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転校先の清楚可憐な美少女が、昔男子と思って一緒に遊んだ幼馴染だった件【2026年7月アニメ放映】  作者: 雲雀湯@てんびんアニメ放映中
最終章

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423/425

423.春希が在るべき場所


 踵を返し駅前に戻るにつれ、やけに周囲が騒めいていく。

 原因は一目瞭然。

 大きなトラックが駅前の広場に停まり、側面が開かれている。

 その中にはスピーカーやらライトが配置されており、ステージそのもの。

 さらに上部には〝ティンクル〟の文字とロゴ。

 周囲からは「ゲリラライブ!?」「再起動!?」「何があるの!?」といった期待の声が聞こえてくる。

 だがそんな周囲は、春希に気付いていない。

 なんだかそのことが滑稽で、隼人は笑ってしまう。

 当の春希はどう反応していいかわからないといった、困り顔で呟いた。


「隼人が付き合って欲しかったの、これ? ふぅん……あの子、1人でやるのかな?」

「このゲリラライブ、俺が頼んだんだ」

「へ?」


 春希の口から素っ頓狂な声が上がる。隼人は苦笑しつつ、ほどよくステージが見えるところで足を止め、スマホでメッセージを送った。

 そうこうしている間にも、どんどん人が集まっている。

 ご丁寧にも道路まで封鎖し、やってくる人たちを整理をしているお揃いのジャンパーを着ている人たちのなかに、見知った顔を見つけた。隼人がスタッフに対して軽く手を上げると、その人に気付いた春希が困惑した声で言う。


「何で白泉先輩がここに……!?」

「人手が足りなさそうだから、他にも伊織やみなもさん、伊佐美さんに高倉先輩もにも手伝ってもらってる。あと生徒会の人や、ドル研の人たちにも」

「どうして……」

「そんなの決まってる」


 隼人はそこで言い切った後、ステージの方へと視線を向けた。

 まだ何か言いたそうな春希も、それに倣う。

 するとややあって、ステージ衣装に身を包んだ茉莉が現れた。

 茉莉1人だけということで、集まった人たちからどよめきが上がる。

 なんとも当惑した空気の中、茉莉は威風堂々マイクを片手で掲げた。

 すると辺りに静寂が広がっていく。

 アーリーサマーライブの一件を経て以来、貫録を滲ませつつある茉莉が高らかに謳う。


『今日はティンクルの活動再開を祝ってのゲリラライブッ! てことで、力強い人たちが応援に駆け付けてもらいましたっ!』


 そして追加でステージに上がってきた人たちに、周囲から快哉が上がる。

 春希だって信じられないと、目を大きくしながら思わず驚愕の声を漏らす。


「え、嘘っ!?」


 現れたのは茉莉とは別種の、バックダンサー然とした衣装を着たMOMO、愛梨、逢地羽衣。それだけでも豪華絢爛なメンバーだというのに、かなり長身の美少女もいる。

 誰もが知る人気モデルの3人にも負けずとも劣らない要望を誇る謎の美少女に、この場の誰も「え、誰!?」「背、高っ、スタイルすごっ」「モデル仲間!?」といった驚きと期待の囁きが焦れるように広がっていく。

 そのことをすぐさま肌で感じ取った茉莉は、皆を煽るように叫ぶ。


『この子が誰か知りたいかーっ!? 聞いて驚け、大人気カリスマモデルMOMOの()、KAZUだーっ、私も信じられねーっ!』

『どうぞ、よろしくお願いします』


 茉莉がすかさず女装した一輝にマイクを向けると、そこから発せられたどこからどう聞いても男の声に、この場が一瞬静まり返った後、絹を裂くような黄色い声と戸惑い交じりの歓喜の声が上がる。

 隼人もまた、愉快気な声を上げた。


「ははっ、マジかよ! 一輝、本当にやりやがった!」

「てか海童、ほんと何やってんのさ!?」

「見た目だけだと、違和感ないのすごいよな」

「……なんか、おいしいところもってかれたみたい」


 どこか悔しそうに呟く春希に、隼人はおかしそうに笑う。

 ステージでは茉莉が「KAZUさんめっちゃ似合ってるんですけど!?」と声を上げると、一輝の代わりに百花が「子供の頃、うちの服とか着せてた。超似合ってた」と答えると、今度は愛梨が「ちょっ、写真とかあります!? めっちゃ見たいんですけど!」といったトークで盛り上がっている。

 期待が高まる中、茉莉は続けて重大な発表をした。


『次は新メンバーの紹介、アーリーサマーライブでの活躍から、満を持しての正式加入だーっ!』

『さ、沙紀ですっ』


 茉莉と似たステージ衣装で手を振りながら現れた沙紀に、一部の熱心なファンから強烈な歓喜の声が上がり、まだティンクルのことをよく知らない人たちからは、一体誰なんだと戸惑う声が上がる。

 春希もまた、狼狽えたような声を零す。


「沙紀ちゃんどうして……?」


 隼人はそれに対し、何も答えず黙ったまま苦笑い。

 そんな中、間髪入れずに曲が流れ出す。

 ティンクルのデビュー曲だ。

 茉莉が唄う。


『――――♪』


 豪華な人気モデルをバックダンサーに据えたパフォーマンスが始まるや否や、この場から騒めきを奪う。

 そして沙紀に対する不満や戸惑いといったものは、すぐさま賞賛と歓声に塗り替えられていく。

 茉莉の圧倒的な歌唱力に、沙紀のダンスの豊かな表現力。

 たちまちこの場に居る人たち全てを魅了する。

 さらに騒ぎに引きつけられて、人波がどんどん膨れ上がっていく。

 ステージでは茉莉と沙紀が相乗効果でそれぞれの良さを引き出され、圧巻だ。

 バックダンサーの4人もいい塩梅に茉莉と沙紀を演出している。

 既存のファンだけじゃなく、今まで彼女たちを知らなかった人たちも「曲は知ってたけど生で見ると迫力ヤバい」「ダンスえぐくね!?」「推せる!」といった声が聞こえてくる。どうやら、新規にファンを獲得しているようだ。それだけの迫力があった。

 この場の空気がどんどんヒートアップしていく。

 しかし誰もがどことなく、不満ないし物足りなさを感じる空気が流れていた。

 その理由は歴然。

 茉莉と沙紀が織りなすパフォーマンスには、隼人の素人目にも、あからさまに欠けているものがすぐにわかった。

 沙紀のダンスには、次に繋げて盛り上げるべきものがバックダンサーたちで誤魔化されているし、茉莉の方は露骨に無言のパートがある。

 その隙間を埋めるべき相手がいるというのがわかる、あからさまな表現。

 観客の間に、ある期待が高まっていく。

 このステージが、何を訴えているのかは明白だった。


 ――春希、来なよ!


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― 新着の感想 ―
総出で(笑)。
以前春希さんは誰にも何も告げずに芸能界入りした、そして今回は仲間全員から復帰して欲しいと背中を押されている。
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