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SS3「サラの闘い」

いつもありがとうございます。リハビリがてらのSSです。

まぁ本編も似たような長さですが(笑)


 私はサラ。私がいた組織『ダンス・マカブル』でそう呼ばれていました。本当の名前はわかりません。

 組織の命令で仕事をこなした後、初めて組織の出す食事以外のものを食べた私はその美味しさに驚き、そのまま組織を抜け出しました。

 路銀が尽きるまで色々なものを食べて回りましたが、お金が無くなり、食べるものも無くなり、空腹で死にかけていた所をルディ達に拾われました。


 ルディ

 本人はただの道化師と名乗っているけどその実は魔王殺しの英雄と言っても過言ではない。

 確かに魔王を討伐したのは姫勇者シーダを始めとする4人の勇者パーティではあるけれど、ルディがいなければ勇者パーティは今頃全滅して世界は魔族のものになっていたはずだ。

 スキル『トリックスター』

 自らの命と引き換えに魔王をも凌ぐ程の強力な補助効果に魔力を含めた完全回復、しかもそれらを一時的ではなく永続的に与えるというとてつもなく強力なスキル。

 私の勘だと、それは本来の力ではなくたまたまそういう形で発現しただけという気がするけど確かめる事は出来ない。

 ルディは恐らく本当の事を隠していると思うけれど確認するつもりはない。私達は二度とルディにスキルを使わせないと決めているのだから。


 今の私は踊り子のサラ。ルディ非公認のハーレムに所属するルディの妻であり、恋人であり、愛人の一人(ただし本人非公認)。

 ルディの演奏に合わせて私は踊る。私達のコンビは完璧だ。街中で披露しては路銀をたくさん稼いでいる。

 ルディの作る食事は美味しい。

 街の料理屋の料理ももちろん美味しいのだけれど、私はルディの手料理の方が好きだ。不思議と懐かしく、暖かな気持ちになるから。

 今日も彼の料理を食べれて、私は幸せだ。


 でもそんな私に最近悩みが出来た。

 気のせいか、おなかの辺りがぷにぷにとしてきた気がする。

 もちろん踊りの稽古も、魔物との戦闘も手を抜かずにやっている。前よりもむしろ頑張っているくらいだ!

 しかしそれ以上に私は……ついつい食べてしまう。

 これ以上太るとさすがにルディにも気づかれてしまう!特に私は踊り子という事もあって衣装は露出の高いものをよく着るから猶更だ!

 愛する人に見にくい姿は晒したくない。

 悩んだ時は先達に教えを乞うのが一番だ。早速聞いてみることにした。


「……うーん、私は特に気にした事ないなぁ。特に体が重く感じた事なんてなかったし」

 アーデとかかり稽古をしていたシーダはそう言って首を傾げた。

「姫様の戦い方は、その……いつも勇ましいですから……」

 アーデがかなり言葉を選んで答えるのを見て思わず納得した。

 確かにシーダはよく言えば勇ましい、悪く言えば……勇者というより狂戦士のような感じで魔物たちを一掃している。

 つまり運動量が普通とは違うのだ。カロリー消費も良いことだろう。

「私の場合はむしろ食べないと体がもたないからな。食べる事も訓練の一つだと思っている」

 確かにアーデはパーティの盾役として大盾に重鎧を着こんでいるから普段の行動だけでも十分すぎるほどの鍛錬になっている。

 私は身軽さが売りの戦い方だからアーデの真似は出来ないし、シーダの真似は出来たとしてもやりたいとは思わない。

 私は他を当たることにした。


「すみません。私も気にした事はありません。いえ、気にしていない訳では無いのですけれど、その、……何故かいつも胸ばかりが大きくなるものですから……」

 そう言ってソフィスティアは恥ずかしそうに胸を押さえる。

 未だ幼さを残した相貌の聖女はしかしそこだけは背徳的な妖艶さを漂わせていた。

(……まだ大きくなるというの?今だって私よりも大きいのに?女神の敬虔な信者はみんな大きくなるのかしら?)

 サラは一人、戦慄を覚えていた。

「私も気にしたことは無いわねぇ。体は動かしてはいないけれど、魔法を使うのもどうして体力を使うものだから。毎日何かしらの魔法を行使していれば、体重を気にするほど太る事なんて無いわねぇ」

 ウルザのその一言に私は『それだ!』と思った。魔法を取り入れた戦い方をすれば戦闘の幅も広がるしカロリー消費も増えるかも!

 そう考える私にウルザが残念だけど、と忠告する。

「実戦レベルで魔法を使えるようになるには普通は何年もかかるわよ?それにあなたの戦い方は既に完成の域にあるから下手な付け焼刃を加えると折角の技術も台無しになりかねないわ。やめときなさい」

 確かにウルザの言う通りだと思う。戦術の幅は広がっても体で覚えて実際に使いこなすには大変な労力が必要だ。

 魔法については特に一から学びなおしになるし現実的ではない。

 肩を落とす私にしかし賢者は救いの手を差し伸べてくれた。

「どうせ学ぶならリリオの氣功術の方が良いと思うわよ。あれは魔法と違って頭ではなく感覚で覚えるもののようだし、アヤメのように素手での実戦にも向いているからサラの闘い方にはあっていると思うわよ」

 氣功術。東方の島国で培われてきた不思議な技術体系。

 達人になると体を鉄の様に固くしたり、羽が生えたように身軽になったり、病を癒す事も出来るという魔法にも似た効果を発揮できるという。

「確かに、私もリリオちゃんからお話を聞いたことがあります!私も学ぼうと思って教えてもらったりしたのですが運動が苦手で……」

 ソフィとリリオは年も近く、性格も似ていることから仲が良かった。共通の悩みを持つことも二人を近づけた理由ではあるようだが……(アヤメは悔しそうに睨んでいた)。

「ソフィも既に治癒にかけては死者さえも蘇生できる域にいるのだからあまり他の事に手を出さずに今ある力の効率的な使い方を学ぶべきだと思うわ。ルディの場合は女神ですら自らの力を補填しなければならない程だったのだから気にしすぎてはダメよ?」

 そう言ってソフィの頭を撫でるウルザの姿は失礼ながらいつもと違って慈愛に満ちたものであった。

「二人とも、ありがとう!それじゃあ私、アヤメとリリオに氣功術を教えてくれるよう頼んでくるわね!」

 二人に礼を言って私はアヤメとリリオの下へと向かった。


「最近サラ、頑張ってるね。アヤメとリリオに氣功術を習ってるんだって?」

 夕飯の準備をしながらルディがトモエにそう尋ねる。

「はい。今はとりあえず基礎的な訓練から始めているそうですが頑張っているみたいですよ」

 トモエはサラが頑張る理由も聞かされていたので、心の中でサラの事をいつも応援していた。

「アヤメとリリオもサラに戦い方や薬の調合なんかも教わっているみたいだし持ちつ持たれつ、ますます仲が良くなってくれて本当に良かったよ」

 ルディは基本、他人の笑顔を見るのが好きなので、大変でも楽しそうに頑張る3人の姿を心から喜んでいた。

 そんなルディの姿を見てトモエもまた嬉しくなるのであった。

「あれだけ頑張っているのならお腹もきっと空くだろうし、もう一品か二品作ろうか?サラは食べる事が大好きだしご褒美としてね!」

 そう言って張り切って支度を始めるルディにトモエは「それはかえって逆効果かも……」とつぶやいたのだがルディには聞こえていなかった。

 

 サラの孤独な闘いはまだまだ続くのだった……。

次回作は本編かSSか検討中です。リアルが多忙の為しばらくお時間をくださいませ

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