戻れない。最高の舞台・・・。
まーまー、よく書けたわ。
――2日後…。
『 なんで、無理してでも引き留めないんだよ!居なくなったら勝てなくなるだろ‼︎ 』
昔の美穂の台詞を思い出される――。。
今1人で、日本代表の試合を観戦しているのは――、
比奈が今日の内に連絡くれたらバイトのシフトを変わりたいといってくれてたから頼んでのことだが、
「 はぁーー……。。。 」
まだ、放送開始直後………。アップも碌に映ってもいないのにアドレナリンでっぱなしで、ほんとに思い悩まされる・・・。
『 サッカーやりたいな……。』
高校時代。あのまま龍と組んでいられたら、
俺の人生。日本代表にも選ばれて、もっと先の世界でサッカーできて、本当に180℃人生変わったんだろうな……。
美人で性格最高の彼女こそGETできているから20℃ほどは同じような人生だが……、
本当に、あのときチーム内で争いさえなければ全国優勝なんて朝飯前だったのに。
(理想のカップルでいたかったな。)
テレビで、日本代表とブラジル代表がついに縦に並んで選手入場をする。
国家斉唱をはじまると、すっかりナイーブな感情に切り替わっているが、
a〜a〜a〜(国家)
(どれだけ強いんだろうな……。)
あのときの「流通経済柏」にとって、高瀬龍という【エースストライカー】は、全国行きの切符確定を決定づける星6キャラになれたのは間違いなかった。
8-0で負けて、ようやくあのとき先輩なんか止めなかったことや、練習メニュー軽くしたこと謝られたことを思い出すなか、
新聞と同じ、白髪の姿で龍が登場・・・。
半端騙されて入学した俺達が、ようやく明るく輝ける時代がくると確信するには最高の1試合だったが、1軍相手にスーパーサブの龍1人が圧倒的な火力を発揮したせいもあったのだろう。
俺も司令塔として1得点2アシストと抜群の活躍をしたが、むこうも出来うる限り最高のレベルの壁を突破し、ハットトリックを達成。
それは見事、新監督の理想を再現したかのようなサッカーで、親の反対でユースに行かせてもらえなかったうえに、【嫉妬】を招かないよう2軍生活を送り続けていた俺の「希望」がみえた唯一の瞬間だったが・・・。
「ピィィィーーーーッッッ!!!!」
セットされたボールが蹴られ……、
「キックオフ!!」
試合はブラジルボールで進みだし……。
なんとなく消極的に繋がれていくパスワークが随分とヘタクソに思えるが――、
――10分
やっぱり、日本もブラジルも質がかなり下がっている……、有名選手が多いのはブラジルだが……、
この試合はどっちが勝つんだろう――…?
ーー「悪いけど、もうチーム抜けることにするわ。美穂の話も碌に聞かないやん。」
あのときのラストゲームから4日後――。
運命的な再会もあって、友情と練習メニューの良さがあって上手くやれていたが、"大事な考え,,が1つ変わったのだろう。
「あいつら、俺の話も美穂の説得も全然聞かねえじゃん。それに――、環境的にも次に進んだほうがいいって気づいたんだ……。」
そう言われて消えた『俺の希望』は、龍が次の進化へと行くための生け贄として、払われてしまったわけだが――……。
『ワー‼︎ワー‼︎ワー‼︎』
龍が埼玉から消え――、青森山田、J2山形とスーパースターへの階段を場所を変え駆け上がっていくあいだ。
しっかりと名門の座を取り戻していた俺たちは結局――、最後の大会を悲惨な結末で幕を閉じた。
八○代高校 8 - 0 流通経○柏
――龍が八○代高校に転校しにいったらしい。
と予感はしてたが、
最後の年初めにこの連絡1発で俺の周囲はやる気をなくしたせいだろう。
「龍があそこにいったんじゃ、絶対勝てないだろ?お前もあそこの強さは1番理解してるだろ。」
八千代高校――は、中学時代に俺と一緒に1度は全国大会にいったヤツらが多くいる上に、
もう1人「日本代表入り」していてほしかった秀才。金村渡が1つ下の幼馴染としているから話はわかるが、
ただでさえ――、U-15日本代表にトップ下として呼ばれるくらいには上手いあいつのとこにあんな悪魔が来たんじゃプロでも勝てなかったとの噂なのに、
「もう終わろう。最後の年、お前がコンバートして試合出れなかった考兵もだしたいし、そこまで頑張れとはいえない。」
スカウトの名刺はあったし、合格しないとおかしいテストもあったが、
結局――、1回戦でぶつかりあって大敗したのが原因で大学不合格。
全然きっかけの一端だったが、あの事件がなければ。今の日本代表は渡、俺、あと1人。チームに加わっていたように思えるのは、
――あきらかにパスワークがなってないようにみえるからだが……。
『左のボランチの動きがあきらかに悪い。』
理想の先で待つ視点でみれば、俺が左ボランチなら左ウイング【LWG】の動きまで悪く感じる――。
毎回の攻撃を重要視するなら、ここのポジション。同中で日本NO.1ドリブラーにまでなれそうだった檜山良和だろう。
一応、2人はJリーグには試合でているが、
これじゃ、美穂が電話で「日本代表」に戻ってきてほしいとかけてくるのも納得の内容で試合が進んで行く――。
「和也……、もう寄り戻してとも言わないし、お金も貸すから。」
OKをだしたにもかかわらず……、双方が浮気の問題を疑われて、早急に破談に終わった話。
あーー、
ちょっとだけ美穂とSEXやりたいなーー。
3週間前までは、一途にフリーで居続けてくれたのもあって、そう思うが。
テレビの映像を観て、サッカーがやりたいという欲望が沸いてきてるのも実感する‼︎
――15分
相変わらず攻撃は続かず……。次のブラジルの攻撃のクオリティからでも、試合の流れが予想できてしまうと思うなか――、
泥試合確定かな――?
前半25分にようやくクロスバー直撃のシュートがヴィニシ○スの脚から炸裂……。
拮抗しているような試合だったが、ようやくブラジル代表にエンジンがかかってきたか――。と思うなか……、
三笘薫抜群のスルーパス!!!!
ギリギリボールに届かず、龍になかなかチャンスがまわらないなか、日本代表も惜しい攻撃を演出――。日本にも「攻撃力」が見えるシーンがきて、それなりにテンションはあがるが――。
「「結局はブラジルの底力のほうが勝つんじゃないか……?」」
高校時代の俺ならもっとできる。と映像にうつる日本代表の弱さにため息が漏れでる……。
『 どうせなら――、俺がでたかったな……。』
なでしこ史上最高傑作の美穂が、4人で1番上手だったと評価し、
絶対今からでも日本代表に必要な選手になって戻ってこれると言ってくれた――。
「あいつら、俺の話も美穂の説得も全然聞かねえじゃん。それに――、環境的にも次に進んだほうがいいって気づいたんだ……。」
龍のヤツは成長した姿を見せて。
決着をつけようとしただけで、プロには確実になれると思っていたみたいだが……、
お金はくれないのかな――??
龍自身にとって、もっとレベルの高いパスからの練習の必要性を感じたことは、
同じ意見だった為。親友として見送ったが……。
はぁーー、、
アイツに叩き潰されたのが原因なのに、愛するサッカーをやって、
むこうは給料………約8億円。
こちらはボチボチ…………自給1080円の「アルバイト」である。
「わかったよ……、だったら俺の練習メニューに口出しするなよ。1人でもやりたいことはあるから。」
周囲も俺も絶対スカウトがくると思いながら、
1度何故か落選したあとは、焦りもあって。
大学推薦の条件を突っぱねて落ち――、今もボチボチ幸せだと思いながらも、
未練がやっぱり溢れでてくる――。
《テレビ》
長身のブラジル人が2列目から見事な動きだしで抜けだしてくる――。
スパンッ、ドシュッ…………!!!
ニアのほうに綺麗で強力なミドルシュートを突き刺す。
マークを外す動き、
かなりの際どいコースに決めきれるシュート力
――コイツは、世界頂点レベルの選手じゃねぇか?
「決まってしまったーーっ、ブラジル先制点―――!!!!!!」
日本代表 0 - 1 ブラジル
今のが16歳か……、当時の俺でも出来そうか思わずシュミレートしてしまうような、ミドルシュートだ。
◇
『 両陣営ともに質がかなり落ちたな……、こんな不遇の時代だったらさぞかし目立てたはずなのに――。』
ブラジルのゴールパフォーマンスで『投げキス』が終わったあとは、再び試合がはじまるが、
昔のようにスター選手同士。
もっと調和の取れたサッカーが観れないかと期待するのは、さっきの選手は最高だと思えるが、
周りの選手たちはちょっとイマイチである。
あのとき、すぐにでも戻ってくる予感がしたときに口出ししておかないといけなかったとか、
金村が前のユースに戻ると思ったとか、
昔も何度も思った愚痴が、脳裏をかすめる一方で――、今日優しくしてくれた。
比奈とのメールのことを思い返す……。
「ようやくな(笑)お前の前進楽しみにしてるよ!」
――やっぱり俺は救われたのかも微妙だよな……。
結構幸せで、今さら比奈が大切なのに。
お前のほうに振り返って、大学辞めてまで行くか――、と思って。
過去にサッカー人生を捨てたが……。
「うるさい、集中して観てやるけどよろしくな!」
朝のメールを想い返しても、
比奈はとってもいい彼女だ。
また「サッカーが好きになれるまで待ってくれる」そんな優しい彼女は、
前の彼女の美穂と比べて優ってるとは言わないが、
十分に俺を明るく照らしてくれている美女だ。
「あーーっとこれは……入らないっっ――!!」
今の日本のシュートは枠の外だし、
フォームも汚くヘタクソだったといえるだろう。
昔日本代表を目指していたときの周囲の成長曲線からしてみれば………、
結構がっかりなサッカーをされている現状だが、俺の人生も案外。未来への暗示だったりしたもんかな………?




