能力測定へ(鬼角 正修の場合)
疲れた
コツコツコツコツコツ
蒼黒校長を先頭に、Z組一同、能力測定が行われる何処かに連れていかれる。
まぁ、能力測定が行われるくらいなんだから広目の部屋とか敷地なんだろうな。
そんなことより誰に能力向ければいいのかな?
あ、別に他人に向けて能力発動しなくても良いか。壁とかに打てばある程度は計測できる・・・・のかな?
それにしても、初日から能力測定が必要とかめんどくさいな。
クイクイ
「ん?ゥッ!」
「ねぇ?セイくん能力どうするの?」
俺の制服の端を引っ張ったチユが振り向いた俺の顔にダイブするように顔を近付け、わざと吐息をコソコソ話を始めた。
「お前のソレいつまで経っても驚くんだよなぁ・・・・・ハァ・・・」
「ありがとう」
「褒めてねぇって」
TPO考えられないのか?いや、チユはそういう事全部考えてわざとちょっかい吹っ掛けてくる人種だった。
「今の時点でこの『能力学園』の中で俺の能力を知ってる事を俺が知っている人は、お前と俺の両親なんだよ。その他の事は分からないけど、バレそうになったのはめぐるんだけかな」
「あらあら」
ねっとりとした『あらあら』が耳をくすぶった。
これって・・・・・・
「俺の母さんのマネはやめろ」
「あれ?ダメ?」
チユは、前かがみになって膝に手を当て、母譲りの巨乳を腕で挟んむ、所謂、セクシ~なポーズをとって俺の事を誘惑したのかわからないが、他のZ組が進んでいったので俺はチラッと見て、何も見なかったことにして進んでいった。
「ちょっと待ってよ~~~」
チユが後ろから飛び掛かってきた。飛び掛かってきたのをすかさず躱した。
チユは最初からそれを想定していたかのように、スカートを抑えていた。
コイツはそういう奴なんだよ。
「ほれ、起きろ」
チユに手を差し伸べる。
チユは嫌に素直に俺の手を取り、起き上がった。
何か違和感・・・・・・
チユの目線が下にそれている事から俺の後ろに何かいるのだろう。
うん・・・・・・分かってる。チユが目をそらすの何て校長ぐらいしかいないっていう事は。
振り返ると案の定校長がいた。
「すんません」
校長に一礼した。
「いや、イチャイチャするのは構わない。だが、それは授業外でやってくれ。この時間も一応授業なんでな」
イチャイチャ良いのかよ。しかも、一応て。この学校意外と乱れてるのか?
「あ、はい」
校長はクルリと方向を変えて、真っ直ぐ歩いて行った。
許されたらしい。
Z組一同も進み始める。
その流れを逆流してめぐるんがススススと近寄ってきた。
「なぁなぁ、何話とったの?」
「たわいもないことだよ」
ホントは結構重要な話で、これからの事が決まってくる話だったんだけどな。
「嘘やろ?だってお父ちゃんイチャイチャゆうてたもんな?」
めぐるんは狐顔をニヤニヤさせながら俺の肩に腕を回した。
「ハイハイ、もーいいだろー」
「あからさまやなっ!」
隣りにいるチユが、『実はいました』状態になっていた。
校長に注意されて委縮してしまったようだ。
そう言えば、俺は『マインドコントロール』があるから大丈夫だけど普通の人なら気圧されてるもんな。
これじゃあ、めぐるん払いが居ないじゃん。
俺はめぐるんの顔をジーーーッと眺めてしまった。
「なんやねん!ハズカシイッ!」
めぐるんは狐顔を赤らめ、顔をプイッと背けた。
めぐるん♂♀どっちなんだよ!そういう反応とかするからさらに分かりずらいんだよ。
ブツブツブツブツブツブツ・・・・・・・・
チユが真顔で何かを呟きながら俺とめぐるんの間の後ろに幽霊のようにスゥと現れた。
「セイくんの良いところは・・・・・・・・」
「ヒッ!もういい!もういいから止めて!!」
そう言って苦渋の表情でダダッと一同の先頭の方に走っていった。
「ひどいなお前?」
「?」
何が?と言わんばかりの顔を見せてきた。
「全部わかってくるくせに」
やっぱり校長のせいでチユは声を発していない。
まぢこうちょうこわすぎ
語彙力が低下するぐらい怖い。
今度は幼女がす~っとやってきて俺の横っ腹を1,2回
ゴス!ガス!
それに+4回やられた。
その後、何もなかったかのように戻ろうとした幼女の肩を掴んで引き留めた。
「いや!なんでだよ!おかしくね?」
幼女がクルリと振り返った。
長い髪をファッサーーと散らかせてこちらを振り返る様は、シャンプーのCMみたいだった。
小雪みたいな?
こんなに小さくないけど。
振り返った幼女の目は、親の仇を見るような、汚いものを見るような、そんな禍々しい視線だった。
え?俺なんかした?
幼女は、そんな視線で俺を2,3秒睨むと団体の方に戻っていた。
「チッ」
え?
舌打ちのした方を向くとチユさんがいた。
どうやらその舌打ちは俺にではなく幼女に向けられたものだった。
なんでかって?
見てくださいよ・・・・・・こんな顔ヒロインがしちゃいけないでしょ。
例えるなら般若のお面、みたいな感じ。
頼むから問題起こさないでくれよ・・・・・あの時みたいに・・・・・・・・
とっくのとうに心の奥底にしまっていた昔の一事件が脳裏に再びこびりついた。
思い出したくも無い。
「・・・・まぁ、落ち着けよ」
チユは幼女の方を一点に見つめている。
・・・・・・・・ガリッ
バッ!
「落ち着けって言ってんだろ!」
チユが爪を噛み始めるとヤバい。
俺は、爪を噛み始めた腕を抑えた。
『やめろっ!』と言いかけて口が思考停止した。
「・・・・・・・・っ」
違う、今言うべきはこれではない。
「ありがとう。でも、大丈夫だ」
「でも」
「お前に心配されるほど俺は落ちぶれたのか?」
「・・・・・・・・」
抑えていたチユの腕の力が消えた。
「もういいか?」
右手を軽く刀の鞘に乗せた校長が俺に聞いてきた。
どっちの意味か分からなかった。
「はい、大丈夫です」
が、とにかく答えた。
俺の返答を受けた校長は、右手を所定の位置に戻して、話し始めた。
「ここが測定場となる」
・・・・・・・・講堂じゃん。
昨日入学式で来たからわかるけど・・・・狭くね?
校長が扉を開くと講堂の中には人が一人歩いていた。
勉強か小説かどちらを取ろうか悩む。
私は、両方を完璧にできるほど器用でも、天才でもない。
じゃあ、どちらかを取って、どちらかを捨てなければならないのか?
一般的に考えれば、勉強、を優先するのが、普通で、そうしないとこれからの生活に影が落ちてしまうかもしれない。
だけど、心のどこかには、小説家になりたい、又は、小説を書きたいという本心が確実に居座っている。
何をもっていい人生とするのか?
ハイリスクノーリターンの可能性が高い欲望通りの生き方をすればいいのか?
今勉強したことをなるべく使わず俗にいう楽して稼げる職業に就くことなのか?
分からない。
分からないけど時間は進むから仕方なく生きていく。生きていかなければならない。
そんな僕みたいな僕じゃない物語を・・・・・・・・




