表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
大好きな幼馴染を狙うライバルが現れたので、諦めようと思ったら幼馴染がヤンデレ化して激重感情を向けてきた。  作者: エース皇命


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

2/9

第2話 幼馴染との唯一の繋がりを絶った

 朝5時に起床し、朝食を作る。


 家族全員分の朝食を作り終えると、ひとまず自分の朝食を済ませる。

 これから筋トレをするので、高たんぱくな朝食だ。


 5時半になると、筋トレを始める。

 自分の部屋で行う自重トレーニング。毎日続けているのでそれなりに体は引き締まってきた。


 そして6時15分までは勉強。昨日の授業の復習がメインだ。


瑠璃(るり)、おはよう」


「むー、るーはまだ眠いですぅ」


 妹の瑠璃が起きてきた。


 目を擦りながら、パジャマのままリビングにやってくる。

 猫耳フードつきのパジャマは、瑠璃の猫顔によく似合っていた。


「今日の朝ご飯は何ですか?」


「瑠璃の大好きなフレンチトーストだから、目も覚めるだろ」


「フレンチトースト!? 昨日からずっと食べたいなって思ってたんです!」


「心を読んじゃったのかもしれないな」


「えへへ、読まれちゃいました」


 お茶目な笑みを浮かべ、八重歯を見せる瑠璃。


 俺はそんな瑠璃の頭をわしゃわしゃと撫でる。


 兄の俺から見ても、瑠璃は可愛い。無邪気でピュアなところも彼女の魅力のひとつだ。


 そして、瑠璃は生粋のブラコン。


 俺のことを尊敬しているらしく、兄妹(きょうだい)なのに敬語で話してくる。




 家全体に鳴り響くピンポン音。


 7時15分。

 緑子(みどりこ)が迎えにくる時間だ。


 玄関の(ドア)を開けると、そこには見目麗しい女神がいた。


「おはよう、緑子」


「おはよう」


 小さな声で挨拶を返してくる緑子。

 これがいつもの通学前の光景だ。


「行こ」


 この台詞(セリフ)までがセット。


 平日は欠かさず一緒に電車で通学する俺たち。最寄り駅のみなと坂駅までは徒歩で10分。電車で学校まで15分程度の距離。


 電車の待ち時間を合わせると30分くらいは一緒にいる。


 今日もいつものように迎えにきてくれて、玄関前で待ってくれるようだ。


 もし俺が何も言わなければ、この関係が変わることはないだろう。

 だが、今日のどこかのタイミングで、紅輝と茶夏丸が緑子に告白したら。


 そしてその告白が成功して、どちらかが緑子と付き合うことになったりしたら――。


「あのさ、緑子……」


「ん?」


「なんか今日から朝の時間が忙しくなったっていうのか……電車を遅らせないといけないくらいやることが増えたから……先に行っててくれないか?」


「……わかった」


 緑子は素っ気ない。


 これもいつも通りかもしれない。


 よく考えれば、緑子は別に俺と一緒に学校に行きたいってわけでもなかったのかもしれない。


 そう考えると少し複雑な気分になる。

 だが、もう切り替えると決めた。いつまでも素っ気ない彼女と一緒にいても、何も変わらない。


「俺の都合で迷惑かけるわけにもいかないし、これからもそういうことで」


「……そう」


 表情に乏しい緑子は、無表情のまま俺の言葉を受け止め、俺の家に背を向けて歩き出した。


 その背中はいつもよりどこか寂しそうに見えたが……きっと気のせいだろう。


 緑子からしても、そんなに大した変化じゃないはずだ。




 いつも乗っている電車より、2本遅い電車に乗る。

 隣にちょこんと座るのは妹の瑠璃だ。


 瑠璃はこれまで俺と緑子に気を遣ってくれていたのか、本当は一緒に登校したいだろうに、わざわざ時間をずらして学校に行くようにしていた。


 俺が通学の時間をずらしたことで、瑠璃も困惑したらしい。


 首をこてっと(かし)げながら、質問攻めしてきた。


「緑子お姉ちゃんとは、一緒に行かなくてもいいんですか?」


「今日も迎えにきてくれたけど、断ったんだ」


「ふにゃ?」


 瑠璃は俺がずっと緑子に片想いしていたことを知っている。


 気を遣ったり、たまにアドバイスをくれたりして、応援し続けてくれていた。だからこそ、瑠璃には伝えておくべきだろう。


「俺、もう緑子のことは諦めたんだ」


「……え? にゃにゃにゃんでですか!?」


 驚きすぎて猫みたいになっている。


「いろいろ理由はあるけど……緑子は多分、俺のことをただの幼馴染だとしか思ってないだろうし、その状態で好きって言われても、振られる運命しか待ってないような気がする」


「あー」


 瑠璃も思い当たるところがあったらしい。

 なんとも言えないっていう顔をしている。


 どんな時でもフォローしてくれるお兄ちゃん想いの瑠璃が、何も言えなくなっているんだ。それが答えだろう。


 女子から見ても、最初から脈ナシだったってことだ。


「それに、紅輝(こうき)たちも緑子のこと好きだって言ってきたんだ。あいつらの方がお似合いだろ」


「んー」


 もしかしたら瑠璃は反応に困っているのかもしれない。これまでに見たことがないほど複雑そうな表情をしている。


 兄として、これ以上妹に気を遣わせるわけにはいかない。


「良かったぁ」


「え?」


 不意に、瑠璃がポンと溜め息をこぼした。


 それはどういう意味の良かった(・・・・)なのか。


「おにぃは素敵な人なので、いつの間にか緑子お姉ちゃん以外の人から本気で好かれていることだってありますよ、絶対」


 モヤモヤを吹き飛ばすような明るい笑みを見せる瑠璃。


 俺はそんな優しい妹の兄に生まれて幸運だと思った。


「やったぁ」


 だからこそ、この時瑠璃がこぼした小さな呟きに、気づくことはできなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ