表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
74/93

板野 12



 ここはどういう場所なんだろう。

 九州が封鎖されたあとに、敷地の整備を行っていたのはどういった人たちなんだろう。

 ——涼、

 ここに涼がいたって聞いた。

 この場所で涼と会ったという話を聞いた。

 それなのに敷地内は無人の廃墟だ。

 人の気配すらない。

 ——いいや、

 そうじゃない。思いだす。思い返す。プレハブ小屋の中には、一体のグールが潜んでいた。グールがいることに気づかなかった日並沢さんは襲われて、首を噛まれて、感染させられてしまった。喉を押さえ、それでも指の間から流れでてしまう大量の血液を地面にこぼしながら、日並沢さんはいまもあの場所に倒れているに違いない。

 小屋に潜んでいたグールを倒したのは、丹田さんだ。丹田さんはわたしのもっていたスタンガンを使ってグールを倒してくれた。グールにもスタンガンは効くらしい。これは好ましい発見。わたしが手にしている武器で、グールを倒せるということはわかった。丹田さんが教えてくれた。だけど丹田さんは殺されてしまった。トラックに乗ってやってきた五人の男たちに、銃で撃たれて死んでしまった。

 あの男たちは何者だろう。

 プレハブ小屋の中に置かれていた沢山の拳銃と関係があるのだろうか。このホテルは連中の隠れ家? わたしたちは勝手に入ったから、秘密を知ったから、狙って撃たれたのだろうか。だから追われているの? 白石くんに手を引かれて逃げなかったら、どうなっていたかわからない。考えると奥歯がカチカチ鳴りはじめる。手も、足も。身体中が震えだす。音を立てないように。身体の震えで気づかれないように。だけど駄目だった。どうしても身体が震えた。

「大丈夫。大丈夫だから」

 ——と、白石くん。

 肩先を(さす)られている。

「…………」

 普通、こういうときは、肩を摩るんじゃなくて抱くものだと思うけど、贅沢はいわない。

「板野さん——大丈夫だからね」

 白石くんの手も震えていたから。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ