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らぶがん いず べりぃぐっど。  作者: 源小ばと
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40/52

40.生き字引

通路を行くあたしたちに立ち止まり、頭を下げるのは皆、小柄で幼い姿。


だけどそれぞれ手に武器を持ち、瞳の奥は鋭かった。


ニコラは彼らに軽く微笑みながら先頭をきっていく。


やがて1つの扉の前に立ち止まり、


「いいか、ここにババ様が…」


言った途端、ドアが勢いよく開いた。


「痛っ!」


「おほほほ」


ニコラの悲鳴に笑い声が被さる。


顔をのぞかせたのは、小さなおばあちゃんだった。

顔に皺という歴史が刻まれ、見たところ80代くらい…って、えっ!?


外見は歳より若いはずだから…一体幾つなんだろう。


あたしとメルは顔を見合わせる。


「ババ様、今わざとでした?」


「はて。最近耳が遠くてな」


ニコラが詰め寄ったけれど、老女は軽くかわして部屋に入るよう促す。


「大体の事はわかっています。さあ、中へお入りなさい」


あたしたちはそのまま進み、真紅と紺色でコーディネートされた室内へと進んだ。


「ここ最近は静かに過ごせていたのに。昔はモーチアストの奴らが攻めてきたりと、色々あったが。ルウナリィ、貴方のお父上にはそれを鎮めてもらったから…貸しがあるねぇ」


「エオン殿。再び、モーチアストの男が騒ぎを起こしております。『禁術』を使って」


ババ様こと、エオンさんは穏やかな表情をすっと引っ込めた。


「『扉』を作り…『鍵』を作ろうとしてるのだね?」


「はい。エオン殿が『鍵』をご存知でしたら、奴にお教えしないで頂きたい」


「貴方の味方をしろと?」


「私の味方ではありません。魔界全体の平穏の為です」


「地下帝国と魔界は別の世界として、切り離して考えて欲しいのだが」


「そうも言っていられないと思います」


エオンさんとルウは淡々と表情を変えずにやりとりをする。


「…ちょっと待て。だいたい、本当にババ様は鍵の作り方を知ってるのか?あんな伝説みたいな話」


ニコラが疑わしそうにエオンさんを見た。


「知っておるよ、その時の事を覚えている」


エオンさんはムッとした様子で言い返す。


「禁術が使われた時も生きてたのか?」


「そりゃピチピチの娘時代よ」


ニコラにそう言い切り、再びルウを見つめる。


「その時は扉が完成し、鍵も作られた。ただ…鍵が不完全だったため、扉は半分しか開かなかった。それでも…空間が歪み、魔界はひどい有様だった。やっとのことで扉を封印、消滅させた。そして禁術となった。本当は扉の作り方も鍵と同様、何にも記したり、残さないはずだった。なのにどっかの馬鹿が、扉の方は書物に残してしまった」


「半分しか開かなくてもひどい有様…全部開いたら、地下帝国も無事ではいれませんね?」


ルウは美しくも冷たい微笑みをみせる。


「お前がモーチアストの男やらを潰しておかなかったせいだろ!うちの国まで台無しにする気か!」


気が短いらしいニコラはキンキン声で怒鳴る。


「台無しにしないために、ここへ来たのです。女王陛下」


「お前っ、小馬鹿にした物言いをするな!」


「あ、あの…」


あたしは慌てて間に入る。


「鍵が不完全だったってどういう事ですか?」


「良い質問だね、天使ちゃん。まさか生きてる間にこうやってまた天使ちゃんに会えるとは」


エオンさんは柔和に笑う。


「材料が足りなかったんだよ、単純な話」


「材料…?」


その時。


「ルウナリィ様!」


部屋に青い光が現れ、そこからアコードの声がした。


「ルウナリィ様の予想通りです。グランツがこちらに向かってきています!」


「!?」


その報告に一同は息を飲んだ。


ルウを除いて。




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