表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
大好きな幼馴染を狙うライバルが現れたので、諦めようと思ったら幼馴染がヤンデレ化して激重感情を向けてきた。  作者: エース皇命


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

12/20

第12話 幼馴染と妹の闇に恐怖を感じた

 窓の外に闇堕ち緑子(みどりこ)がいた。


 恐ろしいのは、こっちを凝視しながらノールックでスマホに文章を打ち込んでいるところだ。


 慌てて窓のブラインドを閉め、ベッドに尻もちをつく。

 リアルタイムで更新されるグリーンガールというアカウントのツブヤキを確認してみると――。


《今、ちょっとだけSの顔が見えた。私からの愛が窓越しに届いたってことなのかな》


《やっぱり私を愛してくれてる。愛してるって言ってほしい》


《私だけはずっとSのそばにいるから。どんな時もずっと。精神的な意味じゃなくて、物理的な意味で》


 付き合いの長い幼馴染の暴走。

 心配ではあるものの、恐怖が強すぎて彼女をフォローしてやることができない。


 トントントン。


 俺の部屋のドアが叩かれる。


 トントントン。


 まさかこれは――。


 お化けにビビる肝試し初心者のように、震えながら部屋のドアに近づく。


 そして――。


「うわぁ!」


「おにぃ、大丈夫ですか?」


 緑子が家に侵入してきたはずないのに、緑子かと思ってビビる俺。それを妹に見られていたなんて、恥ずかしい。


 結局、ドアを叩いていたのは妹の瑠璃(るり)だった。

 普通に考えたらそうなるのはわかるが、さっき人生の中でも上位クラスの恐怖体験をしたばかりだからな。


「どうしたんだ?」


「寂しかったので、おにぃの部屋に来ちゃいました」


 えへへって感じでにこっと笑う瑠璃。

 やっぱり可愛いな俺の妹は。


 ミディアムボブの頭を優しく撫で、そのままギュッと抱きしめる。


「にゃー」


 子猫みたいだ。


「さっきは怯えてる感じに見えたんですけど、何かあったんですか?」


「いや……ちょっと怖い動画観ちゃってな」


「怖い動画ですか? るーは怖いの苦手だから泣いちゃうかもです」


「そうだな。瑠璃は怖いの無理だもんな」


「えへへ」


 いつもと変わらない妹を見ていると癒される。瑠璃をハグしたことで、いくらか気分が落ち着いた。


 そして改めて緑子のツブヤキを確認する。


《Sって、今好きな人とかいるのかな? だから私のことを避けるようになったの?》


《だとしたら、その女が悪い。そうに決まってる。Sも私も被害者。私はSの唯一の味方だよ。だからずっと一緒にいようね。これまでよりもずっと近くで》


 暴走するグリーンガール。

 しばらく更新を眺めていると、彼女のツブヤキに返信をする勇者が現れた。


《Sが好きなのはるーです。Sにこれ以上近づかないでください。Sも怖がっています》


 ……。


 俺に背中をくっつけながら、コソコソとスマホをいじっている瑠璃に視線を送る。


 まさか、そんなはずはない……よな?


「瑠璃、今何してるんだ?」


「最近流行ってるゲームをしちゃってます」


「そっか。しちゃってるのか。それって……どんなゲームなんだ?」


「自分の大切な人を襲う害虫(・・)を駆除するゲームです。すごく楽しいので、おにぃも一緒にやりませんか?」




犬飼(いぬかい)さんへの恋を諦めて、どんな感じ?」


「いろんな変化がありましたね……」


 放課後の部室。

 昨日はこれまでの人生で最大の恐怖を味わったが、部室で先輩といるこの時間は穏やかで落ち着く。


 たまにドキドキさせてくることもあるが、アナログゲームは楽しいし、毎回新しいルールを教えてくれる鹿内(しかうち)先輩。


 今日のゲームはリバーシ―だ。すでに3つの角を取られているので、俺の負けがほぼ確定している。


「いろいろな変化……具体的には、どういう変化なのかな?」


「緑子は多分俺のことが好きで……だから俺が恋を諦めたって知っておかしくなっちゃって……それで――」


「なるほど。確かにいろいろ大変だね」


 ここで、鹿内先輩の勝利が確定する。

 リバーシ―では一度も先輩に勝ったことがないので、また負けたかって感じだけども。


紫音(しおん)くん、犬飼さんのことはもう諦めたんだよね?」


「……はい。そうですけど」


「それなら、中途半端な気持ちで犬飼さんと向き合うのは、彼女に対しても他の人に対しても失礼だと思うな」


「……」


「あたしは覚悟を決めた紫音くんが見たい。紫音くんには、犬飼さんよりもふさわしい女性がいると思うよ」


「そうですかね?」


 鹿内先輩のミステリアスな瞳が俺を見つめてくる。


 心の内側まで見られている感じだ。

 今、俺は自分の覚悟のなさを指摘された。確かに先輩の言う通りだ。


 紅輝(こうき)たちと話したように、今度しっかりと緑子に謝りにいこう。


 それで、緑子とは今まで通りの幼馴染という関係に戻る。そう簡単に上手くいくとは思えないが、やってみなければわからない。


「紫音くん、実はあたし、新しいゲームを作ってきたんだけど一緒にする?」


「新しいゲーム? 先輩が作ったんですか?」


 ふふっと微笑んだ鹿内先輩。

 楽しそうな表情のまま、カードの(たば)を取り出した。


「このゲームのタイトルを教えてあげる」


 その名も、『命令に従わないと対戦相手とキスするゲーム』。


 意味がわかるようでまったくわからないゲーム名を口にした鹿内先輩は、誇らしげな顔でルールの説明を始めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ