#13 劉辯との出会い
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「な、何よあなた。子供じゃない。あなたこそ、こんなところで何をしているの?」
「そうじゃ、子供といえばそちもじゃの。余か? 余は隠れておる」
問えば、男の子は人懐こそうな笑みで答えた。
「か、隠れる? 誰から?」
「“母さま”じゃ」
「え、何? 隠れんぼ?」
「ほほ、そのようなものじゃ」
この行政宮は子供出入り自由なの? っていうか、そうだとしても遊び場にしちゃダメでしょ。
「遊びなら外でやりなさいよ」
「いや、遊んではおらぬ。そちこそ、遊びは外でやるとよい」
「こっちは本気で隠れてるの」
「余も本気じゃぞ?」
あ〜〜もう、鬱陶しいなこいつ。全然頭が整理できない。こっちはお母さまを助けようといっぱいいっぱいなのに! 私は振り返って、声を押し殺しながら凄んだ。
「もう、いい加減にして。見てわからない? いま、急ぎの用があるの。人の命に関わるの。だから放っておいて」
「ふむ、何か困っておるのじゃな? では余に申してみよ。ええと……そうじゃった。そなた、名はなんと言うのじゃ?」
「ほんと……勝手なやつね。いいわ、私の名前は董白。お爺ちゃんは、ここで働いている董卓っていうの。すっごく大きくて、強くて、怖いんだから。あんたなんて、ひと睨みで腰を抜かすわよ」
「おお董白か、白い肌にぴったりの名じゃのぅ。それに、その赤い瞳も美しい」
こちらは不機嫌を丸出しにして睨んでいるというのに、相変わらずこいつは嬉しそうに微笑んでいる。
「それはどうも。っていうか、聞いてなかったの? もう、私に構わないで」
「ほほ、つれないのう。誰かにこんなに無碍にされたのは初めて故、少しドキドキするぞ」
「……からかわないで」
「本気じゃ、からかってなどおらぬ。では、余も名乗ろう。余は、“劉辯”という」
「はいはい。劉辯ね。じゃ、さよなら劉べ──」
え、待って──口に出して初めて違和感に気づいた。
一瞬で私の頭が冴え渡る。
いま、なんか今日一番ヤバい名前を聞いたような気がする。
余──? 劉辯──? そしてこの身なり。
じゃあ、こいつってもしかして────
「父は劉宏──皆からは、“霊帝”と呼ばれておるの」
「すみませんでしたぁ!!」
私は綺麗な振り返り土下座を決めた。
『劉辯』、またの名を“少帝辯”。後漢の第十三代皇帝であり──霊帝と何皇后の子である。
後に在位わずか4ヶ月にして董卓によって廃位され、暗殺されたと言われる悲劇の王だ。
なんでこんなとこに未来の皇帝陛下がいるんだよ!?
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