407.完成披露試写会
数日後、敬老の日の早朝。
皆と映画を観に行くため、隼人は姫子と共に最寄り駅へ向かう。
駅前では春希と沙紀、伊織と恵麻、そしてみなもが既に集まっていた。
自分たちが最後のようだ。
高校生5人が集まっていると目立つものの、春希は今日も動物園に行った時と似たような恰好をしており、周囲から特に気にされていない様子。
隼人はそのことにホッと息を吐きつつ、片手を上げながら皆へ呼びかける。
「お待たせ」
するとこちらにいち早く気付いた伊織が、手を振り返す。
「おーっす、隼人に妹ちゃん。一輝は現地で合流だし、これで皆揃ったなー」
その後も他の皆から挨拶の言葉が続き、連れ立って電車に乗り込む。
祝日午前の車内はそれなりに混んでおり、皆で扉前の一画に固まって立つ。
電車が動き出したタイミングで、春希が少しそわそわした様子で言う。
「そういやこうして皆でどこかに行くの、久しぶりかも」
すると同じくみなもも弾んだ声を上げ、続けて姫子も楽しそうな声を上げる。
「私もこんな大人数に遊びに行くこと滅多にないから、ちっぴりドキドキしています」
「あたしはそれだけじゃなく、皆と久々に顔を合わせるのが嬉しいですねー」
「そういや姫ちゃんとは家でよく会うけど、外へ一緒に遊びに行くのは珍しいかも」
そして沙紀がそう付け加えると、恵麻も頷きながら言う。
「うんうん、やっぱり姫子ちゃんがいると、しっくりくる気がするしね」
他愛のない話をしながら、和気藹々と目的地を目指す。
そんな中、伊織が申し訳なさそうな声で確認してきた。
「それにしても、本当にチケット貰ってよかったのか? オレたち全員分、用意してもらった形になるけど、その」
隼人もまた、後ろ髪引かれるように言う。
「あぁ、それは思った。人数が人数だからな。それに応募倍率もえげつないって聞くし」
どうして隼人や伊織が肩身の狭い物言いになってしまうかというと、本日の映画が完成披露試写会であり、その招待チケットを春希から貰っていたからだった。
千尋は世間からも非常に注目されているということもあり、完成披露試写会への応募が殺到しているというのも想像に難くない。
いくら関係者用のチケットがあるよと言ってくれても、人数が人数である。
さすがに全員分となると、追加で頼んでもいることだろう。
なんだかズルしてると感じてしまい、気が引けてしまうというもの。
しかし春希は、あっけらかんとしてひらりと手を振りながら言う。
「いいっていいって、こういう時くらいコネを使わないとね」
「しかし……」「あぁ……」
どこか釈然としない顔を見合わせる隼人と伊織。
すると隣から、隼人のシャツの裾を控えめに引かれる。
振り向くと沙紀が、遠慮がちに口を開いた。
「その、実は私も関係者としてチケット貰ってまして」
「え、そうなのか!?」
驚き目を見開く隼人に、沙紀は言葉を続ける。
「はい、ティンクル絡みの関係者枠といいますか、桜島さんから」
「あー、同じ事務所だもんな。てことは、もしかして一輝も?」
「貰ってそうですね」
隼人が得心していると、春希が得意顔でにししと笑う。
「そういうこと。てか隼人も頼めばもらえるんじゃない?」
「いや、俺はさすがに無理だろ。なんせ非公式だからな」
隼人が自嘲を籠めてお茶らけた風に非公式を強調すれば、皆から笑い声が上がった。
◇
そうこうしているうちに、目的地の駅に着く。
祝日都心部の駅構内は、多くの人が行き交っている。
一輝とはここでの待ち合わせだ。
最近の一輝は、それなりに知名度が上がってきたモデルである。
騒ぎになる前に早く合流しようと改札を抜けたところで、隼人は顔を顰めた。
「なんだ、アレ?」





















