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13.護る強さ 3

おかげさまで私の作品の中で一番人気です!2位(異世界の恋人)にダブルスコアのPV数!(笑)

応援感謝です!

 トモエはヤマトでもそこそこの名家の生まれであった。

 両親は子宝に恵まれず、ようやく生まれたのが長女のトモエであった。

 父親は娘が生まれた事を最初は嘆いたが、すぐに愛情を注ぐようになっていった。


 トモエがまだ3歳の頃、父親が娘に軽く剣を教える事があった。

 父親としては軽い運動のつもりで教えたのだがトモエは普段は厳しい父親が丁寧に指導してくれることが嬉しくてすぐに剣術にのめりこんでいった。

 そしてしばらくすると、トモエに剣の才能の片鱗が見受けられるようになった。

 これが息子であればと思うところはあったが教えたことをすぐに身に着け覚えていく娘に父親もつい嬉しくなって本気で剣の修行を付けるようになった。

 もちろんいつかは嫁に行く身、女として必要なことも覚えさせる必要があったので僅かな時間ではあったのだがそれでもトモエは気が付くと年上の少年剣士ですら敵わない程に成長していた。

 トモエも15歳になりその美貌が周りの評判になるようになった頃、トモエに弟が生まれた。

 父親は諦めていた男児の出産に殊の外喜び、だんだんとトモエに関心を示さなくなっていった。

 そんな折、かねてよりその美貌と剣の腕の評判を聞き及んでいた父親の上司である男から息子の嫁にトモエが欲しいと言う話があった。

 美しさもさることながら男子顔負けの腕を持つトモエが子供を産んだなら間違いなく剣の達人になるだろうという計算あっての申し出だった。

 父親はその縁談を喜び、さっそく娘を嫁にやる事を約束した。

 しかしトモエは結婚よりももっと剣の腕を磨きたいと思っていた。そう思って父親に結婚の延期を申し出たのだが父親の猛烈な反対にあった。


「嫁に行くのに剣の腕など不要!大人しく母親について花嫁修業でもしていろ!」


 父親の関心は既に弟に移っており、トモエはどれ程の剣の腕を持っていても単なる家の道具という扱いになっていた。

 トモエはその事を嘆き悲しんだが仕方なく父親の言う通りに母の下で家事の一切を学ぶのだった。

 しかし日が経つにつれトモエの中で剣への思いは消えるどころかより一層強くなっていった。

 

 そして結婚式も間近に迫ったある日、トモエは家を出奔することにした。

 着物に袴姿で男装し、腰には愛刀一本のみを差して家を出た。

 手紙は残してきたがその後、家がどうなったのかはわからないまま船に乗り、大陸に渡ってきたのだという。

 大陸に来た頃は、やはり色々とわからない事も多く、危険な目にも何度かあったそうだ。

 それでも磨いた剣の腕を頼りに今日まで頑張ってきたのだという。

 しかし……


「いつまでも勝ち続ける事など出来ません。それが今日、はっきりわかりました」

 そう言ってトモエが力なく笑う。

「一度負けてみると、何故自分はこんなにも危険な思いをしてまで、家族を捨ててまで剣を極めようとしたのか、とそう思ってしまいました。……私はこれからどうしたらよいのでしょう?何の後ろ盾も無いこんな私を嫁にもらってくださる方が果たしているのでしょうか?」

 張りつめていた糸が、ルディとの対戦で敗北したことをきっかけにぷつりと切れてしまったようだった。

「トモエ……」

 シーダは何か声をかけようと思って、しかし言葉にならなかった。

 立場こそ違えど、トモエはもう一人の自分だとシーダは思った。

 もしも城を出なかったならば今頃は王である父の決めた相手と結婚し、二度と剣を取ることなく王妃としての人生が待っていた事だろう。

 もしもルディに再会できていなかったら自分も今のトモエの様に心折れて二度と立ち上がる事も無かったかもしれない。

 そんな思いは大なり小なりこのパーティの女性陣全員が感じるところであった。

 もしもルディと出会わなかったら死ぬより辛い思いをしたかもしれないし、そもそも辛いと思う心さえも死んでいたかもしれないのだ。

 今まさに死の淵に向かおうとしているトモエに女性陣は自分たちの仲間になるように声をかけたかった。

 しかしいくら境遇に同情はしてもルディの事を第一に考えられない女性を自分たちの仲間に迎え入れる事にはやはり抵抗があった。

 僅かな綻びが原因で、ルディを再び失うかもしれない。

 特に勇者パーティの4人はその点をひどく恐れていた。

 こうして誰もが声を出せない状況の中、ルディが普段と変わらぬ声音でこう言った。


「別にいいんじゃない?俺は今のままのトモエで良いと思うよ」


次回でこの話は完結です。投稿予定は2月14日(日)13時の予定です。

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