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董卓の孫娘はお爺ちゃんを救いたい!〜悪役令嬢、竹簡の予言で滅亡回避〜大悪党の董卓ファミリーが闇堕ちする前に、私が全部救います!  作者: 雨咲 しゆみ
第二章──毒の予言と夜宴の蝶

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75/83

#73 悪役令嬢

※このお話は、時系列では#69と#70の間に起きた出来事を書いております。

 ***


 時間は決勝の前まで少しだけ巻き戻る──。


 ***


 霊帝(れいてい)さまの詩を前に、頭を抱えている文姫(ぶんき)

 お母さまにああは言ったけれど、ここから先は私たちの“機転”にかかっている。


(でも一体どうしたらいいんでしょう? 私、“愛”の歌なんて返せません!)


 文姫は才女ではあるけれど、その中身はまだ小学生にもなっていない。

 “愛”を語るには、人生経験が圧倒的に足らないのだ。


(いいの。ここで“愛”の詩を詠んだらそれこそおしまい。何皇后(かこうごう)に、目をつけられる)


 そう。この詩に真っ向から挑むのは愚策。

 と言うよりも、霊帝さまが“詩を詠んだ”段階で、私たちの“勝ち”は消える。

 お母さまが霊帝さまに“愛”を向けられたと何皇后が知った時──いずれ嫉妬の“毒”がお母さまに及ぶのだから。


(じゃ、じゃあ。どうすれば……)


 文姫が足元に目を落とす。私も。

 小さくて細い足。それに、震えてもいる。


 油灯がゆらめく。床に映るのは、お母さまの影“だけ”だ。


 お母さま……だけ?


 私は、自分たちの足元にもう一度目をやる。……“影”がない。

 もう半分忘れかけていたけれど、私たちは“姿が消えてる”んだ。


(文姫……思いついたかもしれない。この“勝負”に勝つ方法)


(えっ!?)


(もう一度筆を貸して。文姫は、四人の特別審査員たちを褒める詩を)


(いったい、何をするんですか?)


(お母さまに動いてもらうの。それに、李儒(りじゅ)劉辯(りゅうべん)にも)


 全部だ。いまの私たちが使えるもの全部。

 お母さまの容姿。文姫の詩。李儒の威容。そして、劉辯の“変化の術”。

 時間は残り20分くらい。急がないと。


 お母さまに宛てた手紙には、こう書いた。


『お母さま。李儒に言って。

 楽団に、演奏と踊り子を用意するようにって。“霊帝さま”が言えば、何とかしてくれるって。

 意味はわからなくていい。ただ、そう伝えて。

 お母さまは、舞いの準備を。詩はこっちで作るから。

 私と文姫が、霊帝さまの詠み札を焼く。それが合図』


 手紙を滑り込ませると、お母さまが頷く。


「李儒……ちょっと」


 李儒は無表情のまま、ほんの一度だけ首を縦に振る。

 よし。こっちは大丈夫そうだ。


(文姫、早く。お母さまにだって用意があるわ)


(ちょ、ちょっと待ってください。あの内容……つまり、大会を“乗っ取る”んですか!?)


 私はこくりと頷く。


(ええ。霊帝さまの詩を燃やすの。詩は“こっち”で書き換える)


(ああ……なんか物語の“()()”みたいですね。ドキドキしてきました!!)


 ふふっ。文姫は勘違いしているみたいだけど、ちょっと違う。

 悪役みたい──じゃない。


 正真正銘の“悪役令嬢”なんだよ、私はね。


 ***

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