女神の名は『ヴェスタ』
△△△△△△△
「 ピクッッ」
無機質というのか、気づけば真っ白で
なにもない空間にいた…。
――先程食らった....、身を焼き尽くすような
衝撃のせいか...…。
……んっ。
俺がぶつかったのは、隕石のようなものだったと思うが――……、
フラつく身体に力を入れて、立ちあがるが――
ここはどこなんだ??
何故か気づけばこんな空間にいる_。
(待てよ……、転生物なのかこれ …?)
あんなことがあったが――、
この世界で幸せにしたい彼女との別れを察して、
胸に奥がズキッと痛む……。
そうやって俺が1人佇むなか――。
ブワッ――‼︎‼︎
そこから風が一斉に流れてくるとともに――、
周囲の風景が一瞬で、草原に変わっていく……。
そして――、俺の心臓もわずかに跳ねあがるなか…。
( なんだ…? )
驚きとともに――振り返れば…、何故か結衣菜そっくりの美少女が1人立っている――。
「やあっ!」
――さすがにこんなところで出会うわけがないだろう...。完全に元彼女である。結衣菜そっくりの容姿だが――、
……こんな幻想的な夢かもわからない世界で
出会うわけがない!!
「なんだ――......。」
いきなりの邂逅で用件を問う俺に……、
むこうはリラックスするよう手を挙げてコミュニケーションをとってくる――。
……ついていけばいいのか……。
こちらも同様に手を挙げて返し、会話がしやすいよう近づくのは、あれが――デートで会ったときの最初の挨拶だったからだが……。
「パチンッ」
俺が一歩踏み出して近づくと……、むこうもは指を鳴らして、一瞬で白いティーテーブルを遠くに並べはじめると……。
そこへむかって――、指を差し向ける……。
「向こうで話そう……。」
髪型は黒髪のボブショートで、とても綺麗な顔立ちなのも相変わらず、態度も本人そのままのように動いているが――、
ファッションだけ。なんでメイド服なんだ……?
ゴスロリみたいな趣味は女神の物か?……俺の物
じゃないよな……。本物ウリ2つのような落ちついた態度は居心地が良いが――、
……それでもちょっとだけ内心が穏やかじゃない...。
……これからなにを聞かされるんだ…?
別れて3年――、もしかしたらがあると思って
彼氏を探して来なかったのを知ってる――。
俺も他の人と付き合うなんて話聞きたくなくて…、ずっと知らないふりをしてきたが――、
もしかして、神様直々に叱られるのか――??
――2週間前に、諦めて彼氏をつくるという最後の報告とともに、仲を修復するためにも――再び日本代表を目指そうと泣きながら誘われた身である……。
……悲痛な怒りなど聞きたくはないんだが――。
頼むから……、サッカーが現在できなくて悔しい気持ちをしてた方の件であってくれ――と
僅かな期待をのせて一歩踏み出す……。
ラノベの世界では、偶然に人を殺せたよな――
と、思考をまわしながら歩いて……問いかける。
「なぁー、なんで、結衣菜の姿なんだ?」
実際、本物じゃないのは――わかってるが……、
どうせ。彼氏を作らないのなら、結衣菜も俺と結婚してくれないかな――。
なんて、告白する気もないのに不味いこと考えていた件とサッカーへの道の件、
引き延ばすことなく、ここでそれを聞こう……。
くるり。
「――いいから、みておけよ……。」
そう伝えると――、むこうは何も言わずにただ全力で走りだすと――、
『ズバァッ!!!』
俺から離れていき――ボールめがけて思いっきり振り抜いてシュートを放つ――。
あきらかに、速度にコースも完璧で、シュートフォームも当人そのまんまだ……。
結衣菜そのまんまだが...。どういう意図だ……?
俺はかるく、せかされ――微妙な速度で追いつくが――、
『 』
黙って……テーブルを挟んで。向かいあうように座る……。
議題の1ページ目はこれか――?