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らぶがん いず べりぃぐっど。  作者: 源小ばと
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42/52

42.扉

壁や床がビリビリと震え、あたしは思わず目を閉じ、姿勢を低くした。


右肩にはメルのふわふわした毛並みを感じる。


そして左肩には力強い手…。


「アイツ、何をした!」


ニコラの声に目を開けると、彼女は床に両膝をつけていた。

その顔は蒼白だった。


あたしの肩に手を置いていてくれたルウは、その手を離すと消してしまっていた青い光を再び放つ。


青い光が映し出す地上の様子は…。


「なんてこと…」


エオンさんもよろよろと力無くその場に倒れこむ。


池の上には、『扉』が出来ていた。


所々剥がれたり、汚れたりしている、くすんだ金色の分厚い扉。


グランツの腕にまとわりついてるのと同じ、黒い蛇のような光がそれを包んでいる。


そして…赤々とし、躍動していた池は、微動だにしないどす黒い水へと変貌していた。


「いったいどうして…」


あたしはその光景の禍々しさに、絞り出すように声を発した。

喉の奥がひりつく。


「…あの扉は死を司るものだ。この池はいわば生きている水。その生命エネルギーを吸い取ったんだ」


ルウは睨みつけるように映像から目を離さない。


「そんな…もう…池の声が聞こえない」


ニコラは震える両手で顔を覆った。


さっきまで自由に操っていた池の力を捉えられないのだろう。


「あの池はゾーアンの魔力の源…もう我々にはわずかしか魔力は使えない」


エオンさんは諦めきった眼差しで、小さな声で言った。


「凄く、良い案だろう?」


グランツの笑みがゆっくりと顔中に広がっていく。


「ここの地下帝国は目障りだったからな。どーんと扉をここに立てて、機能を停止させる。水の加護がないゾーアンなんぞ、敵ではない」


あたしたちが聞いているのをわかって、演説めいたオーバーな仕草。


「ただの小さなクソガキだ」


そして、呆然としてる兵士たちに獰猛なコウモリを向かわせた。


魔力をほとんど失った彼らは逃げ惑うのみ。


「お前たち、一度戻ってこい!」


震えながらも、ニコラは指示を送る。


「させない」


グランツはそう言って逃げる彼らを追う…が、

その間にアコードが立ちふさがる。


「邪魔をするな、三流。オレはゾーアンに用がある。鍵について教えてもらわなくてはな」


「それが教えてもらう態度か!」


アコードの剣を片手で軽くかわしていく、グランツ。


そして、おもむろに黒い光を池の中心に向けて放った!


ドォォン!

ガッシャン!


廊下の奥の方から何かが割れる音、崩れる音がして、それに悲鳴が混じる。


あたしたちはあわてて、部屋を飛び出した。


天井や壁が崩れ、廊下はひどい有様だった。


頭や手足から血を流した男女がへたり込んでいる。


「メル!」


あたしの考えを察して、メルはすぐさま回復魔法を放つ。


あたしも銃を取り出し、回復の白い光線を撃つ。


「シェルダン」


「お任せを」


ルウの指示にシェルダンは一礼をすると、両手を床につけた。


たちまちグリーンの光がそこら中を包み、眼に映るすべてのものが緑色に染まった。


「とりあえず、この帝国全体に結界を張ってみました」


シェルダンは軽い調子で、立ち上がった。


「この帝国って…凄い広さだろ?アンタ、こんなことできたんだ?」


メルが驚くけど、あたしも同感。

こんな凄い魔力を持ってたなんて…。


「これも研究の成果ですよぅ」


彼はニヤニヤと笑う。


「女王陛下、国民を1つの場所に集めて下さい。私の部下が結界で守ります。怪我人も集めて…、シャーロット、メル、頼めるな?」


「任せておけ」


「えっ、ルウは?」


頷くメルの声とあたしの声が被さる。


「オレは上に出る」


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