表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
朝起きたら探索者《シーカー》になっていたのでダンジョンに潜ってみる 〜1レベルから始める地道なレベルアップ〜  作者: いかぽん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

467/469

第467話 終幕

 蜘蛛女を倒したところで、特別ミッション達成の通知が出ていた。


───────────────────────


 ミッション『アークデーモンを1体討伐する』を達成した!

 パーティ全員が500000ポイントの経験値を獲得!


 新規ミッション『アークデーモンを3体討伐する』(経験値1500000)が発生!


 六槍大地が64レベルにレベルアップ!

 小太刀風音が63レベルにレベルアップ!


 現在の経験値

 六槍大地……6114854/6550785(次のレベルまで:435931)

 小太刀風音……5784536/5984291(次のレベルまで:199755)

 弓月火垂……6501801/6550785(次のレベルまで:48984)


───────────────────────


 弓月はレベルアップ表示がなかったが、蜘蛛女を倒したこと自体の撃破経験値で、64レベルに上がったとのことだった。


 なお俺は、新規ミッションを見て「ええーっ……」と思ってしまった。

 この水準のモンスターを、当たり前のように何体も倒せと?

 ドラゴンを複数体狩れというのとは、わけが違うと思うのだが。

 獲得経験値150万って……。


 ま、それは今考えてもしょうがないか。

 今は今やるべきことを考えよう。


 少し休んだ後、俺たちは再び立ち上がった。


 最大障害と思われる蜘蛛女は倒したが、まだすべての問題が片付いたと決まったわけではない。


 まずは王城本館へと進入。

 戦いの音が聞こえてきたので、そちらに向かう。

 やがて覚醒者同士が数人規模で争っている場面に遭遇した。


 今にも決着がつきそうな状況だった。

 面識のあるレジスタンスのメンバーが五人、それと対峙している守備兵が二人。

 それとは別に、倒れている覚醒者が三人いて、そのうちの一人はレジスタンスのメンバーだった。


「くそっ……! こ、降伏だ! 降伏する!」


 守備兵の一人が武器を捨てて、両手を上げた。

 それを見たもう一人も、悔しげに武器を捨てて、同じようにする。


 レジスタンスのメンバーは慎重に警戒しながら、アイテムボックスから冒険者拘束用ロープを取り出して、降伏した二人を縛り上げた。


 その場にいたレジスタンスのメンバーは、倒れている一人を含めても六人。

 クラウディアとガヴィーノさんの姿がなかった。


 聞くと、弓使いの優男が、通路の先を指さした。

 逃走する国王ベルトルドを、二人が追っていったという。


 この場はレジスタンスのメンバーに任せて、俺たちは示された通路の先へと駆けた。


 やがて、とある部屋の前に出た。

 扉が開かれたままのその部屋は、武器庫のようで、壁沿いに魔石製の武器や防具がずらりと並んでいる。


 部屋の中央あたりの床に、地下へと続く階段があった。

 傍らには退かされた石床の一部と、めくられた絨毯の姿。

 これがガヴィーノさんの言っていた、王族のみが知る脱出経路なのだろう。


 地下へと続く階段を、急ぎ足で駆け下りていく。

 階段を下りきったあとは、廊下が続いていた。

 躊躇なく進んでいく。


 やがて小さな戦いの音と、いくつかの声が聞こえてきた。


「おのれ貴様ら! 二対一など、卑怯だと思わんのか! どちらか一人が来い、臆病者どもめ!」


「はあ!? この期に及んで、ふざけたこと抜かしてんじゃねぇよ! 自分が不利になったら『卑怯』だぁ? バカか!」


「己の騎士道精神よりも、大事なものがあるのだ! ──クラウ!」


「ああ、ガヴィーノ! これで終わりだ──【二段斬り】!」


「ぐわぁあああああっ! バ、バカな……余は……王なのだぞ……こんな、ことが……許され、て……」


 廊下の角を曲がったところで、現場にたどり着いた。


 クラウディアに似た赤髪の、ガタイのいい男──国王ベルトルドが、斧を手放した姿で地面に倒れていた。


 その場に立っているのは、クラウディアとガヴィーノさん。

 二人は俺たちに気付き、振り向いた。


「ダイチたちじゃん! あのバケモノ女はどうなった? 下半分がデススパイダーみたいになってたけど。倒せたのか?」


 クラウディアの問いに、うなずいて見せる。

 二人は安堵の息を吐いた。


 それからガヴィーノさんは、アイテムボックスから冒険者拘束用ロープを取り出し、意識を失ったベルトルドを捕縛したのだった。


 その後は残党勢力の掃討戦となった。


 城内に敵戦力はほとんど残っていなかったが、城外から何事かと集まってきた王国騎士たちはかなりの数に上った。

 その数は、トータルで五十人をゆうに超えていたと思う。


 すでに城内に侵入していた少人数を蹴散らし、城門を閉じると、そこからは防衛戦だ。


 城壁や監視塔などの防御設備をこちらが使えるので、戦いはレジスタンス側の有利に展開した。

 あえて跳ね橋は上げずに、城門に向かってきた集団を遠隔攻撃で倒していく。


 こういうときには特に、弓月の範囲攻撃魔法はチート級の働きを見せる。

 たった一発の魔法攻撃で、四、五人を一度に吹き飛ばして戦闘不能にする弓月の存在は、敵の戦意を挫くのに十分な役割を果たした。


 ついに撤退の動きを見せたところで、今度は俺たちが城壁内から出ていって、混乱する王国騎士たちを掃討して回る。


 ここでも弓月がヤバい活躍を見せる。

 グリフに搭乗し、上空から魔法爆撃を仕掛ける自称(はそろそろ取ってもいい気もする)大魔導士の存在は、王国騎士たちにとってはさぞや恐怖だったろう。


 また【フライト】の魔法によって自前で飛行できる風音も、縦横無尽の立ち回りで、やりたい放題だった。

 風音が向かう先の王国騎士は、まるで姿なき暗殺者に翻弄されるがごとく、為すすべもなく意識を刈り取られていく。


 え、俺?

 まあ、似たようなものだ。


 弓月とともにグリフに搭乗していた俺は、頃合いを見計らって敵集団のド真ん中に降り立ち、神槍を振るって王国騎士たちをバッタバッタとなぎ倒していった。


 敵の物理攻撃はほぼ通らないし、魔法が飛んできても少々のダメージなので、わりとどうとでもなる。


 結果、何人かの王国騎士は逃したものの、大半の敵勢力は倒して捕縛することに成功した。


「……ダイチたちさ、国一個乗っ取ろうと思えば、いつでもできるんじゃね?」とは呆れた目をしたクラウディアの言葉だ。


 国にもよるだろうが、小国程度ならば、さもありなんと思う。

 そんなことをやる動機がないけど。


「力」って怖いなぁと思う。

 使い方を間違えると、とんでもないことになりそうだ。


 今が間違えていないかというと、それも分からないけど。

 その辺は考えすぎても、絶対の答えなんてありはしないだろう。


 ともあれ。

 そうして掃討作戦も済んで、長い長い夜が終わった。


 俺たちとレジスタンスのメンバーは、交代で見張りを立てながら仮眠を取り、やがて朝になった。


 朝、開放された王城の中庭。

 集まった王都市民たちの前で、国王ベルトルドの処刑が行われた。


 はっきり言って、野蛮だと思った。

 このあたりはどうしても前時代的だと、俺の目には映った。

 風音と弓月も、目を逸らしていた。


 処刑を行なったのは、クラウディアだった。


 ガヴィーノさんが、彼女が王家の血を引く高貴な存在であると市民たちに向けて宣言してから、クラウディア自身が剣を振るってベルトルドの命を絶った。


 クラウディアのキャラに合わないと、俺は思った。

 実際にも、処刑を行なうときの彼女の手は、少し震えていたようにも見えた。


 しかし処刑後には、彼女は市民の前で、毅然とこう宣言した。


「見ろ! 兄王子と王妃、王を殺害した王族殺しの逆賊、ベルトルドは討たれた! これからはあたし──クラウディアがこの国の王になる! うまくやれるかは、正直あんまり自信がない! ごめん! でもこいつが支配していたときよりは、絶対にいい国にしてみせるから! それは約束する! みんながちゃんと食っていける国にしたい! だからみんな、協力してくれ!」


 少しの沈黙の後、市民の間から歓声が上がった。


 隣の者と抱き合う者、歓喜の涙を流す者、さまざまだ。

 誰もが待ち望んでいた解放の時、といった様相だった。


 救国の英雄として紹介された俺たちは、王都の市民たちから、たくさんの感謝の言葉を向けられた。


 その中にはパン屋の店主と子供もいた。

 子供は精一杯の「ありがとう」の言葉を、笑顔とともに俺たちに伝えてくれた。


 父親からは同じく感謝の言葉とともに、心ばかりと言って三つのパンが渡された。

 貧しい彼らから、裕福な俺たちがもらうのも気が引けたが、気持ちなので受け取ることにした。


 その場でかじりついた焼き立てのパンは、香ばしくてとてもおいしかった。

 千切ってグリフにも分けてやると、ペットサイズの従魔は嬉しそうにパンをパクついた。


 俺たちの仕事は、これで終わりだ。


 この国の行く末はまだまだ前途多難だろうが、そこはこの国の人たちが、自分たち自身できっとどうにかするだろう。


 特別ミッション達成の通知も出ていた。


───────────────────────


 特別ミッション『レジスタンスに協力して、現国王を打倒する』を達成した!

 パーティ全員が500000ポイントの経験値を獲得!


 六槍大地が65レベルにレベルアップ!

 小太刀風音が64レベルにレベルアップ!

 弓月火垂が65レベルにレベルアップ!


 現在の経験値

 六槍大地……6614854/7168263(次のレベルまで:553409)

 小太刀風音……6284536/6550785(次のレベルまで:266249)

 弓月火垂……7001801/7168263(次のレベルまで:166462)


───────────────────────


 俺たちは、レジスタンスのメンバーから報酬を受け取り、王都を後にする。


 この国の復興のため報酬も断ろうかと一度は思ったが、それもケジメ的な意味でよろしくないと思い、約束どおりに適正額を受け取ることにした。


 なお出立は、王都で一日休んで翌日とした。

 徹夜明けであったことと、根の詰めすぎも良くないと思ったことから、一日骨休めを取った形だ。


 さて、次はどこへ向かおうか──


 再び始まる、気ままなぶらり旅。

 元の世界への帰還までは、あと42日だ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
残り四割! 最後どこまで上り詰めるのかドキドキしてます!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ