44 事情知る
44 事情知る
浮遊したまま、イージーは錬金術師に突っ込んだ。
錬金術師は無様に転がり、会心の突きをかわす。イージーは壁に刺さり、身動きが取れなくなった。
「いきなり何をするんだ? イージー」
そんな声を浴びながら、イージーはもがいた。刺さったナイフを引き抜くための力が足りないのだ。普通なら踏ん張って抜けるが、イージーにその足はない。
「黙れ! 私の前から勝手にいなくなったくせに」
「怖いじゃないか」
「何が……」
「両足を差し出すほど人造人間に入れ込んでるんだ。怖くないわけないだろう」
「は?」
エルク達は驚きのあまり、動けなくなった。まさかそんなクレイジーだったとは。
「足は錬金術師に奪われたんじゃないのか?」
「誰がそんなこと言った」
「変態さんより変です」
「私が、下半身から出る水を飲むやつよりおかしいわけがない! 取り消せ!」
やっと抜け出したイージーは味方に噛み付いた。
「私が個人的に造っていた物だ。イージーの物ではない。なのに金だけでなく足まで差し出した。私は自分のペースで造りたかったのに!」
「だから逃げたのか」
錬金術師は頷いた。
「俺の人造人間を横取りされないために」
「私のだ! 私の妹だ」
ヒステリックに叫んだ。
「俺はイージーが悪いと思う」
エルクはそう結論を出した。
「私は応援しただけよ。人造人間を造ってもらうために。それが悪いことなの?」
エルクの意見に食ってかかる。
「相手が嫌がったら、それをしちゃいけない。自分の希望を叶えることは理由にならない」
「変態さん、それは理想論です。自分の願望を具現化出来るなら縋り付いてしまうこともあるはずです。ねえマリアベル」
「私? まあ確かにそうだけど、エルクの言うこともわかるっていうか……」
マリアベルはどっちつかずだった。このままでは仲間割れだ。
その時錬金術師が言った。
「エルクを殺す。マリアのために」
錬金術師もマリアと関係を持っていた。イージーと対立して、錬金術師の肩を持ったのに無駄になってしまった。




