29 ナイフ買う
29 ナイフ買う
近くの森で薬草を取ることになり、武器屋に行った。スキルだけでは薬草は取れない。草も刈れて、戦闘にも使えるナイフを買い求めた。
「冒険者なのに武器もないなんて。変態さんは迂闊ですね」
そう言うウォーラも持っていないとツッコむと、「私はいいんです」とダブスタをかましてきた。
「ホラ、そんなことより選びなさい。助言してあげるから」
マリアベルまでも年下のように接してきた。水の一件以来、エルクの株が下がりっぱなしだ。
しぶしぶ言う通りにすると、マリアベルは盗賊の観点から軽くて扱いやすいナイフを選んでくれた。
「変態さんは前衛ですよね。そんなもんでは苦労しますよ」
そう言って、刃渡りの長い大きめのナイフを勧めてきた。
マリアベルは顔が険しくなった。
「エルクはスキルで盗賊のお頭倒したことがあるの。サブウェポンなの」
「サブウェポンならしっかり戦えるといいですよ」
思い入れがあるのとないので対立が起こった。
板挟みになったエルクは、値段が安いほうのナイフを手に取った。
「へえ、変態さんはそっちにするんですね」
ウォーラは嫌味ったらしく言ってきた。
「金がないんだよ」
「私、出しますよ」
「へ?」
「私はリーダーなんです。変態さんだけでなく、マリアベルさんもお世話します」
そう宣言するとマリアベルがエルクからナイフを奪う。
「これ、私がウォーラに買ってもらうから、エルクはそっちにしなよ」
マリアベルはエルクにウォーラが選んだ物を勧めた。
ウォーラは二つのナイフを買おうとする。が、お金が足りなかった。
「あの、どちらか遠慮してもらうわけにはいかないでしょうか」
泣き落としが始まる。
「じゃあ、エルク遠慮して。しばらく私の貸してあげるから」
結局安いほうを買い、マリアベルが勝利した。




