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らぶがん いず べりぃぐっど。  作者: 源小ばと
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48/52

48.黒い蛇

「改めて見ると…あの腕、なに?気持ち悪いんだけど」


セスが指差すのは手首がなくなり、黒い光が蛇のように蠢いている、グランツの片腕。


魔物を生み出し、クロエたちに放っている腕だ。


「扉を作る材料にしたらしい」


「うぇっ」


ルウが簡単に説明するとセスは顔をしかめる。


死の世界と契約した腕…


あたしはふと疑問を口にする。


「あんなに死の世界の力を使って、大丈夫なのかな?

本体…自分の体は持つんだろうか」


「あんなやつの体の心配をするなんて、シャロたんマジ天使♡」


「…確かに。どんどん消耗させてみるか」


「そうだね」


セスをスルーして、ルウの意見に頷く。


「面倒くさいから、腕を切り落としちゃえばいいんじゃないのぉ」


「任せる。お前も好きにやれ」


その時、轟音と共に空から光の矢が降り注いだ。


あたしたちは後ろへ下がり、セスとルウが光で相殺させる。


「お喋りは終わったか?」


グランツはそう言って、音もなく宙から下がってきた。


冷たい目で見下しながら。


「お前も混ぜてやろうか!」


セスが両手に緑の炎を纏い、続けざまにグランツに放つ。

そのタイミングでルウも青い炎を生み出し、波状攻撃を仕掛ける。


グランツは後退しながら、その炎を防いでいく。


あたしも参戦!


彼らの背後から隙を見て、銃を撃つ。


グランツは呪われし腕を大きく二回振った。


また大量の魔物が生まれ、1回目のグループはクロエたちへ、2回目のグループはあたしたちを取り囲む。


そして一斉に襲いかかってくる!


うわわっ!

慌てるあたしとは違って、兄弟は冷静に仕留めていく。


そして魔物に気を取られてると、グランツの攻撃が飛んでくる!


「あー、うっとうしい」


セスの炎で残っていた魔物が焼き尽くされる。


…この人、なんだかんだ言って、やっぱり強いんだ。


「シャーロット、お前の読みは正しいみたいだな」


ルウが顎で示した先には、生み出した扉によりかかっているグランツの姿があった。


顔は青白く、息も荒い。


「…聞こえるか?」


グランツはそう言って、唇に指を当てた。


あたしたちが思わず黙り込むと。


体を預けている扉を叩いてるような音がする。


「…外に出たい。この世界に再びやってきたい。そんな気持ちを感じるよ」


「苦しそうだな」


大きく深呼吸するグランツにルウは静かに言った。


「今はね。中途半端に…身を捧げていたから。それじゃダメだ。一体にならないと…」


グランツは両手を広げ、扉にぴったりとくっつく。


「っ!」


一瞬、グランツの体が光ったと思った次の時には。


扉から例の蛇のような光が無数に現れ、グランツを包み込んだ。


それらがうようよと動き、彼の姿は見えなくなる。


そして蛇の光が消えた…

そこにはかつてグランツだったものがいた。


口は耳まで裂け、尖ったナイフみたいな歯が並んでいる。

舌は蛇のようにチロチロ揺れている。


腕は両方とも復活していて、爪は鋭く伸びている。


背中には黒い翼、頭に長いツノが2本。


瞳は真っ赤だ。


「魔族から…魔物に成り下がったか。アホが」


ルウが鋭く吐き捨てた。


「死の力に全てを委ねたら…力を最大限まで発揮できる。人の形になど…こだわらないよ」


グランツはさっきとはまるで違う、嗄れた声で言った。

苦しげな様子はもう、ない。


「!」


その姿が消えた、と思った瞬間。


空中で光が炸裂し、上空で戦っていたクロエとアコード、メルが落下していく!


あたしたちは瞬時に彼女たちの元へと飛ぶ。


だけど、強風が生まれ、あたしはゴツゴツした地面に叩きつけられた。


「痛…」


突然の事で頭が働かない。


でもメルが、クロエが、アコードが…。


なんとか必死に上体を起こし、進もうとするけど、進めない。

振り向くと、あたしの服の裾を踏まれていた。


血のような目をした、グランツに…!

悲鳴は喉の奥で止まってしまった。










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