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7.同じ花でも違う花 1

先に言っておきます。今年も一年ありがとうございました!

また来年もよろしくお願い致します(笑)

 王都を旅立ってから数日。途中で踊り子のサラを仲間に加えたルディ達はベルクランの街へとたどり着いた。

「久しぶりに来たけどさすがに『王都の食糧庫』と呼ばれるだけあってここは復興が早いね。随分と賑やかだ」

 ルディは魔王討伐の旅の途中で訪れた時の事を思い出しながら辺りを見回していた。

「ここは各地の主要な都市と王都をつなぐ交通の要衝だもの。ここが機能しないことには他の街の復興も思うようにはいかないから優先して復興に当たったのでしょうね」

 フードをかぶって顔を隠したシーダが街の賑わいに顔をほころばせながらそう言った。

「ここは近隣に広大な畑を擁した食料の生産地でもありますから。魔物にやられた畑も多くありますが少しでも早めに回復させるべく王都からも人員が多く派遣されているようですね」

 フードの下で油断なく周囲を見張るアーデが衛兵の数や人の動きからそう推測する。

「そうなのですか?それではこのフードだけでは私たちの正体もすぐにバレてしまうのではないですか?」

 フードの裾をつかみ用心深く顔を隠そうとするソフィスティアに同じくフードをかぶったウルザが答える。

「長い旅をする旅人なら誰もが似たような格好をしているわよ。それにこれだけ人がいると魔法を使う方がかえって怪しまれるわ。どこに魔法使いがいるかわからないからね」

「ウルザの言う通りですよソフィ。むしろ気負わずに自然にしている方が怪しまれず目につくことはありません」

 もともとの職業柄、敵地への潜入なども得意とするサラがそう言ってソフィスティアを安心させようと話しかける。

「それにみんな美人だからね。勇者パーティの顔を知らなかったとしてもこれだけ美女が集まっていたらどうしたって注目されちゃうからね。窮屈かもしれないけれどこういう大きな街では用心に越したことは無いよ」

 ルディとしてはごく当たり前の感想を口にしただけだったのだが、女性陣は全員思わず動きが止まってしまった。

「? どうしたのみんな?」

「る、ルディが私の事、キレイって……」

「まったく、この男は……」

「……不意打ちは卑怯よ……」

「兄様が、兄様が私の事を美人だと……」

「不思議ね。いままで散々耳にしてきた言葉なのにどうしてこんなにも顔が熱くなるのかしら……」

「キャー!」

 その時、通りの向こうから突然少女の叫び声が聞こえてきた!

「こんな街中で何の騒ぎだ!?」

 ルディはすぐさま声のした方へと駆け出していく。

 その様子に微笑みの爆弾で硬直状態にあったシーダ達が慌ててルディを止めるべく動き出す。

「ちょっと!待ちなさいルディ!」

 わずかに出遅れたとはいえシーダ達の運動神経と体力を考えたらすぐに捕まるはずだった。少なくとも魔王退治の旅の時であれば難なく捕まえていたはずだ。

 しかし街中で人が多く走りにくいとはいえ彼我の距離は縮まるどころか少しずつ引き離されていく。

「嘘でしょ!?」

「そんな、まさか!」

「なに、この速さは?」

 ソフィやウルザと言ったサポート系の二人が追い付かないのはわかるとしても勇者や騎士、暗殺者といった戦闘系の職にあるシーダ、アーデ、サラの三人がいくら相手が軽装だとはいえ追いつかないとは思わなかった。

「昔のルディはこんなに速く走れなかったはずよ?人間死んだら足が速くなるとでもいうの?」

「そんな馬鹿な話……」

「もしかしたらそうかもしれません姫様」

 シーダとサラが驚いてアーデの方を一瞬見るが今はルディを追いかける方が先決だった。

 姿を見失わないようにしながらシーダ達はルディの後を追いかけるのであった。


「謝りなさいよ!」

 一人の少女がもう一人の少女をかばう様にして立ちながらチンピラ風の若者三人を睨みつけていた。

「だから言ってるだろう?たまたま手が当たっただけだよ。なぁ?」

「ああ、確かに俺にはそう見えたぜ」

「お嬢ちゃんのお尻が大きいから、避けられなかったんだよ」

 そう言って三人はゲラゲラと品悪く笑った。

 年のわりに発育の良いその少女はその言葉に余計に恥ずかしくなりついには目に涙をためつつあった。

 一方で泣いている少女とうり二つの顔を持つ少女はますます怒りのヒートを上げていく。

「妹を泣かせてるんじゃないわよ!大体この子が手が当たったくらいでこんな風に泣くものですか!さっきから嫌らしい視線を向けていたことに気付いてないとでも思ってたの?」

「そいつは自意識過剰ってもんさ。そんな風に男の視線を意識してるからちょっと当たったくらいで敏感に反応するんだろ?いやぁ悪い事じゃあないぜ。反応のない女よりはよっぽど可愛げがあらぁな!」

「ちげぇねぇ!」

「良かったなぁお嬢ちゃん。最初から痛い思いをするのは嫌だもんなぁ!ま、もっとももうすでに経験済みかもしれないけどなぁ!」

「……絶対許さない!」

 そう叫んだ少女は目の前に立つ男に素早く近づくとその体にそっと手を当てる。

 そして力強く踏み込むと男の体がくの字の形に吹き飛んだ!

「おごぉ!」

 吹き飛ばされた男は路上に倒れると口から泡を吹きだして気絶した。

「てめぇ!何しやがる!」

「それはこっちのセリフよ!この女の敵!」

 続けざまに少女は左手側の男の胸元に肘打ちを食らわせる。何かが折れる嫌な音が聞こえた。

「ぐ、かはぁ!」

 二人目が倒されたことに慌てた男がすぐさまナイフを取り出して泣いている少女を人質にしようと動き出す!しかし

「女の子には優しくと、親から教わらなかったのか?」

 突如現れた謎の男が駆けてきた勢いを殺さずにそのままナイフ男の横っ面を思いっきり殴り飛ばす!

「へぶっ!」

 殴られた男はそのまま吹き飛び、ナイフを手から落としてしまう。

 それを突如現れた男・ルディが拾い上げ、品定めをする。

「安っぽいナイフを使ってるなぁ。しかも手入れもされてない。こんなんじゃリンゴの皮だって剥けやしないよ」

 そう言いながらも男の股間の近くにナイフを投げつけて地面に突き刺して見せる。

「ひぃ!」

「魔王がいなくなって少しは世の中良くなるかと思えばこんな三下婦女暴行犯が街中をうろついているとはね。命張った甲斐が無くなるようなことするなよな」

 そうしてルディが呆れていると泣いていた少女がおずおずと近づいてきた。

「あ、あの、助けてくれてありがとうございました!」

「気にしなくてもいいよ。ただの通りすがりだからさ」

「ただの通りすがりのわりには全力疾走してるように見えたけど?」

「お姉ちゃん!」

 三人目を手刀で手際よく気絶させてから姉と呼ばれた少女がルディ達のところへとやって来た。

「そういう気分だったんだ。ほら、無性に体を動かしたくなる時ってあるだろ?」

「……まぁいいわ。妹を助けてくれてありがとう。私はアヤメ、妹の名はリリオよ。あなたは?」

「旅の道化師のルディだ。二人並ぶとよく似てるね。双子だったのか」

「見ればわかると思うけど……」

「お姉ちゃん!」

 二人の少女は双子の姉妹だった。もっとも顔は同じ造形をしているが体つきは幾分妹の方が優勢のように見えた。

「いやらしい目で見ないでくれる?」

「お姉ちゃん、失礼よ!」

「悪い悪い。人間観察が癖になっていてね。そんなつもりは無かったんだ」

「……やっと追いついた……」

 ルディが姉妹と話しているとようやくシーダ達三人が追い付いた。ソフィ達の姿は見えない。

「もう!いきなり走り出さないでよ!それになんなの?いつからこんなに足が速くなったのよ!」

「言われてみれば……シーダ達、体なまった?」

「それは暗に私たちが太ったと言ってるのかルディ?」

 アーデがその目に殺意を感じさせながら底冷えするような声でルディに聞く。

「いやぁ生まれ変わってから全力疾走なんてした事なかったから気付かなかったよ!うん、足速い!速い!」

「とりあえず全員この場を離れませんか?……そろそろ警備兵がきます」

 この騒ぎに気付いた街の警備兵が詰所から来るまでの時間を的確に読んだサラの提案に頷き、ルディとシーダ達、そしてアヤメとリリオの双子姉妹はウルザとソフィに合流すべくその場を離れた。

(2)は年内投稿予定です。(3)は未定

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