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らぶがん いず べりぃぐっど。  作者: 源小ばと
41/52

41.策

「お前、知っておったのか!?」


その報告に眉1つ動かさないルウにニコラはくってかかる。


「そうではありません」


ルウが指先で円を描くと、青い光は大きな球体になり、外の様子が映し出された。


アコードが警戒した様子で辺りを見回してる姿が映し出される。


「遅かれ早かれ、グランツがここにやって来るのはわかっていたのです。『鍵』を知るのはここしかない。念のため、部下を外に置いていただけのこと」


その部下・アコードは腰に下げていた長剣を抜くと、素早く振り下ろした。

光が矢のように飛んで行く。


「ひどい挨拶だな。ルウナリィに礼儀は教わってないのか?」


グランツだ!


灼熱の池の上で翼をはためかせてるその姿…


「なに、あれ…」


あたしは映像を見て、思わず呟いた。


グランツの右腕には蛇のように黒くて細い光が、うねうねと巻きついている。

そして、その腕の手首から先が…ない。


「ああ、あれはですね。扉を作る儀式の仕上げには自分の手首が必要なんです」


「えっ!」


お菓子のレシピを教えてくれるような軽さでシェルダンが言った。


「これが正式な挨拶ですよ」


闇のオーラにも屈せず、アコードは素早く斬りかかる。


グランツが右手を振ると、黒い光が沢山のコウモリに変化し、アコードに向かって行った。


アコードは踊るように軽やかにそれらを斬り伏せ、グランツに迫っていく。


細身の好青年、といった見た目とは違い、彼は確かに強かった。

かすかに口元に微笑みを浮かべ、この闘いも楽しんでるように見えた。


とはいえ、グランツはのらりくらりと攻撃を交わしてるだけ。

決定打にはかける。


「我が帝国の上で目障りな!蹴散らしてくれるわ!」


様子を見ていたニコラが怒鳴ったとたん、赤い池から空に向かって、何本も水柱が上がった。

グランツもアコードもあわててかわす。


柱はやがて龍の姿となり、一斉にグランツを襲う。


グランツは飛びながら交わしたり、黒い光を放つけど、それらは所詮液体。


龍の顔部分がバシャッと飛び散り崩されても、すぐまた形成され、彼を追っていく。

大きな口を開け、灼熱の液体に取り込もうと。


「ハァァ、凄いですねぇ」


シェルダンは乙女のように胸の前で手を組み、甲高い声を上げる。


「そうであろう!」


ニコラもドヤ顔で答える。


「この池は我らの魔力の源!ここから我ら一族は力をもらっているのだ。誰も地下帝国を落とせないのはその為なのだ!」


いつのまにか、ゾーアンの少年兵たちも地上に現れていた。

少年兵、アコード、灼熱の龍。


それらに狙われ、さすがのグランツも防戦一方。

唇を噛みしめる表情も見える。


「どうだ、魔王よ!これがゾーアンの力だ。あんな小童、敵でもなんでもないわ」


ニコラが高笑いするなか、ルウはじっと戦いの様子を見ている。


「…ふん、陰気なやつ」


ニコラはぷいと横を向くけど、エオンさんも神妙な顔をしてるのを見て、不安げな表情になった。


「ババ様まで、どうしたのだ?」


「…難攻不落のここに単身でやってきたんだ。何か策があるだろ」


メルが低い声で静かに言う。


「そんな策を出す暇なんて与えんわ!」


ニコラの昂ぶる気持ちに合わせて、灼熱の龍の勢いは増す。


「…鬱陶しい」


グランツは確かにそう呟いた。


そしてくるりと回転して攻撃を交わしながら、懐に手を入れた。


取り出したのは小さな瓶…


「アコード、下がれ!」


突然、大声でルウが怒鳴った。


間合いを詰めていたアコードは主の声に大きく後ろに下がる。

グランツの手から瓶が落とされた。


瓶は灼熱の池へと落下していく…


水面に吸い込まれたその瞬間。


轟音と衝撃があたしたちを包んだ。





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