第二話 始まり
「プラム様、お客様の分の食事をお持ちしました。」
彼が眠りについてから30分くらい過ぎただろうか。メイドが食事を持ってきてくれた。彼女の名前はフレア。私が雇っている3人のメイドのうちの一人で、料理が得意だ。
「ありがとうフレア。彼は眠ってしまったからそこに置いておいてくれるかしら。」
私はベッドサイドのミニテーブルを示し、食事を置いてもらった。フレアは食事の載った銀のトレーを置き、眠っているノヴァを見た。
「そういえば、このお方は?」
「彼はノヴァ・スコールっていう魔法使いよ。人探しの旅に出ていたらしいんだけど、お金がなくなって倒れていたのよ。」
「人探し、ですか。きっと大事な人なんですよ。でもお金がないって、この方、よく生き延びてこられましたね。」
フレアは苦笑いしながらそう言った。
「そうね。彼がどのくらいの期間を旅していたのかは分からないけど、目的が人探しだから相当な期間だったと思うわ。ところでフレア。彼をここに住まわせることにしたんだけど、部屋ってどこか空いているかしら?」
フレアは少し考えるようなそぶりをした後、ニヤニヤしながら答えた。
「それならプラム様の隣の部屋はどうでしょうか?そこなら何かあったときにプラム様がすぐに駆け付けられます。それに...」
フレアはそこで一度区切り、満面の笑みで続けた。
「プラム様、少し気になっていますよね?」
「わ、私は別に気になっていないから!べ、別にちょっと興味があるだけで、そういう気持ちはないから!」
私は耳まで真っ赤になり、食い掛るように反論した。フレアはクスクスと笑いながらもう二人のメイドに魔法で招集をかけた。
「シャード、マイラ、聞こえる?事情は後で説明するから、プラム様の隣にある空き室に集まって。」
シャードとマイラはフレアと同時期に雇ったメイドで、シャードは掃除が得意で、よく屋敷を綺麗にしてくれている。マイラは植物の手入れが得意で、庭師の仕事もしてくれる。私はフレアたち3人のメイドと、4人で暮らしていたのだ。そこに新たな住人が増えるのだから、メイドたちは大興奮していた。フレアの持つ通信用魔術具から聞こえる、シャードとマイラの喜ぶ声に私の心は温かくなった。
「では、私はお部屋の準備に行きますね。」
そう言ってフレアは退室し、部屋の準備に向かった。私はノヴァが起きるのを頬杖をついて待っていた。
「早く起きないかしら。あなたのこと、もっと知りたいの。」
その独り言は本音だった。初めて会った人なはずなのにどこか懐かしい。なぜかは分からないけどそう思ったのだ。外では茜色の空に一番星が輝いていた。
メイドが登場し始めました。メイドの名前は特に深い意味はなく、ふと浮かんだ名前がそのまま使用されてます。今回は3人のうち、フレアが若干メインになっていましたね。この時点でこのお屋敷にはプラムとメイド3人で住んでいたと分かります。4人でお屋敷住まいって…いろいろと大変そうですよね(笑)
メイドたちはこれからも登場していくので、今後もお楽しみに。




