42 乗せる
42 乗せる
翌日エルクはオルクに角を生やして、町の富裕層の住む地区に出かけた。浮いているイージーは目立つのでオルクに乗せてだ。
黙ってないのがウォーラだった。
「私だけ乗せないのは差別じゃないですか? 変態さん」
「あー、わかったわかった。後で乗せるって」
面倒くさくてそう答えた。ウォーラはさらに不満を言っていたが、エルクは無視した。
まずは人を集めるのが先だ。
「ユニコーンだよー! 世にも珍しい、一角獣。ユニコーンだよー!」
広場で声を張り上げた。遠巻きに見ていた大人達だったが、勇敢な子供が近付くと徐々に人だかりが出来た。
「ユニコーンだよー。伝説の一角獣だ。今なら銀貨一枚で乗せてあげるよ」
ここぞとばかりにエルクは商売を始めた。
それにはイージーが驚いていた。
「こんなことをしている場合か」
「まずは親しみを持ってもらわないと」
エルクはイージーに降りてもらうために両手を広げる。
「なんで乗せたんだ」
「オルクより目立つと困るんだ。出来る限り浮かないでくれ」
イージーはエルクに抱きついた。当然のようにマリアベルがピリつく。
「何をやってるのかな?」
「マリアベル、お金を集めてくれ。払わないやつは乗せないようにな」
イージーを石畳の床に座らせて、商売に戻った。まずは子供を優先した。オルクは出来た馬で、誰を乗せても嫌がらなかった。ウォーラを乗せないのはノリみたいなものだ。
「わーい」
みんな珍しがって、乗ってくれた。中には角を折ろうとする不届き者がいたが、そんなやつはすぐに追い出された。そしてマリアベルのスキルで金を奪っておく。
かなりの額が貯まった。
そろそろ聞き込みを開始しようかと思った時、ウォーラがマリアベルに銀貨を渡した。
「ユニコーンに乗せて欲しいのです」
あまりに必死すぎるお願いにエルクはオルクに乗せることを認めてしまった。




