暗部
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サンダーランド警部とルシール検事は足早に会議室の中へと入ってくると、机の上に置かれた操作盤のスイッチを入れる。
「サンダーランドだ、会議室についた。通信、呼び出してくれ」
『了解、はじめます』
そうマイクに告げ終えると、すぐに返事が返ってきて数秒で会議室の壁に広げられていたスクリーンいっぱいに【CALL】のサインが出る。
まったく。信じられないことに、真犯人逮捕をしてみたら、それまでの容疑者がどこかへと勝手に移送され、さらにメディアに堂々と公表されてしまった。
捜査方針どうこうの話ではない。最初からこの悪辣な企みが、あらかじめ用意されていたと言うほかない。こうなると、目の前の検事を怒鳴りつけただけでは意味がない。
そう判断すると素早く警部は検事局長との直接の会話を希望した。時間の関係もあるのでTV電話でそれが実現する。
「サンダーランド警部。あの、ワタシ」
「検事、あんたの謝罪など今は聞きたくない。いま知りたい事はひとつ、パトリオットを名乗るあの馬鹿をあんたらはどこに連れ去ったか、ということだけだ。だから口を開かなくていい」
「……ワカリマシタ」
画像がCALLからCONECTに変わると、線の細い中年男性が余裕を感じさせる笑顔で応対してきた。しかし、サンダーランド警部はそれを無視すると単刀直入に用件を口にした。
「挨拶などいりません。あなた達は、危うい自白を元に強引に逮捕状を出しましたね?しかも、我々には何も知らせないまま勝手に外部の人間をうちに引き入れ、参考人を連れだし。あろうことかマスコミに発表までした。どういうことなんですか!?」
「……サンダーランド警部、もっと穏やかに話し合いたいね」
「なら、すぐに答えてもらおう」
「構わないよ。危うい自白というがね。別にうちの送りこんだエースが拷問したとでも言うのかい?そうじゃないだろ?
我々は、そもそもこの事件の発生から注目していた。君達いわゆる現場の警察が、あのような粗暴な暴行犯を少し過剰な自警団員などと評して度々かばっていたからだ。
君達に話さなかったことも、当然の事こちらでは考えていた。あの連続暴行犯は……失礼、もう”殺人犯”だったな。彼を助けるため、などと驚くべき思考で動く君達アークシティ警察は、信用が出来ない。だから、こちらも素早く対応したのだ。
はっきり言うがね、警部。そこに立っている、ルシール検事がこちらに戻って書く報告書の内容のいかんによっては、君を始めとして内部監査を送る必要があるんじゃないかと……」
「局長!ジョージ、そうじゃないの、そうじゃなくて……」
「検事、今話しているのはこちらだ。黙っていてもらおう。……それで、勝手に移送し、メディアにも公然と発表されたわけですか。正気ですか?」
「どういう意味かね?」
「真犯人を捕まえました。1人はうちの牢に入ってます。証拠もある」
「………………?」
画面の男は顔一杯に困惑の表情を浮かべ、サンダーランドとルシールの顔を交互に見やる。が、それでもその言葉の意味が理解できなかったらしく疑問をそのまま口に出してきた。
「彼、彼は……警部はなにを言っているんだね?」
「落ちついて聞いてください。ジョージ、大変なことになりました。犯人は、別に、いたんです!」
「……はァッ!?」
「間違いないです。2人でした。1人は抵抗が激しかったので病院で治療中です。しかし、証拠はそろってます」
「まさか、まさか……いや、そんな馬鹿な!?」
「なにがまさか、で。なにが馬鹿な、なんですか?それよりも犯人は捕まえました。パトリオットの容疑は晴れたんです。どこへ移送したんです?」
「う、ウゥ」
「局長?」
「これは、こんな……チクショウ、騙されたのか。嵌められた!」
突然、ガタガタと震えだすと画面の中の男が叫びだす。その不安定さに警部も驚き、眉をひそめて隣のルシール検事に向くと
「だまされ?はめられた?彼はなにを言っているんだ?」
「さ、さァ?」
「局長、聞こえますか?ちょっと、こちらの質問に答えて!」
だが、サンダーランド警部の求める声は聞こえないのか、無視しているのか。慌ててバタバタと何かをひっくり返すと、ブツンと映像が切れてしまう。黒い画面には【NO CONECT】としか書かれていない。
「切れ……ちゃった……」
「……」
「え、あと。その、そのっ、警部。今回の事は……」
「ルシール・マストロヤンニ検事」
サンダーランドのこれまでになく厳しく冷たい声に、ルシールは必死に動かそうとした唇が凍りつく。
「とんだ暴れ馬をよこしてくれたというべきでしょうかねぇ。現場の意見を無視、暴走のあげくに勝手に逮捕し、あげくの果てに勝手に移送までして。こちらが聞いてもどこに移送したか、答えられないと来た!」
「え、えと」
「自分達がしでかしたことの意味が分かっているのか?あんたらが言うその粗野な馬鹿野郎に無実の罪を着せ、あろうことか今はどこかで拉致監禁に及んでいる。何を考えているんだ?いや、それより今回の事を”いつから企んでいた”?」
「た、企むだなんてっ」
「嘘をつくな!あんたは他に疑うべきものがいるなら話は別、などと口にしながら。あの上司と結託して、あの馬鹿をさっさと自分の好きなように料理しようとしている。これが、なにもなくやったことだと誰が信じるんだ!?」
「ちょっと!だからっ、企んでなんかいないんだって言ってるでしょ!」
「ならなぜこんなことをした!?そこそこの検証だけで、あんたらの目指すゴールへとタッチダウン一直線だったぞ。
よしっ。これをなんの偏見もなくやったと、本気で主張すると言うなら、いいだろう。
あんたとあの上司を、出るところに出てそこで改めて質問してやる。その時、同じように答えるつもりか?これは、最後のチャンスだぞ、検事殿!」
怒りに震えるサンダーランドは雷人の異名に相応しく、声を張り上げるごとになにか見えない力が増していくようで迫力が違っていく。それでも、まだ理性があるらしく。いつものように身体中の毛を逆立ててはいても、そこにパチパチと火花が飛びちる状態ではなかった。
「そ、それなんだけれど……」
ぴぴっ、と音がして会議室内のスピーカーから通信担当の声が聞こえてきた。
『警部、連絡が来ています。その、さきほどの相手の方からです』
「……そうか、ちゃんと答えを用意してくれてると言いがな。つないでくれ!」
『それが警部。複数の回線からのコンタクトがあるのですが……構いませんか?』
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グゥ、それを見た瞬間。険しい顔のまま警部は低く唸った。
たったそれだけだったが、あまりに恐ろしくてルシールはびくびくしている。
画面には2つのウィンドウが現れていて、先程よりも幾分か青白い顔をした検事局長ともうひとつには薄暗い部屋が映され、はっきりとは見えないが誰かが動いているのが見て取れた。
サンダーランドにはそれが誰だがわかったのだろうか?
『サ、サンダーランド警部』
「……」
『その、君の疑いはもっともで、こちらとしても言い訳のしようがない。とにかく今は、お互いが話しあう事で……」
「そういうことならば、最初からあんたらはあの馬鹿を嵌めるために全てを用意していたと認めた。こう理解してよろしいのかな?}
『……警部、そんな喧嘩腰では、こちらも話しようがない」
「なにもそんなに難しく考えることでもないでしょう。カーネル”サウザンド”パトリオットという男は、今、どこにいるんです?そして、なぜすぐにこちらに引き渡せないのか。いや、そもそもなぜこちらに何も知らせようとしなかったのか。その理由を説明してくれるだけでいいのですよ。とりあえずはね」
『け、警部。わ、私はね……」
そこで言葉が途切れてしまう。
どういいつくろっても、彼等の口から出る言葉に無理が出るのは明らかであった。
『まぁまぁ、そんなに深刻な顔をしないで。皆さん、深呼吸でもしましょうよ』
再び、サンダーランド警部は低く唸り。今度は若干だが、白い歯を見せた。
「ここで意外な登場、そういうしかないのがあんただ。なぜ、あんたが出てくるんだ。タオ」
U.S.エージェントのタオはカメラに近づく事で姿をはっきりとみせ。その顔には笑顔が一杯にしてあった。
『あなたが説明を求めるというから、こうしてあらわれたのですよ。
そう、我々は検事局長の求めに応じ。世界有数の、この国で最大の超人達のチームをかかえるメンバーの1人として、司法に携わる彼に対してアドバイスをしたのです』
「アドバイス、だと?」
警部の眉がピクリと跳ね上がる」
『そう、アドバイスですよ。
流れとしてはこんな感じですよ。以前からあなたの住むそのアークシティで、暴れ回る困った奴が……まぁ、はっきり言ってしまいますが2流、いや3流の自称ヒーローがいる、と。
マイナーヒーローのくせに手はかかるし、口は悪いし、意味不明だし。なにより現地の警察がそいつにたいしてじつに”甘い”態度で接すると不満を持っていたそうなのです』
「ほう」
『ええ、もちろんあなた達の事ですよ。彼等は正義感からなんとかしたかったのだそうですよ。この潜在的な問題に対してね。
そこで、エージェントがそれに協力しようと。まぁ、そういったわけなのですよ。だから警部、あなたのいう企みはこれで全部お話ししましたし。彼……なんと言ったかな?…………ああ、カーネル・パトリオット、ですか。
その人の事は”心配することはありませんよ”。メディアへの報道も、しばらくしたら訂正させますので』
画面の中のタオは涼しい顔でペラペラと話し続けるが、話が先に進むたびに警部の顔の厳しさが増していくのがわかる。
そのせいで、画面の中の検事局長も、警部の隣に立つ検事もますます顔が青白くなっていく。
しばらく無言が続いたが、意を決したようにサンダーランド警部はマイクを引き寄せると相手に伝えた。
「なるほどな。”事情はよくわかった”とだけ言っておこう。
ところで、見たところ検事局長も、ここにいるルシール検事も顔色が悪くて体調がすぐれないように見える。ここから先はあんたとサシで話したいんだが、構わないかな?」
『おお、それはいいですね。もちろん2人が了承してくれるならば、喜んで』
その2人には、警部の提案を断る気力はまったく残されてはいなかった。
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「よし、タオ。ここにはあんたと俺しかいない。この回線も秘特に変えているんだろう。なら、話してもらおうか」
『おやおや、何についてです?すでに説明はしましたし、納得もされたと思いますが?』
「聞いたさ。とってつけたようなくだらないストーリーを。だから、まだ納得できない」
『これは一本取られましたね』
「ふざけるな。さっさと本当の事を聞かせて”心の奥底から”納得させてもらおうか」
画面の中のタオが、リラックスした姿勢のまま指を汲んでサンダーランド警部を値踏みするように見て眺める。
(パフォーマンスだな。とうに”話すことは決めている”顔だ。だが、こちらの感情までも見抜くことを味わう事で、楽しんでいるな)
趣味の悪い男だ。しかし、これくらいは付き合わねばこのショーを向こうから切りあげてしまうことだろう。それでは、こちらは本当に何も出来なくなってしまう。
いいでしょう、もったいぶってそう言うと。タオは突然違う話しを始めた。
『国内のみならず、国外にも活躍の場を広げる我々エージェントはね。実に苦労が多い。
特に一番のそれは、”消費した”戦力の穴を埋める事。つまり、補充ですね。それが急務だ。
昨今では有難いことに、超人を思わせるような大活躍をする”人間”まで誕生していますのでね。彼等にも目を向けようと言う話がうちのなかでも出ているのですよ。
その一環で、マイナーな2流、3流の超人にも注目するようになっているのです』
「それがあの馬鹿に注目した理由だと?随分と、とってつけたようなつまらない理屈だ。自慢の知謀がそれでは、エージェントの未来は真っ暗だと言わざるを得ないな」
『手厳しい指摘です。しかし、まだ話は終わっていません。
こちらのスカウトを難しくさせているのは、いわゆるアウトキャストなるアウトロー集団を始めとした超人達。さらにぶっちゃけていわせてもらうと、あなた方の町もそうです。
つまらぬ噂や、建前で。果たすべき国民としての義務を、戦うべき相手を見誤っていると言わざるを得ない』
「フン、とんだ言いがかりだな。自分達の悪名は、強引なやり方をしたあんた等の自業自得だ。アウトキャストの連中は知らんが、うちはただ普通に生活しているだけの話だ。
だいたいな、この国の国民の義務とやらがエージェントに加わって”政府に指示のもとで活動する”ことのみとは初めて聞く御託だ。お前等のやり方に口を出すつもりはまだないがな。
お前の言うことだけが正しいと押しつけてくるのは、この国の自由からいえばおかしな話だ」
『…………まぁ、いいでしょう。話がおかしな方向にいってしまいました。戻します。
そんなわけでして、うちはこの先の活動を考えてこれまでにない採用基準のランクを下げる方向で考えていたのです。
そして、そのなかにあなたの町の愛国者がいた……これで納得されました?』
「まだ足りないな。全部ではないだろう?あいつに目をつけた理由がわからない。
なぜだ?調べたのだと言うなら知っているはずだ。あいつは馬鹿だし、暴れるし、滅茶苦茶なことばかり口走るロクデナシだ。
だが、同時に”殺し”は絶対にやらない。バットで毎回、派手に相手の頭部をぶっ叩くというのに、それだけは一度もしてこなかった。
エージェントの”国外の活動”の噂が本当ならば、審査以前にあいつはあんたらにとっては使い物にもならないとわかるはずだが?」
サンダーランド警部の指摘に、最初は静かだったタオだが。そのうちクスクスと笑いだすと、その声は次第に大きなものへと変わっていく。
最後まで言い終えて黙る警部を前に、しばらくの間楽しそうに一方的に笑っていたタオであったが。ようやくその声もおさまると
『警部、まったくあなたもたいした役者だ。
顔色一つ変えずに”そんな事”を私に聞かせるとわね。
いいでしょう。お互い腹を割って話そうと言うことでしたね。いちいち小馬鹿にした会話をつづけていては、確信に辿り着くのも遠くなる。ここらでいいでしょう。
警部、あなたの言うとおりだ。エージェントは当初から、あんなマイナーな役立たずには興味など無かった』
「……なぜ、それがかわった?」
『答えは簡単。貴方達ですよ。
アークシティには”光の騎士”をはじめとして素晴らしい力がそこにある。
なのに、彼等は皆が一様にあの愚かでおかしな存在に対して気を使っている。その理由は何か?あろうことかこれまでのエージェントは真面目に考えたことも無かった。
しかし、考えはじめるとこれが実に難問でしたよ。さっぱり思いつかない。
自分が本当に馬鹿なのではないかと、本気で落ち込んだものです。これは本当の事ですよ』
「そうか、それでどうなった?」
『このタオが考えるからわからなかった、実はこれに気がつくのは結構な時間がたってからです。自惚れが過ぎてましたね。だから別人に考えてもらうことにしました。誰だと思いますか?』
「さぁな。多彩な才能を集めているのがそちらの宣伝文句だっただろう。あんたに負けない知謀の主なんぞ知らんよ」
『知謀などと言っては”彼”は嫌な顔をしたことでしょうね。
アークシティを知り、そこに住む超人を知る男にただ、聞いたのですよ。あの町の超人達が、これこれこういう男の存在を許している。どう思う、ってね』
「……」
『彼は少し考えて、見事に言い当ててくれました。
さすがです。さすがは世界に5人しかいない不死者。黒の髑髏を持つ男の弟子だった男。師匠に言われて、われらU.S.エージェントに参加した彼。これ以外でも役に立ってくれていますよ。
不死者には伝えておいてくださいね。あなたの弟子は、このようにうちの役にちゃんと立っているとね』
衝撃の事実が明かされたが、サンダーランド警部のしかめっ顔に変化は無い。
もしや、この回答があることを予見していたというのだろうか?それとも、ただ必死に誤魔化しているだけ?その真意はわからない。
「……」
『そうそう、最後にお話ししておきましょう。
その彼のおかげで、すっかり謎は解けました。同時に、愛国者君がうちにきても”ちゃんとお仕事”できるように。きちんとコーディネイトしてあげる計画があるんです。
こちらの思惑通り運べば、愛国者くんはちゃんと”殺し方”を覚えてくれるはず。ただ、なにぶんにも不安定な人物だ。”そうはならない”という可能性もわずかにある。
だから、警部。お互い、その最後を楽しく見てみようじゃないですか。変人でしかなかったマイナーヒーローが、一皮むけて真の愛国者に生まれ変わる。その瞬間を、ねぇ?』
そう言うと、タオは一方的に話し。一方的に連絡を切った。
エージェントで一番悪巧みをし、一番性格の悪い彼は切る瞬間に短い言葉を残していた。
ウダルー刑務所、すでに彼はそこに居て囚人となって服役してますよ、と。
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「よし、お前等良く来たな。この俺様自らが、お前等クズ共の到着を祝ってやる。落ちついて一度だけ、この俺が優しく教えてやるからしっかりと覚えろ。忘れただの、聞いて無かっただの後で騒いでも、その時お前等は大失敗をしていて周りはそれをただ見て呆れるだけだ。これから長い年月を過ごすこの場所で初日から間抜けなピエロとはおもわれたくはないだろう?」
いつもの”送迎車”から降りてきた”新人”達を迎える看守長の言葉を横に聞きながら、センターの管理責任者と看守が歩いて雑談をしていた。
「それで、どうなりました?」
「だめだな、こっちの話に聞く耳を持たん。新任の所長殿は、本社の連中に尻尾をふることしか頭にないようだ。あの厄介者をここにお泊めしろとさ」
「人手が足りないこの状況で、ですか……」
「クズ共の檻の中にたった1人。”特別な奴”がいてもどうにかなるはずだってのがあの人の考えなのさ。話にならんよ」
そう吐き捨てるように感想を述べるが、それをさっき直接本人から聞かされた身としては、不快な一言ではいられない。でかいトラブルを勝手に貰ってきて、勝手にこっちに回してきたことに腹が立たないわけがない。
「あの人、本社の重役の親戚と聞きましたが」
「ああ、財布の重さが脳味噌の重さだと思っている元遊び人のボンボンだ。大学に進学することに必死になって、そこからはドラッグとセックス三昧。おかげでなんとか卒業はできても、どこにもいけなくてヤクばかりに手を出して立って話だ」
「……そんなのが所長ですか」
「酷い話だよな?ここには殺人、強姦、強盗ついでにわずかばかりの冤罪によってブチ込まれた連中がいる。そいつらを低コストの食事と、とりあえず免許を持っている医師や教員達でフォローして”やって”いる。
奴らには確かに助けが必要だと言うのに、本社もその後ろにいる議員連中もここでそいつらが”禅の坊さんのように毎日静かに過ごす”ことだけを望んでいる。
現場が声をあげていかなきゃならないが、その責任者が上の顔色伺いばかりじゃ。希望もない」
「……センター長」
「いいさ!わかってることだ!正直、こんなことを言っているのこの僕だけで、みんなはそんなこと考えてもいない。給料分の仕事をし、時々このクズ共から巻き上げて臨時収入を得られればそれでよし。まったく、なんて場所なんだ。
審判の日が一刻も早く訪れて、ここのすべてを焼き払ってもらいたいぐらいさ!」




