俺が疑問に思っていると――ラピスさんとサナダさんが声をかけてきた。
「どうやら、闘技会で勝負をつけるつもりだろう」
「……で、ござるな」
と、いう何やら新たなキーワードが出てきた。
「と、闘技会?」
そうつぶやくとラビィが素敵な笑顔でそうですわと頷くのだった。




