小学校5年生・冬 ~きっかけ~
それはまだ、私が小学生のとき。
「おはようございまーす。」
朝。
先生が教室に、つくり笑顔で入ってくる。
冬だから、まだまだ外は暗くて、何処と無く淋しい空気のこの教室に、大人のつくり笑顔は、単なる邪魔者なのに。
【将来の夢】
黒板に白いチョークが、この4文字を描いた。
「今日は、このテーマに沿って作文を書いてもらいます。」
はぁ。
〔~してもらいます〕とか、〔していただきます〕とか言っておいて、結局[強制]。
少しでも遅れれば怒る大人。
さっきまでの笑顔は何処へ…?
「皆さんの書く作文を、とても楽しみにしています。それでは、書きはじめてくださいね。」
仕方ない。
書くしかなかった。
反抗したいよ?
できるものなら。
でも、自分にはそんな権力無くて、結局謝るハメになる。
だから、素直にやるしかないんだよ。
それにしても、めんどくさい。
〈私の将来の夢〉
タイトル。普通すぎるかな?まあ良いとしよう。
桑原小学校5年 橘花奈那美
名前か。
今日の私がこのシャープペンで書いた名前は、どこか落ち込んでて、元気がなかった。
本文か…。とりあえず…
「私の将来の夢は、小学校で先生をするコトです。」
そう。私は、先生になりたかった。
確かに。
“先生”という部類の人間は、とりあえず全面的に拒否してた。
でも、自分の中に住む『いいヤツ』が、自分が大人になったときに小学校に通う子供たち…いわゆる、将来の将来を担う世代まで、『先生』を拒否していていいのだろうか?って語りかけてきたんだ。
確かにな、って思う。
今考えればの話だけど。
だって、少しだけ。
そうやって拒否してきたコト……。
「後悔」してるから。




