表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
董卓の孫娘はお爺ちゃんを救いたい!〜悪役令嬢、竹簡の予言で滅亡回避〜大悪党の董卓ファミリーが闇堕ちする前に、私が全部救います!  作者: 雨咲 しゆみ
第二章──毒の予言と夜宴の蝶

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

43/83

#41 反転の手相

 ***


「正しくなかった? そんな事……」


 ──ない。

 印の組み方は教えてもらったとおりにやった。劉辯だって、さっきまではそう言っていたはずだ。


「すまん。董白が間違えていたわけではない。余が正しく教えられていなかった……と、言うべきだ」


「……どういうこと? 反転とか正しくないとか、ごめん。実はまだ、ちゃんとついて行けてない」


 私は正直に口にした。


「わかった。順を追って伝える。まず、五行を身に宿す上で重要なのは対応だ。五指にはそれぞれ対応した正しい五行がある。それが……」


 私は親指から数えるように、右手の指を折る。


「うん。木・火・土・金・水」


 すると、右手の指先からふっと力が抜けるような感覚。でも、嫌な感じはしない。


「そう。だが……其方の左手は恐らく、対応する五指が違う」


 そう言われて、左手でも同じようにやってみる。親指から、木・火・土……。意識してみれば、確かな違和感に気づく。右手の時と全く感覚が違うのだ。


 どこか、詰まっている感じ。


「……ほんとだ。片手ずつやってみると全然違う。でも、中指の先だけなんだか少し……楽な気がするわ」


「そうか……。では、小指から順に意識してみてくれ。さっきと反対方向に……」


 劉辯に言われるまま、私は小指から順に指を曲げた。心の中で五行を唱える。


 すると、さっきまでの違和感は消えた。

 同時に指先から、何かを体内に注ぎ込まれているような不思議な感覚……これが……。


「何これ……すごい! これが五行なの!?」


 嬉しくて、思わず声が弾む。

 劉辯も、歯を見せながら小さく拳を握った。


「よし、思ったとおりだ!!」


 しかし、その喜びは長く続かない。

 劉辯はすぐに顔を真剣に戻すと、一度だけ唇を舐めた。そして、また口を開く。


「だが……まだだ。いまはただ、其方の仙術が発動しない理由がわかっただけ。課題は……どうやって正しい印を組むか、にある」


「……え?」


 思わず彼を見る。

 なぜ、これだけではダメなのだろうか。五行はすでに、身体に宿った。


「わからないか? 対応する五指を合わせることで、五行は身体を循環する。だが、其方はそれが左右逆。そして印の組み方は……その多くが鏡動作なのだ。だから、『反転の手相』を持つ者の場合には、異なる印の組み方が必要になる」


 真っ直ぐ合わせた手を片方だけ捻って、逆手に握り直す劉辯。これだと、最初の型からしてこれまで習ったものと全く違う。


 それを見た私はやっと理解した。

 つまり私はこれまで、身体の右半分だけで正しい動作をしていたのだ。左半分は何一つ必要条件を満たしていなかった。


「わかった! じゃあ、その組み方を──」


 そう口にした私だったが、劉辯の表情は浮かない。


「ど、どうしたの?」


 その問いかけに、劉辯は小さく首を振る。


「すまぬ……。余は知らんのだ。反転の手相を持つ者の、印の組み方を……」


 苦々しい顔で答えた劉辯。でも、その目はまだ死んでない。


「だから……いま暫く待ってくれ。宮廷の蔵書を読み漁ってくる。……一週間で必ず見つける。……いや、見つけてみせる」


 真剣な声。覚悟を決めた眼差し。でも、もう一つだけ彼は問いを重ねた。


「其方の事情はよく知らぬ……だが、それで間に合うか?」


 彼にはまだ、私の事情を何一つ伝えていない。

 この後に及んでもまだ、彼は自身の言葉を守り、詳しい理由を聞かないでいてくれる。


 それでも、劉辯は何かを察し始めている。

 もしこの作戦が上手くいったら……その時は──


「……うん」


 漢詩大会までは、残り約三週間。劉辯が謎解きに一週間使ったとしても、まだ十日以上ある。

 正しい手順を覚えるだけなら、四日で足りる。


「わかった。じゃあ董白はその間、もう一度五行を身体に宿す練習を。余がさっきしたように逆手で組んで、身体を一巡させられるようになれ。術言はもう出来ている。後は、余を信じて待っていて欲しい。……良いな?」

 

 何より、ここまでしてくれた彼を信じたい。

 私は力強く頷いた。 


 ***

面白かったらブクマ&★評価をもらえると

明日の更新の励みになります( ๑❛ᴗ❛๑ )♪

まだまだお付き合いくださいね☆

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ