表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
[完結しました!]【BIO DEFENSE】 ~終わった世界に作られた都市~  作者: こばん
2-1.再会

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

418/426

22-2

 惟信とヒナタが友愛の構成員とぶつかった頃、反対側ではゆず達と白づくめの残党の戦闘が始まっていた。


「ハハハアァ!ようやく追いついたぞ、これまでだな。随分と被害を受けたが……今の世の中には絶望している者達はいくらでもいる。四国にも感染者が怖くて閉じこもっている奴らはいくらでもいるだろう。少し耳触りのいい事を言ってやるだけで、自分の都合のいいように解釈して信者になる弱い奴らがな!」


 宗教者の着るような服のあちこちを破れさせた阿賀部が、醜い顔でそう言い放った。

 余裕がある時に見せていた、温厚で冷静そうな態度は仮面だったのだろう。


「ふん。そんな安っぽい指導者の言葉に、説得力はない。四国はそれなりに安全が確立されてきている。誰も耳を貸さない」


 つまらなそうにそう言ったゆずを、射殺さんばかりに見つめる阿賀部。

 その頬がピクピクと痙攣している。


「お、おいゆず。あんまり挑発するな。あの手の人間はとち狂って何するかわかんねえぞ」


 阿賀部の様子を見たスバルがゆずに向かってそう言うが、ゆずは止まらない。止まる気もない。止まる必要がない。


「どうせ、私たちが逃げた後に、簡単にやっつけられると思ったカナタくん達にボコボコにされて、来るのが遅くなったぐらいの連中。むしろ、私の気を晴らすためにきてくれたと言っても過言じゃない」


 阿賀部の頬が盛大に引きつる。

 スバルは額を押さえて天を仰いだ。そもそもゆずを止めれる人間は限られている。


「あの小娘を潰せ!二度とくだらん事が言えんようにしてしまえ!」


 阿賀部が叫ぶと、周りの白づくめ達が一気に動き出した。


「ほら、ゆずが煽るから……めっちゃキレてんじゃん」


 スバルが呆れた顔をしているが、ゆずは素知らぬ顔をしている。


 走り出した白づくめは、ゆずが言ったようにだいぶ疲弊しているのか、もはや服装も白ではなくなっている。

 血や泥にまみれた、まだらな白づくめが武器を構えて走ってくるのを、ゆず達は迎えうった。


 ゆずは自分が前に出て、先頭の白づくめの攻撃を刀で逸らし、至近距離から撃った。

 額の部分に弾痕をつけて倒れる白づくめを、相手の方向に蹴って勢いを削ぐ。


 スバルとダイゴは組になって、ダイゴが受け止めスバルが攻撃するというスタイルが出来上がっている。

 問題はアスカと由良だったが、こちらもまだ拙いながら協力して倒していた。


 喰代博士はリョータをかばいながら、車両などを利用して白づくめをかわしている。


「ええい、何をしている!こうなったら……」


 なかなかゆず達を倒せない白づくめ達に阿賀部は、白づくめ達が数人で引っ張ってきていた台車に走り寄ると、紐を外し出した。


「む。」


 それに気づいたゆずが、白づくめの攻撃をいなしながら阿賀部に向かってfive sevenを撃ち込むが、離れているために当たらないまま台車に乗った棺桶の蓋が開かれた。


 そこから起き上がってきたのは、何度も見た両腕が肥大化した感染者の変異体。

 棺桶や台車を壊しながら立ち上がったそれは、阿賀部の指し示すゆずを見据えた。


 ターン


 その変異体が一歩、足を踏み出した時……一発の銃声が響き、変異体の首にパッと赤いものが弾けた。


「な!……あ、あ」


 呆然とする阿賀部の目の前でグラリと揺れた変異体は、そのまま地面に倒れた。


 突然聞こえた銃声に反射的に身を屈めていたゆずは、周囲に視線を飛ばす。そして見つけた。

 白づくめ達のさらに後方、車両に隠れるようにしてライフルを構える人物がいる。


「え、誰だ?」


 スバルが呟く声が聞こえた。ゆずも警戒したが、それはすぐに解けた。


「No.4一番隊だ!十一番隊に加勢する!」


 その後に姿を見せた、片手と片足を失った人物がそう声を上げたからだ。その姿には見覚えがある。


 明石大橋に行く前に会った如月が、ぎこちないながらも支給刀を持って指示を出している。


「一番隊?……助けにきてくれた?」


 想定していない援軍に、一瞬ポカンとしていたゆずだったが、すぐに我に返ってfive sevenを連射した。


 マザーの圧倒的な力に、大怪我を負って戦いから身を引いていた如月がわざわざこんなところまで来て手を貸してくれているのだ。


 如月の指示に従って、狙撃をしていた男はハンドガンに持ち替えて近くにいる白づくめを撃つ。その反対側からは、熊のような大男が走り出て、手に持つ鉄の塊を振り回している。


 よく見ると、それは鉄パイプなどというチャチなものではなく、H鋼と呼ばれる鉄骨だ。

 中心の持つ部分だけ、細く加工してあるが両端はそのままの形のままの代物。


 それを棒っきれを振り回すようにしながら、白づくめを文字通り薙ぎ倒している。


 その間隙を縫って、銃を構えた男が走り寄ってくる。その姿は軍隊か特殊部隊を連想させる。


「よお、一番隊の熊谷だ。まぁ、初めて見ると驚くよな。あっちで鉄骨を振り回しているのが細田だ。副隊長の如月さんから聞いている。後輩なんだって?」


 そう言いながらスルスルと近くまでやってくる。


「お、珍しい銃を使ってるな?5.7mmか……。待ってろ…………お、あったあった。ほら」


 そう言って熊谷と名乗った一番隊らしき人は、荷物の中をゴソゴソと探って、ゆずのfive sevenにあう弾丸をニケースも放ってよこした。


「お、あ、ありがと。……ございます」


 さすがのゆずも熊谷の勢いに押されて、少し動揺しているのか、片言になってしまったお礼を言う。

 よく考えたら、細田というらしい大男がいくら目を引くといっても、まだ白づくめがいる所をスルスルと熊谷はやって来た。


 やはり特殊部隊的な人なのかもしれない。


 一方、細田の方はひどい有様だった。H鋼なんて物で殴られればひとたまりもない。

 周囲の白づくめは逃げ惑い、阿賀部ほか数名の白づくめは廃棄車両を盾にするようにして、細田の反対側の道路まで逃げている。


 そのおかげで、片足が義足の如月も悠々と戦場を歩いてゆず達の所までやってきた。


「ん?剣崎の姿がないようだが……」


 そして、ゆず達の顔を見回して言った。


「それが、カナタはし……」「カナタくんは私達を逃すために戦ってる。少し遠くて……もう会えないかもしれないけど。戦ってる」


如月の問いに答えようとしたスバルの答えを遮ってゆずがそう言った。

 強い口調で……異論は認めないという表情だった。


 ただ……如月はそのやりとりで、色々と察したようだ。


「そうか……。また会って話をしたかったが。残念だ……」

 

 如月が少し俯いてそう言った。その後ろから大きな姿が近づいてくる。


「如月さん、その子らが言っていた後輩かい?」


 周りの白づくめをぶっ飛ばしてしまった細田が、鉄骨を肩に担いでやってきた。


 ゆず達を見て、後輩かとにっこり微笑む顔はとても優しい先輩に見える。

 ……肩に担いだ両端に派手なペイントのついた鉄骨がなければだが……


「ん。応援感謝、今の隊長は前にいる剣崎ヒナタ。今忙しいから私が替わって礼を言わせてもらう」


 そう言ってぺこりと頭を下げたゆずが、近くまで来た細田の顔を見ようとして後ろにひっくり返りそうになる。


「なんか……身長差がすごくて距離感がおかしく見えるね」


「おお、なんかバグってみえるよな」


 ダイゴとスバルがのんきな事を言えるのも、細田から逃げて反対車線に言った阿賀部や残り白づくめ達は、熊谷がハンドガンで牽制しているからだ。


 頼みの綱の変異体をあっさりと潰されたうえに、細田の暴れっぷりを見て戦意をなくしてしまったのか、ひとかたまりになって今にも逃げ出しそうな顔をしている。


「少しでも君たちの援護ができればと追いかけていた。ここで追いつけてよかったよ。後は……向こうだけか」


 そう言って如月は視線を上げる。ゆず達も振り返る。


 その先では惟信とヒナタが友愛の構成員達と激しくやり合っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ