目覚めたのち
「お姉ちゃん。何で、男の子の格好してるの?」沙希が言った。
「うん。あぁ。沙希。帰ってきたのか。俺もそろそろ起きようかな。」蒼依が返す。
「お姉ちゃん。オレッ娘になってるよ。」
「別に、悪いかよ。ハッ…」蒼依は気が付いた。此の体が自分自身の体ではないことに。
「お姉ちゃん。たまには食べに行かない?」
「沙希。そんなところ知ってるのか?まだ、中三だろ?俺が中三の頃は考えられなかったぜ。」
「何言ってるの?女の子は活発だよ。最近は、小6でも親とはどこもいかないって子も居るよ。というか、お姉ちゃん。口調直ってないよ。」
「あぁ。そうだったな。子離れが進んだ世界になっちまったな。」
「昔は、七歳から働いてたって聞いたけど。」
「沙希。頭いいな。私の負けだ。さて、食べに行こうか。」
蒼依と沙希は、アーリオージャと呼ばれるイタリア料理店へ行った。
なかなかお洒落な店だ。
和の食材とイタリア料理の融合をコンセプトにした店らしい。
中三の癖に贅沢だと思ったが、自分が無知なだけだと言い聞かせた。
「沙希。ありがとう。こんないい店紹介してくれて。感謝するよ。」
「お姉ちゃんにそんなこと言われると嬉しいよ。」
「ちょ…まっ…沙希。恥ずかしいよ。」
沙希は蒼依に抱きついた。公衆の面前で。
「恥ずかしがることないって。ハグすることなんて普通じゃない?」
「まぁ、そうなのかな。」
皆が拍手している。あるものは涙ぐんでいる。
何やねん。この状態。
姉妹愛に感動してるのかな?
普通だったら、反抗期がきて同性同士、軋み合うんだろうがな。
父も母も日本に取り残されたからな。
おしどり夫婦のような感じでフィットしているのだろう。
でも、姉妹なんだけどね。
ぶっちゃけ、中身は男だから。夫婦であるのも悪い例えじゃ無いんだけどね。
「早く、飯が来ないかな。」
蒼依はそう思いながら待っていた。




