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大好きな幼馴染を狙うライバルが現れたので、諦めようと思ったら幼馴染がヤンデレ化して激重感情を向けてきた。  作者: エース皇命


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第14話 幼馴染が親友に殺意を向けた

 はっきり言って、これは修羅場だ。


 鹿内(しかうち)先輩はスカートを脱いでパンツを披露しているし、妹の瑠璃(るり)は頬をパンパンに膨らませて先輩を睨んでいる。


 確かにこの状況を作ったのは鹿内先輩だが、まずは兄のことを変態と罵るのが通常パターンじゃないのか?


「むー」


 怖い顔を作ろうとしているが、可愛い女の子がぷりぷり怒っているようにしか見えない。


 そのまま先輩のスカートを手に取り、一気に履かせた。


害虫(・・)はここにもいたんですね。油断してしました」


「瑠璃?」


「なんでもないです。おにぃはるーと一緒に帰りましょう」


「これは先輩がどうとかじゃなくて、命令ゲームをしていたら対戦相手にパンツを見せるとかいう命令が出てきて――」


「そんな破廉恥(ハレンチ)なゲームを提案したのはおにぃなんですか?」


「いや、鹿内先輩だけど……」


 先輩をフォローできなくなったので、自分で自分を守ってくださいってことで先輩に視線を送る。


 だが、先輩は余裕の笑みを見せて自分の首をさらに絞めるようなことを言った。


「このゲーム、あたしが作ったんだよ」


「にゃにゃ――ッ! るーの大切なおにぃを誘惑しないでくださいっ!」


 瑠璃は猫が威嚇するようなシャーという鳴き声を上げると、俺の袖を引っ張って部室から回収。


 無言のまま学校を出て、駅に向かった。




 ***




 紫音(しおん)に逃げられてしまったみかん。

 余裕の笑みを浮かべたまま、静かに溜め息をつく。


「失敗だったかな……」


 瑠璃の侵入を許したドアを見つめ、部室の鍵をポケットから取り出す。


 ――次は鍵をかけておくべきか……。


 頭の中で、次の部活の様子を想像する。


 紫音が部室に入ったことを確認したら、すぐに部室を施錠し、みかんの意志がなければ脱出できない状況を作る。


――紫音くん……次は逃げられると思わないでね。


 ゆっくりと立ち上がり、部屋の隅にあるロッカーを開けた。


 そこには、おもちゃの手錠や結束バンドなど、紫音を拘束するための道具がこれでもかと用意されていた。




 ***




 駅で帰りの電車を待つ間は、本当に気まずかった。


 瑠璃は俺の手を優しく握ってくれるだけで、何も言おうとしない。


「あれはたまたまそういう命令だっただけで、他の命令はそんなに大したことじゃなかったからな」


「おにぃ……るーは今、悲しいです」


 瑠璃が悲しいなら俺も悲しい。


「おにぃはあの先輩にとっての獲物なんです。おにぃはライオンさんのはずなのに、シマウマさんになっちゃってます」


「なっちゃってるのか」


「はい。シマウマさんは好きですけど、おにぃは百獣の王ライオンさんなんです」


 俺は生まれた時から人間だ。

 ライオンとして生まれたつもりも、ライオンに生まれ変わったつもりもない。


「おにぃはあの凶暴な先輩に狙われています。だからるーが助けなくちゃいけないんです」


「気持ちは嬉しいけど、俺は大丈夫だって。ちょっとからかうのが好きな先輩なんだ」


「あれがちょっとからかわれただけって言いたいんですか?」


「……」


「おにぃにはるーがいます。るーがなんとかする(・・・・・・)ので、おにぃは何も考えなくていいですからね」




 中間考査が近いので、今日から部活動は禁止だ。

 昨日あったことを考えると、ちょうどいいクールダウン期間なのかもしれない。


「それで、いつ殺されにいく?」


「先延ばしにするのも良くないから、今から行こうか」


 死の恐怖に怯えながら、紅輝(こうき)茶夏丸(ちゃかまる)が頷き合う。


 放課後、覚悟を決めた俺たちは2年3組の隣にある空き教室へと足を運んだ。


緑子(みどりこ)……」


 呼び出した時間よりも早く教室に入っていた緑子。

 ありがたいことに、この空き教室には緑子と俺たちの4人しかいない。


「紫音だけじゃ、ないんだね」


 紅輝と茶夏丸を見てガッカリしたように言う。


「実は僕たちも犬飼(いぬかい)さんと紫音の件に深く関わっているんだ。というか、僕たちが悪いんだよ、ほとんど」


「どういうこと?」


 茶夏丸が話し出すと、緑子が食いついた。


「紫音が犬飼さんのことをずっと好きだっていうのは、最初に会った頃から知ってたんだ。でも、紫音はいつになっても君に告白して関係性を変えようとはしなかった」


「……」


「だから僕たちが犬飼さんのことを好きだから告白するっていう話を振って、紫音に焦ってもらおうと思ったんだ。犬飼さんも、普段はあんまり人と話さないのに、紫音とは一緒に通学したりしてただろう? だから紫音ならいけると思って背中を押したんだけど……こうなっちゃったんだよ」


 茶夏丸の説明を光のない瞳で聞き続ける緑子。

 恐ろしいことに、瞳の中で(うごめ)く闇は徐々に深くなっているような気がする。


「本当にごめん。紫音が犬飼さんのことを諦めるきっかけを作ったのは僕たちなんだよ」


「その通りだ! オレからも謝らせてくれ! すまない!」


「……」


 誠実に頭を下げる親友二人。

 今度は俺の番だろう。


「俺も実は――」


「いいよ」


「え?」


「紫音はいい。許す」


「いやでも――」


「問題はこの人たちだね。全部この人たちのせいで、こんなことになっちゃったんだ」


 狂気の視線が二人を射抜く。

 この瞬間、俺は紅輝と茶夏丸に叫んでいた。


「逃げろ! いいから早く!」

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