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董卓の孫娘はお爺ちゃんを救いたい!〜悪役令嬢、竹簡の予言で滅亡回避〜大悪党の董卓ファミリーが闇堕ちする前に、私が全部救います!  作者: 雨咲 しゆみ
第一章──破滅の予言と滲む未来

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#12 お返事

 ***


「じゃあ、早速お返事を書き直しましょう。と、言いたいところだけれど……」


 私たちはいま、行政宮(ぎょうせいきゅう)の一室にいる。手元には、滲んだ手紙。


文姫(ぶんき)、これ読める? 私は無理」


 まぁ、滲んでなくても読めなかったとは思うが、それでも識別困難なレベルで手紙の文字は乱れていた。


「あ〜。ええと、そうですねぇ。ん〜〜」


 しばらく頭を捻っていた文姫だったが、やがて匙を投げた。


「無理ですね」


「っておいっ! まじかよ! じゃあなんて書いたのか文官に聞きにいくか」


 それを横で聞いていた華雄(かゆう)は呆れ顔で提案する。


「いいえ、その必要はないわ。どうせ中身も書き換えないといけないのですから」


「勝手に書き換えて大丈夫かよ、お嬢?」


「大丈夫よ」

(むしろ最初からそれが狙いですから)


「それより、華雄は箱を用意なさい。あんまりごつごつしいのはダメよ? 手紙はこちらで仕上げるわ」


「あ〜なんか難しいな。わかったよ。じゃ、そっちはくれぐれも頼んだぜ?」


「誰に言ってるんです? ほら、いいからいいから」


 促されるまま、華雄は部屋を出ていった。


「よし、行ったわ。文姫、いいわね。角を立てないようにお断りするのよ」


「ええ!? いいんですか!? 勝手に断ってしまって……」


「何言ってるの。いいに決まってるじゃない。このままお母さまが春のお茶会に出ることになってしまったら、秋の茶会で毒を飲まされるのよ?」


「違うんです。私が言ってるのは、赤麗(せきれい)さまご自身が既にご出席なさるおつもりだった場合、このお手紙でどうお返事しても、その日赤麗さまはお茶会に顔を出されるのでは?」


「……あ。それもそうね」


 盲点だった。

 文姫の言うとおりだ。ということは、この手紙で断った上で、当日お母さまを足止めする必要があるということだ。というか、そもそもいつ茶会があるんだ? どちらかといえば、この返事の手紙よりも誘いの手紙の方が重要ではないか。まずはそれを手に入れなければ。


「わかったわ。私はお誘いの手紙を探してくる。文姫は、適当に断りのお返事書いといて! くれぐれも風流に、角を立てないように、ね!」


「ええ!? ふ、風流!? な、なんて書きましょう!?」


「そんなの適当でいいわよ! 春はあけぼの──みたいな?」


「なんですかそれ!?」


 古代中国じゃ“枕草子(まくらのそうし)”は通じなかったか……まあいい、頼んだぞ文姫!


 **


 文姫と別れた私は、忍び足で行政宮を探索する。いや、別に悪いことはしてないんだけど、なんとなく。


 お母さまたちは執務室にいた。お爺ちゃんの声が廊下まで響いていたからすぐにわかった。

 部屋をのぞけば、竹簡が山のように積まれた机の前で、お母さまが一つ一つお爺ちゃんに内容を報告しているようだ。


 ふむ。ここに入ってしまうとなかなか出られそうにないな。

 私はゆっくりと部屋を迂回して壁際に隠れる。


 さて、茶会とはいえ霊帝(れいてい)さまもやってくる公的な催しだ。おそらくは書面もしっかりしたものだろう。


 と、いうことはこの執務室にある可能性が高いが……あ、待て待て。そういえば私文字が読めないんだった。そもそもその手紙をどうやって見つければ──


其方(そなた)、ここで何をしている」

 悩んでいた私の後ろから声がかかる。


「は、はい! すみませんでしたぁ!! ……って、え?」


 反射的に振り向いて頭を下げた私だったが、すぐに先ほどの声が幼い男のものであったことに気がつく。

 顔をあげれば、そこにいたのは子供──って言っても、私もだけれど。同じ年くらいの男の子がそこに立っていた。


「なんじゃ。変わった服装、それに、面白い髪と目の色をしておるの」


 紫の衣に身を包んだ裕福そうな出立をしたその子は、私の全身を観察しながら興味深そうにつぶやいた。


 ***

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