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BLACK&WHITE  作者: 鷹雪
Knights of round Vol.1 Runaway
69/178

すべてはここから

今回が第4部の最後となります。

よかったら一読後、感想その他を残していっていただけると嬉しいです。

「さぁ、手を貸そう」


 そういうとレッドミストは手を差し出しトニーは思わずそれを握って再び屋根の上に登ってきてしまった。


「あ、あんた。誰?」

「僕はレッドミスト。東海岸の辺りで活動しているアウトキャストのメンバーさ」

「へ?はい?」

「違いが出るようにってヤング アウトキャストを名乗ってるんだけど……参ったな、聞いたこと無いかい?」

「え?ええっ?」

「ごめんなさい、レッドミスト。彼、驚いていて頭が回って無いだけなの」

「ああ、そういうことか。よかったよ」


 ホークガールは気を聞かせて横から口を出すと、レッドミストは笑みを浮かべる。

 そこにようやくディアナとルーベンが近づいてくる。ディアナはとりあえず、無言でメガンを抱きしめ。ルーベンはトニーの肩を叩き、ヴィクターの顔を覗き込んでいる。

 そして、全員を代表してディアナが口を開く。


「その……ありがとう、突然のことだからまだ頭の中が真っ白になってるけど。とにかく、あなた達のおかげで助かった」

「いや、いいよ…………それに、これはフェアじゃないよね。だから正直に言うんだけど」

「?」

「実は、僕達はしばらく前にこの列車に追いついていたんだよ。でも、いくつか理由があって手を出さなかったんだ。よかったら、その理由を説明させて欲しい」

「っ!?……いいわ、聞かせて」

「ありがとう。

 1つはトンネルのことさ。あれがあるところで無理矢理には近づけなかったし。あいつらに気づかれて暴れられたくは無かったんだ。あー。どうしてもいい訳にしかならないね、本当はこっちが本音なんだ。

 君達のやり方をずっと見させてもらってたんだ。正直、チーム内では君達のやりようは無謀だから止めて自分達が介入しようという声もあったんだ。でも、僕はそうは思わなかった」

「……」

「まだ洗練されているとは言えないけど、君達は”いいチーム”だ。これは本当のことさ。

 強引のようでいて、実に見事に危機をかわしてみせた。正直、称賛を送らせてほしい」

「どうだろう、結局助けられちまったし。俺にはあんたにそんなこと言われても。素直に喜べねぇよ」

「それは……そうかもしれない。でも、分かってほしいんだ。

 僕等にしても本当は駅で列車に乗り込む前に抑えたかったけど間に合わなかった。

 そうなると、列車の乗客たちを危険にさらして君達を守るという高いリスクをすすんで冒すわけにはいかないって言うことを」

「トニー。彼の、レッドミストの言っていることは信じていい。彼の言っていることは間違っていないと思う」

「……ルンがそういうなら、きっとそうなんだろ。俺は良くわかんねぇけど」

「すまなかった。気を悪くしたなら謝りたい。許して欲しい」


 ディアナは全員の顔を見回す。トニーはまだ納得しがたいという風であったが、それ以外に不満は無かった。


「もういいの、レッドミスト。それよりも、あのリメーンとかいう奴はどうするの?あなたの仲間と一緒に落ちてしまったみたいだけど……」

「大丈夫、それも作戦のうちさ。僕もここでの”用”を終わらせたら合流するよ」

「ううん、そうじゃないよ。一緒に倒そうってこと」

「アハハハ、君のパンチは凄い迫力だったよね。お譲さん、でもその必要は無いよ」

「でもっ!?」

「いや、いいんだ。ジェシカさんもいってたろ?君達は何があってもまず、アークシティに行かなきゃならない。君達があそこに行けば、取り合えず僕等の任務も完了ってことになる。あいつを逃がさないように捕まえるのはそのついでってことになるけど」

「その……いいのかな?私達が迷惑かけっぱなしみたいで、ちょっと。心苦しいわ」

「そんなことはないよ……ああ、君がホークガールだね?僕のボス達からメッセージを預かってるよ。君の情報はこれまでも役に立った。値段分の価値はあった、ありがとう。だってさ」

「あなたのボスよね?あの有名人にそんな……照れるな、どうしよう。そういえばさっき”用がある”っていったわね。なにがあるの?」

「ああ、そうなんだ」


 そういうと、レッド・ミストは一歩ディアナに近づくと、手を差し出す。「?」ディアナはそれが意味することが分からず、顔にハテナマークを浮かべてとまどってしまう。


「ディアナだよね。君は確かジェシカさんから携帯電話を渡されていたはずだよ。それを僕に渡して欲しい。彼女には僕等を通して返却することになる、それは同時に僕等が彼女の依頼を遂行したという意味にもなるんだ」


 なるほど、ディアナは納得してポケットの中の携帯電話を取り出すと彼の手の上へと置く。


「……それの電波を追って、僕等の場所を割り出したのかい?」

「ああ、わかった?実はあのお婆ちゃんは本当に厄介な人でね。旅好きの癖にあちこちでトラブルを起こすんだよ。おかげで超人でもないのに、僕等と同じような扱いでどこにいてもわかるように連絡が取りやすいようにしているんだ」

「マジかよ……」

「本当だよね。正直、僕等もあの人には自宅の豪邸でじっくりと原稿を書いていて欲しいと願っているんだけどね。うちでも彼女の世話になった連中は多いから。でも、聞いてくれないんだ」


 そう言いながら携帯をしまうと、未だに並行して飛んでいる飛行機に向け何事か合図を送る。別れの時がきたようだ。



「ここから先は君達を邪魔する者はいないはずだよ。あいつのことは僕達に任せて旅の最期を楽しんでくれ。

 ああ、あともう1つ。もし、アークシティに君達の居場所が無かった時はぜひ僕等のアウトキャストのことを思い出して欲しい。さっきも僕は言ったけど、君達はきっといいチームになる。

 そうじゃなかったとしても、君達がアウトキャストの側を通る時は顔を出してよ。ぼくだけじゃない、ボスもアウトキャストのみんなも君達を歓迎するからね。それじゃ、今はお別れだ」



 そういうと黒いマスクの下にニカッと笑みを浮かべるとレッドミストは再び闇の中へと飛び立つと飛行機もつづいて姿を消してしまった。

 離れていく轟音とライトの光でようやく騒ぎに気がついた車内の客達の何人かは身体や首を窓から突き出し、それをポカンと見守っていた。

 その隙をつくようにディアナ達は車内へと移動すると、部屋に戻って寝台に全員が倒れこむ。

 疲れた、とにかくそれだけだった。

 心地よい睡魔が襲ってくるのを感じる、きっと目覚めは最悪だろうがその時はアークシティについているだろう。

 彼等の戦いはようやく、一つの区切りを迎えようとしていた。そこが楽園かどうかは分からない。だが、彼等が望まない未来を押し付けられることは無い、それはあると思いたい。




AM 8:45 アークシティの駅の構内


 到着時間が15分遅れた。

 目の下にクマを作り寝惚けた顔で、フラフラと元気なく列車から降りてくる若者達がいる。

 美しく彫刻と一体になったような駅の中を見回す、これが夢ではないと彼等は分かっているのだろうか?

 そして、田舎者丸出しでそのまま突っ立っている彼等に近づいてくる警官達がいた。その中には、カッチーナ警部補もいる。


 リンダ・カッチーナ警部補は、実に久しぶりに実家から姿を消して音信不通だった妹。不良娘のザビーネ・カッチーナと対面した。

 2人は向かい合ったまましばらく黙っていたが、恐る恐る近づいていくと。ぎこちなくではあったが、お互いを抱きしめた。


「おかえなさい。歌うソング・バード


 その時、耳元で小さくそう囁いた姉の言葉で泣きそうになる。それは、天使になり損ねた妹をからかうために姉がつけた妹の呼び方であった。



▼▼▼▼▼



 すでに物語は1つの決着を迎えた。

 ここから語られるのは、次の物語へとつなぐ間の物語。




 リメーンは屈辱にうち震えていた。

 ボロボロの戦闘服は、戦いを終えて帰還したことを意味していたが。その身体は何重にも鎖で拘束され、両膝をついており。部屋は真っ暗で、ただ一つある巨大な照明機がそんな無残な姿の彼を照らし続けていた。

 それは”敗者への鞭打ち”に等しい所業であった。


「ヤング アウトキャストを振り切った。そこまでは聞いた。それから?」


 冷徹な響きの女の言葉が上がる。よく見てみると、照明機の後ろに10数人の人影が立っているのが見て取れた。

 間違いないだろう、ディアナら子供達の両親である。


「……最後に、アークシティに入る前にある鉄橋で襲撃できる。そう思って追跡を再開したのだ」

「ほう、それで。間に合わなかったのか?」

「…………そうだ」


 嘘だった。

 リメーンはヒーローチーム相手に奮戦し、再び追跡を再開した。今ならディアナ達は、ガキ共は気も抜けている、そこを襲えば勝てる。そう考えたからだ。


 太陽が昇り、さわやかな朝が来て、リメーンは見た。

 遠く鉄橋に向かう列車の姿を。だが、喜びはそこにはなかった。いま、追えば町に入る直前にチャンスがもう一回だけあるかもしれない。だが、それはあり得ないことになってしまった。


 鉄橋の上に、1人の大男が腕を組んで浮かんでいるのを見たのだ。

 アレックス・アークナイト。アークシティの”光の騎士”がそこにいた。

 太陽の輝きを背に佇むその姿は、まさに町の守護者と呼ぶにふさわしく、悪の存在を近づけぬ門番となっているように思えた。

 なんとなく、遠い物陰に身を潜ませ様子を見ている自分がわかっているかのようなその姿に、リメーンは背筋に冷たいものが流れるのを感じずにはいられなかった。


 自分の能力に絶対の自信を持つリメーンであっても、わからざるおえなかった。

 いま彼と戦っても勝負にはならない、と。その瞬間、彼は敗者へと転落した。

 歯噛みしながら町の中へと入っていく列車を見送る彼の心の中が、敗北感で染まっていく。そんな彼をあざ笑うかのように、追い討ちが待っていた。ようやく帰還した彼を待っていたのはガキ共の親達による”事後報告”の求めであった。


「彼等はあの町に。もはやそう簡単には取り戻せぬ場所へと至った。そういうことだな?」

「そうだ!」


 歯ぎしりする音が静かな部屋に響き渡る。自分と言う存在をこれほど屈辱的な目にあわせたのは子供達で、その親達であるということがどうしても受け入れることができず。この拘束がなければ、今すぐこのクソ親共を八つ裂きにしてやりたいと思った。


「諸君、残念ながら。あの子達は”しばし”我等の手から離れることになった。そういうことで、それぞれが考えなくてはならないだろう」

「イゴー……それでいいのか?」

「ではどうする?ロイ、我等であの町を襲うか?光の騎士、雷人、漆黒の心臓とあそこには厄介な連中が多い。簡単にはいかない」

「あきらめろっていうのか!?」

「ドブ、落ちつくのだ。むしろ我等は喜ぶべきなのだ。半端者で、未熟者だったはずの子供達はその技術で見事我等を出し抜いて見せたのだ……そう、”彼らの世代”で最も優秀だとされる男を叩きつぶして見せた」


 リメーンは、彼等が何を口にしているのか最初、わからなかった。

 イゴーに続いて、親達が自分に冷笑の目を向けてきたのでその意味がわかった。だが理解すると、再び怒りで気が狂いそうになる。


「こっ、このっ!この恥知らずどもめっ!!」

「黙れ、小僧。未熟者め。お前には最初に言ったはずだ。子供達を連れ戻す今回の作戦の責任者はお前にしてやる、その代り失敗は絶対に許さん。そうだったな?」

「だが、結果は出た。お前は彼らよりも”劣る性能”を証明してみせた。お前の能力を高く買っていた皆も、今回のことは失望したはずだ」

「し、しかしっ」

「妻が、彼女達が我等が動いている間に徹底的に調査をしつくしたよ。その結果、我等の組織はあの子達によって深いダメージをおったことが判明した。我等の当面の動きはアウトキャストを中心に知られてしまった。

 組織の再編成と共に、計画の再度見直しが必要となる」

「だが、同時に我々は君の。むざむざ劣る者達を捕えられない未熟者だと判明したお前の【再教育】が急務であることは理解している。だが、我等にその暇は無く。君の戦力は貴重だ」

「そこで私達はそれらすべての問題を解決する方法を見つけた」


 すると、ゴゴゴという音と共に部屋の奥が。リメーンの背後の壁が左右にぱっくりと割れていく。

 その向こうには輸送ヘリが降り立つヘリポートが見え、何者かがそこからこちらへ向けて歩いてくるのが見える。


「リメーン、紹介するわ。

 彼女の名前はクリスティーン・フェアチャイルド。若きミュータントテロリストであり、次世代部隊【G-NEXT】のリーダーの1人でもある。

 あなたは私達【レヴォリューション9】をしばらく離れ。彼女に、【クライム ソサエティ】に預ける。そこで彼女の訓練を受けることで【再教育】とする」

「お、女だと!?」


 180センチを越える長身の女だった。

 だが、燃える赤い髪とは違い。その目はとても冷たく青く光り輝いている。


「私を、私をあんな女の部下になれということか!?」

「彼女は裏社会において、相当な実力者として知れ渡っている。お前が学ぶことは多いはずだ、そうだろう?それではご機嫌よう」


 次の瞬間、リメーンの息が詰まる。

 鎖が強く引かれ、息が詰まったのだ。それがあの女によって片手で引きずられているとわかったのはしばらくしてからのことであった。



▼▼▼▼▼

 


 次回【Knights of Round Vol.2 TEAM UP!!】、ご期待ください。(ただし時期未定)

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