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フレイム王国興亡記  作者: 疎陀 陽


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第百三十八話 ラルキア王城腹黒会議


 ブルクハルト家本邸での『会合』から翌日。溜まっていた仕事を片付けた為に、ベッドに入ったのは既に『夜中』と言うより『明け方』に近い時間帯だったが、それでもキチンと午前中に起床したクラウスは聖王通りで軽く朝食を取った後、その足で王城へ向かった。王城内のセキュリティは……まあ、人力ではあるも完璧だが、クラウスとて『ホテル・ラルキア』の次期会長有力候補である。顔なじみの衛士と二言、三言交わしてフリーパスで王城に入ると、その足でシオン・バウムガルデンに与えられた部屋に向かった。ノックをコンコンコンと三度。『勝手に入れ』というシオンらしい声に肩を竦め、クラウスは部屋のドアを開ける。

「……いつ来ても……っていうか、昔っからだよね、シオン? ちょっとは部屋、片付けたら?」

「部屋を片付ける時間が無駄だ。時間は有限だからな」

 部屋の右端、辛うじてそこだけ空いているスペースに置かれた机に向かって作業を続けながら、シオンがペンを持っていない方の左手で部屋の対角線を指差す。

「丁度良かった。暇なら助けてやってくれ」

「……助ける?」

 シオンの声と仕草に、言われるがままにクラウスが視線をそちらに送る。シオンの指差した先には、女性物と思わしき下着が散乱しており、思わずクラウスが視線を外しかけ――そのまま、凝視する。


「…………何やってるんですか、コータさん?」


「……き、筋トレでもしてる様に見えますか……す、済みません、クラウスさん! た、助けて頂けませんか!」

 今にも倒れそうな衣装棚を必死に支える浩太の姿を見た。『ああ、だからシオンの下着が床に散らばってるのか』なんて場違いな感想を抱き、いやそれ所じゃないと思い直したクラウスが、慌てて浩太の側に駆け寄った。

「だ、大丈夫ですか、コータさ――って、おも! 何が入ってるんですか、コレ!」

「す、済みません。助かりました」

「いえ……取り敢えず、コレを戻しましょう。このままじゃ二人とも押しつぶされますので。せーので行きますよ? せーの!」

 二人で息を合わせ、衣装棚を元の位置へ。恐る恐る手を離し、動かない事に安堵の溜息を吐いた後、クラウスがジト目でシオンを睨んだ。

「……あのさ、シオン? どんな理由があろうと、部屋の隅で下敷きになりそうな人を放置するって、人としてちょっとどうかと思うんだけど、私?」

「あの衣装棚は私の主任研究員就任記念に父が買ってくれた物だ。イヤらしい話、そこそこ値段の張る高級品だ。作りもしっかりしているので長く使えるが、その分重い」

「……だから?」

「クラウスとコータ、二人でどうにかこうにか持ち上げられたんだぞ? 私が助けに行った所で下敷きになる人間が一人から二人に増えるに過ぎん」

「……いや……まあ、それは……で、でも! だったら、せめて助けを呼ぶとか!」

「それも考えたが……だがな? 今のこの部屋の状況を見て見ろ?」

 そう言ってぐるりと室内を見回すシオンに釣られる様、クラウスも室内を見渡す。

「……どうだ?」

「酷いね、相変わらず」

「そこは解釈の違いだな。私はこの部屋に痛痒を感じていない……が、まあ問題はそこではない。今の状況を見てみろ? 私の部屋で、二人っきりで、床には下着が散乱しているんだぞ? これを見ず知らずの人が見て、一体どう思うと思う?」

「……どうって……」

「狭い部屋に男女が二人、床には散らばった下着、息を荒げる男。私が『きゃー』なんて言ったら、ホラ、出来上がりだろう?」

 浩太が死ぬ。主に、社会的な意味で。

「……」

そう思い押し黙ったクラウスが浩太に憐憫の瞳を向けて見せる。そんな視線を受けて、浩太が乾いた笑みを浮かべて首を左右に振った。

「……逃げる事、出来なかったんですか?」

「恐らく出来たと思うんですが……でもね? この衣装棚を買ってもらう時にシオンさん、嫁入りまでいらないって言ったらしいんですよ。そしたらお父さんが『それじゃシオン、何時まで経っても買って上げられないじゃないか……』って言ったらしくて……そんなの聞いたら、不憫過ぎて傷つけられないじゃないですか」

「……」

 クラウス、言葉もない。自身もラルキア大学でシオン父の講義を聞いていた身だ。シオンに似ず、常識的な良い人だったバウムガルデン教授に心の中で手を合わせ、クラウスは一つ咳払いをして見せる。

「ま、まあそれはともかく! コータさんが居たのは丁度良かったです。昨日、ホテル・ラルキア会長であるアドルフ・ブルクハルト氏と食事をして来ました」

「お前の義父だろう? 何を取ってつけた様に仰々しく言っているんだ」

「……様式美ってあるでしょ、シオン? まあ、それで昨日の件について話をして見ました。コインではなく、紙幣で取引をするメリットについて、です」

 クラウスの言葉に、浩太が息を呑む。そんな浩太を横目でチラリと見やり、シオンがつまらなそうに鼻を鳴らして見せた。

「それで? 結果はどうだったんだ?」

「結論から言うと、ダメでした」

「だろうな。予想通りだ」

 クラウスの言葉に、なんでも無いようにそう返答するシオン。そんなシオンの様子に、慌てた様子で浩太がフォローを入れた。

「シオンさん! す、済みません、クラウスさん。そして、ありがとうございます。骨を折って下さって」

「いいえ。シオンのいう事ですし、別段気にしていませんよ」

 そんな浩太の声に自身の言葉通り、大して気にした様子もなく、そればかりか苦笑しながらクラウスはそう答える。

「結果を残して無い以上、お礼を言われる事ではありませんよ?」

「い、いえ! そんな事は!」

「まあ、それにですね? どうせお礼を言って頂くのなら、この後の方でお願いします」

 そう言って、一息。

「会長、お逢いして下さるそうです。今日、明日、どちらでも構わないとの事ですので」

 そう言って笑んで見せるクラウスに、浩太も笑みを浮かべる。

「……ありがとうございます、クラウスさん。御足労をお掛けしました」

「いえいえ。別段大した労を取った訳じゃ無いですよ」

「そうだな。クラウスは食事をしただけだ」

「シオンさん!」

 先程よりも少しだけ強めの浩太の叱責。その声に片手をあげたのはクラウスだった。

「イイんですよ、コータさん」

「クラウスさん……ですが……」

「長い付き合いです。シオンが『ああいう』言い方をする時は感謝している時なんですよ。天上天下唯我独尊な人ではありますが、『感謝』が出来ない人間ではありません。そういう所は割合、しっかりしているんですよ」

「……」

「コータさん? どうしました、微妙な顔をして」

「いえ……どれだけ分かりにくいんだろう、と思いまして。私には罵倒している様にしか聞こえなかったんですが?」

「……そ、そう言われると……ですが、コータさん? シオンはこう見えて本当にしっかりした所も………………ええ、あります!」

 クラウス、力を込めて言い切る。そんなクラウスに、シオンが心外だ! と言わんばかりの視線を向けた。

「何を言っているんだ。こう見えても何も、私はしっかり者だぞ?」

「「………………え?」」

「……何故ハモる、お前ら。特にクラウス、お前が言ったんだろうが。良く考えて見ろ? 私が……ええい。プライベートがだらしがないのは百歩譲って認めるが、私が全力でこのままだったら、本当に主任研究員が務まると思うか? 自分で言うのはなんだが、割合に激務だぞ、主任研究員という職は」

「……確かに」

 シオンの働きぶりは浩太もその目で見ているのだ。言っている事は強ち間違っていないのは分かる。分かるが……なんとなく、納得できない。

「まあ、それはどうでも良い。それよりクラウス、お前はアドルフ氏にどの様な話をしたのだ?」

「どの様な話?」

「私やコータよりも近しいクラウスが説得して無理だったんだろう? ならば、私やコータはそれとは別の切り口で行かなければ意味が無かろう?」

「ああ、そういう事。紙幣導入のメリットを説いたんだけど……結果はさっき言った通り、惨敗だよ。そもそもウチは紙幣を導入するメリットが薄いんだ。だから――」

「やはりな」

「――結構……って、え?」

 シオンの言葉に、クラウスが喋りかけた口を閉じてシオンを見やる。頭に疑問符が浮いているその顔を見やりながら、シオンが言葉を継いだ。

「私も主任研究員という職に就いている。主任研究員とは文字通り、『研究』をする人間だ。そして、私はその研究成果を発表する必要がある。仕事だからな、これが」

「それが?」

「議論の組み立てとは大まかに分けて二つしかない。総論を作って、その後に各論を作るか、各論を作って、それを組み立てて総論にするか、だ」

「えっと……?」

「紙幣導入による個々のメリットの提示、というのは言わば各論を作る事だ。持ち運びに便利という各論、輸送費が安くつくという各論という根源的な各論に、例えばベッカー家だったら家族愛という各論、リッツであれば名誉欲という各論、ロート商会であればバカ息子の下手の帳消しという各論。バウムガルデン商会であれば、ロッテ翁には逆らえないという各論。それらを纏めて『総論』にするんだ」

「……ようは、上から作るか、下から作るか、という話でしょうか?」

 浩太の言葉に小さく頷いて、シオンは言葉を続ける。

「先に上げた四つの商会については各論の組み立てでも良いと思う。一つ一つの各論を積み上げる事により、ある程度説得力のある論陣が張れるからな」

「ホテル・ラルキアに無理だ、と? シオンさんはそう仰るので?」

「ホテル・ラルキアにはそもそも根源的な各論が存在しない。より正確には、根源的な各論が非常に薄いだけで、決してない訳ではないのだが……まあ、アドルフ氏がそれをメリットと考えていない以上、どちらでも大差はない。加えて、ブルクハルト家には独自の各論が存在しない。まあリッツは除くが……先程言った通りの、『各論』がな」

「……さっきまでのシオンの話だと、イイ事なんでしょ、それ?」

「勿論イイ事だとも、クラウス。これをする事によって問題が解決する、という事がないという事は、差し迫った問題がないという事だ。それは経営者としても、一家の家長としても幸せな事だと私は思うぞ?」

 そのせいで話がややこしくなるのだが、と肩を竦めて溜息を吐く。

「まあ、それはいい。人の不幸を喜ぶような人間には成りたくはないからな。話を戻そう。先程の各論から論旨を構成するやり方では各論で躓いてしまうと論旨の組み立てが出来なくなってしまう事は往々にしてある。事実、一つの実験の失敗で論文がぱーになる事もあるんだ」

「現状、正にそれだってシオンは言いたいの?」

「そういう事だ。だから、構成を変える。上から作って見ようじゃないか、論旨を」

 そう言って、シオンは浩太に視線を向ける。

「コータ? 私達は『何』をしたい?」

「紙幣経済の導入……というより、正確には通貨発行権の王府移管ですね?」

「そうだ。で、あれば、だ。王府移管に賛成するメリットを説くだけの必要もあるまい」

「……?」

「分からんか? 最終的に王府移管が成ればイイんだ。だったら、賛成するメリットを説くのではなく、『通貨発行権の王府移管に反対するデメリット』を説いても良いんじゃないか?」

 シオンの言葉に、クラウスが『あっ』と小さく声を上げる。その声に、シオンが満足そうに頷いて見せた。

「……クラウスの前で言うのは憚られるが……他の商会の様な弱点の存在しないホテル・ラルキアにこの方法しかあるまい。そう考えれば、論旨の組み立てもし易かろう」

 そう言って、シオンはクラウスを見やる。

「どうだ、クラウス? この通貨発行権の王府移管、ホテル・ラルキアが『反対』する事に、一体どんなデメリットがある?」

「……紙幣による流通の利便性、というのはメリットに成り得ないから逆にデメリットには成り得ないし……保管庫にも十分空きがあるから、別に硬貨でも困らない……」

「もっと……そうだな、『根源的』な問題があるだろう?」

「……根源的な問題?」

「分からんか? ホテル・ラルキアとはどういったホテルだ?」

「どういったって……そりゃ、自画自賛の様でカンジが悪いケド、超高級ホテルだと思っているよ?」

「そうだ。顧客層には富裕層が多いし、『王室御用達』のホテルだ。設備も最高だし、サービスも良い。そんなホテルだと、掛け値なしで私もそう思うさ」

「……どうも。シオンもそう思ってくれているんだね」

「当たり前だ。私だってフレイム王国人だからな。そしてクラウス、この王府移管は誰のアイデアだと思う?」

「誰のって……そりゃ……」

 言い掛けて。

「……ロッテ翁の――っ!」

 シオンの言わんとする事に、クラウスが気付く。

「……気付いたか?」

 愕然とするクラウスに、シオンがニヤリと口の端を歪めて見せる。

「そうだ。このアイデアは『フレイム王国宰相』であるロッテ・バウムガルデンのアイデアだ。そして、ロッテ翁と我らが親愛なる女王陛下はツーと言えばカーの間柄だぞ? 陛下自身、このアイデアに関しては関心を寄せていると言っても良い」

「……」

「ホテル・ラルキアのサービスは超一流だ。食事にしても、設備にしても同様に超一流だと思う。だがな? よく考えてみろ、クラウス。一流のサービスも、一流の食事も、一流の設備も、何もホテル・ラルキアだけのお家芸では無かろう? ウェストリアにも、ソルバニアにも、ローレントにも、ホテル・ラルキアには劣りながらも良いサービスをするホテルはある。それでも皆が皆、ホテル・ラルキアへの宿泊を希望するのは……ホテル・ラルキアをホテル・ラルキア足らしめているのは一体、何だと思う?」

「……『王室御用達』の看板だ、と?」

「勿論、それだけがホテル・ラルキアのウリだとは言わん。さっきも言ったが、他のホテルが百点だとすれば、ホテル・ラルキアが百二十点だからな。だが、それでも王室御用達の……『女王陛下の不興を買う』というのは、純粋にデメリットだと、そうは思わないか?」

 そう言ってじっとこちらを見つめるシオンに、クラウスは背中に流れる冷汗が止まらない事を感じた。

 シオンの言っている事は、基本的に正しい。ホテル・ラルキアのサービスが一流である事も当然ホテル・ラルキアのウリではあるが、『女王陛下も宿泊した部屋』というのが一種のステータスである事は間違いないのだ。『芸能人のだれそれが泊まった部屋』をウリにするホテルや、『芸能人のだれそれがお気に入りのお菓子』などをウリにする御菓子屋と本質的に大差はない。

「女王陛下にソッポを向かれる可能性をホテル・ラルキアは一切考慮していない。なぜなら、ホテル・ラルキアは二百五十年の長きに渡り、『フレイム王国』の定宿だからだ。その地位を手放すなんて事、これっぽちも考えていない。違うか?」

「……違わない」

「ロッテ翁に恩が売れる、では無いのだ。ロッテ翁から恨みを買わない、というのが重要だ。デメリットの回避、コレだって十分『メリット』だろう?」

 そこまで喋り、汗でびっしょりとなっているクラウスから視線を外すと、浩太にその視線を向ける。

「どう思う、コータ?」

「ごくごく個人的に、ですが……私は反対です」

「……ほう? 理由は?」

「大まかに分けて、二つ。一つは『王室御用達』というのは、本来的に王室に気に入られて……この言い方は正しくありませんか、ご機嫌を取って頂くモノではないでしょう。品質を担保に与えられる称号だと思っております。それが、政策に反対されたから取り消される、ではフレイム王家の御威光に傷が付くでしょう。そして……そんな愚策を、陛下が犯すとは思えないのですが?」

「不敬を承知で敢えて言えば、女王陛下と言えども聖人君子ではない。うら若い乙女で、そして何時だってうら若い乙女は我儘なモノだ。特に今回はロッテ翁を初め、エリカ様まで動いてるディールだぞ? 姉大好きっこの陛下が、姉の願いを無碍にした先を許さないと思うか?」

 試す様なシオンの言葉。その言葉に浩太は首を振って見せた。

「思いますが?」

 縦に。年若いと言えどもリズは女王陛下。何処の国、何処の時代でも功罪に関する事柄は取扱い注意なのだ。それ程長い時間を過ごした訳では無くとも、リズの人とナリぐらいは浩太も心得ているし、そんな浩太から見て、信賞必罰を心得ていないとは思っていないし、自らの影響力の強さや使いどころを心得ていると思っている。何より『あの』ロッテがそんな軽挙妄動を許すとはとても思えないのだ。

「逆にお聞きしますが……シオンさんはそう思うんですか? 陛下やロッテさんが、そんな簡単にホテル・ラルキアを罰すると?」

 立場が入れ替わる。そんな浩太の言葉に、シオンが肩を竦めて見せた。

「では、言い方を変えよう。ホテル・ラルキアを罰すると『思わせれば』良い」

「……ほう?」

「私はリズ様の教育指南役だし、遠縁とはいえロッテ翁の親族だ。加えて私自身も学術院の主任研究員の職にある。そんな私の言葉に、影響力が無いと……コータ、お前なら思うか?」

「……つまり、『ブラフ』と?」

「有体に言えば」

「……あまり良い趣味とは言えないと思いますがね?」

「ヒントはお前のホテル・ラルキアでの経営会議でのやり方だぞ? 典型的な『お前が言うな』だ」

 そう言ってシオンは机の上に置いてある紙の束を手に取ってヒラヒラと振って見せる。

「ホテル・ラルキアが『反対』した場合に考えられる『デメリット』の一覧だ。コレが全てでは無かろうが、これを使って交渉をしようと思う。なに、コータ。お前の好みでないなら構わんさ。私がやるだけの事だからな。ついでだ、聞いて置こうか? 二つ、と言ったがもう一つは?」

「国家事業にもなるプロジェクトです。全員賛成は難しくても、『脅された』と捉えられる様な言動は慎みたいというのが本音ですね」

「どの道、反対は出る。それに脅す訳ではないさ。賛成した方がより良い未来が築けるのではないか、と提案しに行くんだよ」

 そう言って笑んで見せ、シオンはクラウスに向き直る。

「そう心配するな、クラウス。悪いようにはしない。コータ、今日の予定は?」

「いえ……特には」

「善は急げだ。クラウス、済まないが今日の……そうだな、夕食でも一緒にどうかと言付かってくれないか? そうだな……少し位は売上にも貢献させて貰うとするか。一階のレストランを使わせて貰えればいいが……空いているか?」

「予約は空いているけど……で、でも、シオン?」

「何度も言わすな。悪いようにはしない」

 そう言って、シオンはにこやかに笑み。


「――さあ、反撃開始だ」


 その笑みを、獰猛なモノに変えた。


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