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8.同じ花でも違う花 2

今年は応援ありがとうございました。また来年もよろしくおねがいします。

 ウルザとソフィに合流した一行は、サラが空腹を訴えたため今は近くにあった料理屋へと入っていた。

「改めて初めまして。私はシーダよ。ごめんなさい、うちのルディが迷惑かけて」

「そ、そんなことはありません!ルディさんには危ないところを助けて頂いて……」

「三人のうち二人は私が倒したんだけどなぁリリオ?」

「も、もちろんわかってるよ!助けてくれてありがとうお姉ちゃん!」

「仲の良い事だ」

「それに二人とも可愛いしね」

「兄様には私がいるんですから他の方の妹様に目移りしてはダメですよ?」

「してないって」

 最初はお互いに距離のあったシーダ達と姉妹であったがルディとリリオが間に入る事で話が進み、今ではすっかり打ち解けていた。

 今は貸し切りにした個室で注文した料理に舌鼓を打ちながらお互いの事を話しているところだった。

「それにしても強いのだろうなとは感じていたけれどまさか噂の勇者パーティだったなんてね。正直驚いたわ」

「今は勇者でも王女でもないわ。ただのルディの仲間の冒険者よ」

「それに君達こそその若さではるか遠方、東の国からやって来たのだろう?君たちの国に伝わる武器を使わずに戦う『拳法』というものには以前から興味があったのだ。もしよければ一手ご教授願いたいものだ」

「それはこちらも同じよ!私たちは強い相手を探しにここまで来たんだもの!魔王を倒した勇者パーティと拳を突き合せられるなんて幸運だわ!」

「強い相手を探していたのはお姉ちゃんだけでしょ?私は氣功術の修行のために一緒に旅をしてるだけなんだから」

「氣功術……魔法とは違った不思議な力のことよね?話や文献で見聞きしたところだと体が鉄よりも固くなったり病を癒したり出来るらしいけれど、本当なの?」

「修行を積んだ達人ともなれば可能です。お姉ちゃんの場合は鎧の上から相手の体に直接ダメージを入れられる『発勁』として、私の場合は軽いけがや病を癒すための『治癒』として氣功術を用います」

「魔法ではないのに怪我や病気を治せるのですか!?それは私にも出来るでしょうか?」

「氣功術を使いこなすには並外れた努力と修練が必要だと聞いたことがあるから使えたとしてもずっと先の話になるよ。それよりもソフィには他の人じゃ真似できない力があるのだからソフィはその力こそ素直に伸ばすべきだと思うよ。まぁ学んで損は無いと思うけどね」

「驚いたわ。ルディは氣功術に詳しいの?」

「師匠の受け売りさ。と言ってもあの人は軽業の修行のためにわざわざ軽氣功を学んだらしいけれどね」

「軽氣功の事をご存じなのも驚きですけどわざわざ大道芸のために軽氣功を学びに来られた方がいただなんて……」

「ある意味変態ね」

「お姉ちゃん!」

「確かにね。あの人はバカが付くほどの芸人だったからね」

 ルディは自身の育ての親でもある師についてこともなげにそう言って笑った。

「でも得るものは多かったと言ってたよ。特に体の動かし方や使い方といった人体の構造についてはとても勉強になったと言っていた。僕も師匠から徹底的に仕込まれたよ。おかげで疲れない体の動かし方を体で覚える事が出来た」

「疲れない動かし方なんてあるの?」

「要は極力無駄な動きをしない動作の事さ。シーダやアーデが剣術の型を繰り返すのは正しい型を体で覚えるためだろう?それを剣術に限らず普段の生活の動きから無駄のない動きをすることで余計な動きで疲れをためないようにするんだよ」

「……あなたの師匠って本当に芸人なの?どこかの武術の達人じゃなくて?」

「普通はそこに気付くまでにかなりの年月を修行に費やすものなんですけど……」

 姉妹がルディの師匠の話にドン引きしていると、ようやく人心地ついたサラが姉妹をみて思わずと言った感じにつぶやく。

「それにしてもお二人とも本当にそっくりですね」

「本当にね。体つきまで同じだったら見分けがつかないんじゃない?」

 シーダのその言葉に姉妹は寂しそうに笑って何も言わない。

 それは事実で今より幼いころは同じ姿をしていると誰も二人を区別できる人間はいなかったのだ。

 実の両親や家族でさえも……

 だからこそ姉妹にはルディの発したその一言が許せなかった。


「そうかな?全然違うと思うけど?」


 ルディが何の気なしにそう言うと姉妹は驚き、揃ってルディを睨みつけた!

「ど、どうしたの?」

 突然睨まれたルディは姉妹が何を怒っているのか全く分からなかった。

「本当にわかるんですか?」

「あなたに、本当の私たちが?」

 口調が変わり、二人が同じようなしゃべり方をし始めるとルディ以外の面々は一瞬どちらがどちらかわからなくなる錯覚に陥ったがルディだけは事も無げにこう言った。

「本当の君達っていうのはわからないけれど、少なくともどちらがアヤメでどちらがリリオという区別ならつけられるよ」

 その言葉に姉妹はついに立ち上がり、声をそろえて怒った顔でルディに告げた!


『そこまで言うなら勝負です!私たちが勝ったらその無責任な発言の責任をとってもらいます!』

次回投稿は2021年1月3日(日)の予定です。

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