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14.護る強さ 4

「えっ……?」

 トモエが顔を上げる。他の女性陣も全員がルディの方を見た。

「トモエが強くなる事。剣の道を極める事。俺は賛成だよ」

 そう言ってルディは語り始める。


「まだ1年も経っていないんだけれど俺は以前、ここにいるシーダ、アーデ、ウルザ、ソフィの四人と共に旅をしていたんだ。

 トモエは知らなかったかもしれないけどこの大陸には魔物を操る魔王がいて、そんな魔王を討伐するために勇者シーダを中心に騎士団長、賢者、聖女のパーティが作られた。俺はそんなパーティに雑用係として雇われて一緒に長いこと旅をした」

「勇者……パーティ?シーダさん達が!?」

 シーダ達は何か言おうとしていたが、黙ってルディの話を聞くことにするのだった。

「道中沢山の人たちを見てきたよ。その中で特に印象が強いのが……魔物や盗賊たちに襲われた女性たちだった」

 その言葉にシーダ達だけじゃなくサラやアヤメ達も沈痛な面持ちを浮かべるのであった。

「この世界で女性たちは常に理不尽な悪意に晒されている。盗賊たちの慰み者になって殺されたり売られたりする方はまだマシなのかもしれない。オークやゴブリンに襲われて魔物の子供を妊娠・出産した人の中には気が触れてしまった人や自殺した人もいた」

 忘れられるものではなかったとルディは語る。

「身も心も傷つけられた女性たちを前に、俺は救えない無力さを思い知り、助けられなった不甲斐なさに苦しんだよ」

 体の傷は癒すことが出来ても心の傷は男の自分では癒せない。いや女性であっても癒せやしない。人間である以上、手の届く範囲でしか助ける事は出来ないし、過去に手を伸ばす事も出来はしない。

「だからという訳じゃないけど、女性には強くなって欲しいと俺は思う。理不尽な暴力の前に自分を護れるのは自分しかいないと思うから」

 ルディは心底悔しそうだった。道化師を目指す彼にとって人を笑顔に出来ないことは何よりも辛い事であった。

「か弱く、美しくなんて言う女性像は男が生んだ幻想に過ぎない!

 女は美しい方が楽しめるし、か弱い方が自分の好きに出来るのだから!そんな男の戯言に君達女性陣が付き合う必要はないんだ!」

 確かに強い女性よりは美しく、家庭的な女性の方が男性に好感は持たれるだろう。良縁もあるかもしれない。

「だけど俺は女性に強くあってほしい!

 女性の強さは護るための強さだと俺は思う。自分の身を護り、ひいては将来自分の子供を護るための強さだと。

 男の強さは暴力的だけど女性は何かを護るために強くなれる!現に俺はその強さで魔王の手からこの世界を救い、護り抜いた女性たちを4人も知っている!」


「る、ルディ……」

「この男はいつもいつも……」

「不意打ちばかりで困るわぁ」

「でも、嬉しいですルディ兄様」

 シーダ、アーデ、ウルザ、ソフィの4人はルディの言葉にただただ赤面した。

 そんな4人に構わずルディは続ける。


「トモエ、君の強さは、その才能は世の女性が欲しいと思っても手に入らない素晴らしいものなんだ!いつか君はその力で大切なものを守り抜き、世界を大きく変える事が出来るかもしれない!

 自信を持っていいいトモエ。君の今までの努力も経験もすべてが大切なものだったんだと!」


 ずっと、誰かに認めてほしかった。そうトモエは心の中で思った。

 望まれずに生まれ、頑張って努力しても認められず、ずっと寂しかった。

 だけどこの人は、この方はありのままの私を、私の願いを、希望を、存在を、認めたうえで受け入れてくださった……。


 気が付くとトモエの目から一滴の涙が流れ落ちていた。

 一度それに気づくともう止める事が出来ず、トモエはその場で泣き崩れるのであった。


「え!?と、トモエ?ごめん、俺、調子に乗って言いすぎちゃったかな?」

 ルディは泣き出したトモエにひとり慌てふためいていたが女性陣はむしろ安心したように落ち着いて、トモエをただ黙って慰めるのであった。


 トモエは泣き止むと目を赤く腫らしたまま誤解させたことをルディに謝った。

 そして女性陣はもう少しトモエを落ち着かせたいから先にルディは宿を探してきてほしいと頼みこみ、この場からルディを外させた。

 ルディを外したところで改めてシーダはいつもの様にトモエに問いかける。

「あなた、ルディの愛人にならない?」


 トモエにルディの真実と現在の状況を説明したところ、トモエは非常に驚いていたがすぐに気を引き締めた顔で言った。

「ルディ様は私の力を護るための力だと仰いました。自分の身と、将来生まれる我が子を護るための力だと。私はそこにもう一人、いえもう幾人かを加えたいと思います。

 私はこの力でルディ様を、ルディ様を愛する皆様を護ります。そして護るために私は、これからもっと強くなろうと決めました!」

「あなた一人が護るんじゃないし、あなたも私達に護られなきゃだめよトモエ?私達は仲間で……好敵手なんだから!」

「……はい!」

 こうしてルディ・ハーレムにまた一人女性が加わったのであった。


 ちなみにトモエはこの後、様々な逸話を残すことになる。

 彼女の最も大きな功績はといえば、それは『世界初の女子校の設立』と言えるであろう。

 彼女は身分を問わず、女性であれば誰でも入学し学べる学校を設立し、女性として必要な炊事、洗濯、掃除といった家事一式はもちろん礼節や作法、学問、そして武術を広く世の女性たちに教えたのであった。

 実際彼女はハーレムの中にあってもシーダの次に重要な立場に立つ事となった。

 彼女は花嫁修業としてあらゆる家事を一通り学び、身に着けていた。

 また彼女は子供が大好きで自分の子供以外の子供の事も良く面倒を見ていたため、他の子供たちからは『もう一人のお母さん』として慕われてもいた。

 彼女はハーレムの女性たちの家事や子育てを手伝い、教え、支える立場になったのだ!

 その上でルディと妻たち、妻同士の仲を取り持ったりしたトモエはハーレムにいなくてはならない存在となっていたのだ!!

 それらの経験を世の中の女性に広めるべくルディや妻たちの力を借りて設立されたのが『私立ナデシコ女学園』である。

 『女性らしく強く、美しく』をモットーとして護身術の域にとどまらない本格的な武術指導に良妻賢母として必要なスキルを実地で学びながら覚えられるとして長く歴史にその名を刻む事となる。


 最後に、学園長であるトモエが生徒にこう尋ねられた。

「先生は学園長としても大変忙しくされているのに甲斐甲斐しく旦那様のお世話もされていると聞いています。どうしてそこまでするのですか?」

 それに対しトモエは笑って答える。

「それはもちろん、旦那様の事が大好きだからですよ。大好きな人に大好きになってもらうためなら私は努力を惜しみません。私は今、幸せですよ」


これで今回のお話は終了です。ネタが無くなってきたので次回投稿は未定です。

このまま未完の可能性もありますのでご了承ください

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